投票に出かけ、その足で名古屋市民会館での『siolin』演奏会に行ってきた。『siolin』とは塩田さんの愛称のことで、北高混声合唱団を指揮された方だ。北高混声合唱団は昭和54年の合唱コンクールで優良校に輝いている伝統校である。コンクールに向けて三重県尾鷲で合宿をしたことがプログラムに書いてあった。
そうか、あの頃はどこの学校でも県外での合宿が許されていたのかと当時のことが懐かしく蘇ってくる。私は別の高校に勤務していたが、吹奏楽部の生徒が私に「顧問になってくれ」と頼みに来た。私は楽譜も読めない音楽音痴だからと断ったが、「名前だけでいい」と言われて引き受けてしまった。
夏休みの前に生徒が「合宿をするので生徒指導部に書類を出しておいて」と言う。「どこでするの?」と聞くと、「高山の手前の久々野です」と答える。ところが久々野からさらに山奥にある民宿での合宿だった。私は結婚して長女が1月に生まれたばかりだった。「近くに秋神温泉があるから、先生はそこに泊まればいい」と教えてくれる。秋神温泉の宿は本当に素晴らしいところだった。
合宿で何をするかは全て生徒が決め、楽器の運搬はヤマハの店員がやってくれたので、私はカミさんと長女の3人でのんびり過ごした。卒業生が来てパート毎に指導し、最後に合同練習をして仕上げていく。私の高校時代に比べると、さすがに都会の生徒だと思うほど自主的だった。名ばかりの顧問だった私なのに、未だに「先生」と慕ってくれるからありがたい。
演奏会が終って玄関ホールに出てくると、人の輪が出来ていて歌声がする。合唱団の人たちを中心に同校のOBが校歌を歌っているのだ。その姿はステージの上のような緊張感はなく、何とも言えない温かな仲間意識に満ちていて、とても感動的だった。演奏会の最後に、車イスで塩田さんが現れ指揮をした時も心動かされたが、この光景は胸を打った。
さてさて、今日の参議院選挙はどのくらいの投票率になるのだろうか。高い投票率で安倍政権にノーを突き付けられるといいのだが、締め切りまであと1時間ほど、ぜひ投票に出かけて欲しいと願うばかりだ。