3歳の孫娘が我が家に来ていた時、一緒にテレビでアニメを見る機会があった。一番のお気に入りは『プリキュア』で、これは小2の孫娘も大好きだ。どんな物語なのかと思っていたら、とっても可愛い6人の女の子が悪い奴をやっつける話だった。もう一つ、『アンパンマン』も見たが、私が思っているような内容ではなく、こちらも悪い奴をやっつけるものだった。
子ども向け、特に幼児が好むものは、みんなで悪い奴をやっつける話が多いようだ。マンガはそういうものなのかも知れないが何かちょっと寂しい。娘たちが子どもの頃は『キャンディキャンディ』とか『母をたずねて3千里』とか、苦しみに耐えながらたくましく生きていこうとする子どもが主人公だった。
私が子どもの頃は、もっぱらマンガ本だった。男の子は『赤胴鈴之助』、女の子は何を見ていたのだろう。マンガ雑誌はあったのだろうか。少なくとも我が家にはなかった。私は小学校からの帰り道、3店の本屋を見て回ったが、雑誌を見るというより書店の雰囲気が好きだった。高学年になると、大人向けのエッチな雑誌の表紙をチラッと眺めてドキッとしていた。
私たちの子どもの頃の映画は、時代劇では必ず悪い奴がいて、それを正義の武士がやっつけるものばかりだった。「鞍馬天狗」は幕末の人で、新選組を相手に戦うが、危機一髪の時に馬で駆けつけてくる。すると、映画館でありながらみんなが拍手した。新選組が悪い奴ではなくなったのはいつからだろう。アメリカ映画の西部劇も、インディアンは幌馬車を襲う悪い奴だったが、白人がインディアンの土地を略奪したと、映画で描いたのはいつだろう。
子どもや幼児に、悪い奴を徹底的に懲らしめる、そういうアニメを見せる必要があるのだろうか。悪い人になると、こんな風に懲らしめられるよと教えているのだろうか。絵本では悪い奴は見かけないのに、どうしてアニメはこんなに酷いのだろう。