「どうしてみんな揃って国歌を歌わないのだ。もぐもぐするのではなく、口を大きく開けて国歌を歌いなさい。国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と、リオ・オリンピックの壮行会で大会組織委員会の森喜朗会長は苦言を呈した。国歌は愛国心を鼓舞するものであり、歌わないのは愛国心に欠ける証だと思ったのだろう。
実は「国歌斉唱」ではなく、陸上自衛隊の歌姫による「独唱」で、場内アナウンスもそう告げていたが、森会長は聞き逃したのかも知れない。「独唱」と言われても、「斉唱」するものだという考えだったのかも知れないが、お叱りを受けた選手の皆さんは気の毒だ。でも、こういうことは意外によくある。こういうこととは、自分の考えに固執して押し付けてしまうことだ。
相手が何を言いたいのかをよく吟味もしないで、「それは違う」と言い切ってしまえば相手から次の言葉を引き出すのは難しくなる。話し上手な人は自分の考えを言わずに、「ええ、それで」と相手が話しやすく出来る人だ。しかし、それでは自分の考えが相手には伝わらないから、一方的に聞くだけになってしまう。
参議院選挙の終盤だが、意外に街宣車から声が聞こえてこない。今朝の中日新聞は、「改憲4党(自民、公明、おおさか維新、日本のこころ)3分の2強まる」の横見出しと、「自民単独過半数の勢い」と縦見出しだった。誰かが言っていたが、「野党が勝っても政権交代はないが、与党が勝てば憲法改定に向かうだろう」と現実味を帯びてきた。
私の基本は「戦争をしない政府」だから、改憲4党には絶対投票しない。経済成長して給与が上がって欲しいと考える人を否定しないが、経済は政治の力ではコントロールできないと伝え、だからまず、戦争をしないことを第1に選びたい。待機児童ゼロや給付型奨学金や地震対策や、諸々の国民が望んでいる政策は実現しなければ、国民の支持を失うからスピードの差だけだろう。
思い込み、固執していないか、もう一度振り返ってみよう。