フェイスブックを見ていたら、都知事選挙は小池百合子さんの当選と予想する人が多い。野党連合が成立し候補者に鳥越俊太郎さんが決まり、前回の知事選で96万票を得た宇都宮健児さんが出馬を取り消した時は、多くの人がこれで鳥越さんの当選だろうと予想したが、選挙戦が始まって予想は完璧に覆された。最も大きかったのは週刊文春が鳥越さんの女性スキャンダルを報じたことだろう。
13年も前のことであり、事実かどうかも怪しいのに、「スキャンダルがあったらしい」というだけで一気に鳥越さんの人気は落ちた。週刊誌を読んでいなくても、週刊誌の広告を見ただけで分かったような気になってしまう。さらに記事に対する鳥越さんの態度がいっそう鳥越離れに拍車をかけた。「政治家ならきちんと説明しなさい」とジャーナリストの鳥越さんは追及してきた。だったら、事実はこうですと説明すべきだった。
にもかかわらず、鳥越さんは週刊文春と週刊新潮を告訴した。権力におもねることはしない人のイメージが崩れた。いや、そればかりか出馬を決意した時、「どのように都政を変えるのですか?」と聞かれても、「まだ、考えていない」と答えたり、選挙の中盤で「秘密兵器は?」と問われると、「私自身が秘密兵器です」と驚くほどトンチンカンに答えている。
鳥越さんは演説回数が極端に少ないし、具体的な政策はほとんど話していない。選挙を知らないのかあるいは軽んじている。自分を推した各野党が票を集めてくれるとでも思っているのだろうか。その点で、小池さんはうまい。彼女は「自己責任」と言い放つほど右寄りな保守だが、自民党の応援をもらえずひとりで戦っていると強くアピールしている。そして「政党のボスが決めていいのか、組織の都合だけでいいのか」と都民を煽る。
この「小池の乱」に立ち向かっている増田さんは「都議会の解散は混乱を引き起こし、行政は前に進めない」と批判するが、都民は政党の都合で都政がぐちゃぐちゃになったことに嫌気が差していることが理解できない。投票まであと2日間だが、このままでは小池さんの当選は間違いなさそうだ。なんともイヤな雰囲気になって来た。