小1と大学生の孫娘がやって来た。「ママが高校時代の友だちとランチなので、そっちに行く」という訳だ。大学生の孫娘は「勉強したい」と言うので、「あの子(小1の孫娘)が行きたいところへ連れて行こう」とカミさんと話す。子どもが好きそうな映画は調べてあるし、一宮タワーでも木曽川のオアシスパークの淡水魚館でも、「どこでもいいぞ」と行く気満々でいた。
ところが小1の孫娘は「プールに行く。ちゃんと水着も持って来た」と言う。それで女3人で出かけて行った。私はひとり残され、NHKテレビの「日本民謡フェスティバル」を見ていた。私が子どもの頃の楽しみはラジオを聴くことだった。あの頃は落語とか民謡が多かったように思うのは、私がよく聞いていたのだろう。
校区外から通っていたので、行きも帰りも自由に街中をうろついていた。そんな街中で夕方になると三味線が聞こえてくるところがあった。芸者さんが三味線の稽古をしている家で、時々きれいな女性に出会うこともあり、私は好んでこの家の前を通って帰るようにしていた。生まれた町にはピアノ教室とか書道教室はあったけれど、民謡教室は見当たらなかったが、そろばん塾に入れられるようなら民謡の方がいいと思っていた。
夕方になって孫娘たちが帰って来た。「雨が降ってきた時はどうしたの?」と聞くと、「プールの中にいた」と言う。「楽しかったの?」と聞くと、「うん」と言ってすぐiPadを取り出して始める。何をしているのかと見ていると、家を造るゲームだ。「そうか、将来は建築屋さんになるんだ」と言うと、「ならない。お笑い芸人になる」とサバサバ答える。
「じゃー、テレビに出るような有名人になったらパパちゃんを招待してね」と言えば、「もう、パパちゃんは死んでる」とハッキリ言う。長女はこの子に手を焼いているようだが、将来のことまで考えられるなんて凄い。小さな時から自分の世界があるのは母親譲りのような気がするが、父親もそうだったのかも知れない。
子どもは自由にしておけばいい。無理を強いれば心に恨みしか蓄積されない。小1で、「わたし」と自分を表現できるのだからたいしたものだ。お笑い芸人、それもいいじゃーないか。