友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

春闘

2015年03月19日 17時16分52秒 | Weblog

 安倍首相が経団連などの経営側に労働者の賃金引き上げを要請した成果なのか、今年の春闘は高額回答になっている。私が社会人となった昭和42年は、春闘といえば総評でその主力は公務員だった。JRは国鉄の時代、NTTも郵便も公営企業で、これらの労働組合は泣く子も黙る勢いだった。愛知県の教員組合は小中学校は御用組合で、私が勤めた高校と私学は共産党の勢力が強く日教組のストライキに参加する組合だった。

 公務員は生産現場ではないサービス業だ。国民に対するサービスに従事する者がストライキをすれば、サービスを放棄することになる。自己矛盾じゃーないか。しかし組合幹部は公務員が賃上げ闘争に勝利すれば、国全体の労働者の賃金引き上げにつながると主張していた。私もそれを信じてストライキに参加した。労働者でありながらその権利を行使しなければ、労働者は豊かになれない、そう思っていた。

 トヨタの労働組合はこの頃から御用組合だった。御用組合は今も変わらないのかも知れないが、春闘の旗振り役になっていたのには驚いた。時代の主力産業が賃上げ闘争の先頭役を務めるということなのだろう。昭和20年代、私が育った刈谷市はトヨタ系の工場が多くあった。私の家の近所にトヨタの重役の家があり、家の周りを赤旗を持った人たちが囲んで労働歌を歌ったり、シュプレヒコールを行なっていた。警官隊の出動はなかったと思うが、その光景はよく覚えている。お祭りとは違う緊張感があった。

 今、ストライキを行なうような職場はどこにもない。経営者が富を独占してしまえば、一時的には大金持ちになっても永続的に富を蓄積することは出来ない。商品が回らなければお金も回らないので利益が出ない。商品を買い求めるのは人で、数は圧倒的に労働者の方が多い。賃金を引き上げ、商品を買う、この循環が止まれば、利益は生み出されない。経済の仕組みに精通していない私でも分かる。

 生み出された利益をどう配分するか。世界の富が1%の人に集中している。この傾向はさらに続くと予想される。フランスの若い経済学者ピケティさんは「格差を縮める累進課税」が必要と主張している。どうだろなっていくのだろう。

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