歴史好きの先輩から、月に1度は電話がかかって来る。近くの喫茶店で会って、歴史の話をする。先輩は大正時代に編纂された郷土史を持って来て、この地域の名所の説明文があるが、それが「あまりにも美辞麗句を並べてあるがどうしてなのだろう」と切り出した。読んでみると確かに大げさな表現だ。「紺碧の大空を背景にして白色玲龍天空に聳ゆるもの」と御嶽山を紹介し、「春日の斜陽、残雪を照し清月一痕淡く山嶺に懸る時」が最も美しいとある。
戦前の教育を受けた先輩たちは漢詩や漢文に精通していて、詩のような文章が書けるから私には羨ましい。たまたま先輩よりも10歳ほども年上の女性が隣の席に座ったので、歴史話よりも、幼い時の子どもの話になってしまった。高齢の女性の相方の女性は政治好きで、今度の選挙に市会議員の誰それがどうしたと言う。「20日に行われる立憲民主党の演説会に市長は参加するが、私は絶対行かない」と力説していた。
私が初めて首長選挙に立候補した時、この女性には引っ掻き回された。コーヒー代を払って出ようとすると、「久しぶりに会ったから」と彼女がレシートを取り上げたので、私は躊躇することなく「ありがとう」と言った。コーヒー代くらいではすまないが、もう遠い昔のこと、こだわる必要もない。先輩のいとこの息子は東京の選挙区で立憲民主党から立候補しているそうで、同じ地元の出身でも大きく分かれていて面白い。
政治に関心のある所では議論に火花が飛んでいるが、街宣車はそんなに回って来ない。今日は施設にいる姉の見舞いに出かけたが、1台の選挙カーにも遇わなかった。施設に行くには自動車専用の高速道路を使う方が、私は最近、見にくいので運転は気が進まない。しかも最近、自動車のいやがらせ事故が、続けて報道されたから余計憂鬱だったが、何とか無事に行って来ることができた。
それならついでにと、期日前投票にも行ってきた。