マンションの中庭に古木が積まれ、火が放たれた。子どもたちの声が大きくなる。今日はマンションの新年会で、正月飾りを燃やすために人々が焚火のそばに集まってくる。焚火の後はサツマイモを入れて、焼き芋にして振舞う。集会所の前では餅つきが行われ、つきたての餅にきな粉やあん粉をまぶしたり、雑煮やぜんざいも用意される。
集会所の中ではたる酒が振舞われるにぎやかな新年会だが、私はこのところ不参加が続いている。自分が役員だった時は、粗相のないようにと気を配りながら、勧められればお酒も飲んだのに、役員を降りてからは気遣いが嫌で欠席がちだ。中庭から聞こえてくる陽気な声を聴きながら、ルーフバルコニーに出て鉢たちに水やりをする。寒い。この寒さが花たちには必要なのだと聞く。
耐えてこそ、立派な花を咲かせることができるという訳だ。日本人の好きな精神だが、本当の話のようだ。私は新年会に出ずに、行きつけの書店に出かけた。このところの新聞広告の欄に朝日新聞を批判する雑誌や書籍がよく載っていたので、どんな本なのか見ておきたかった。書店に行ってみると、「朝日新聞と言論犯罪」、「朝日はいつ潰れるのか」などの見出しの雑誌が山高く積まれている。
「世界の中で咲き誇れ、日本」や「安倍総理、新たなる決断」などの見出しの雑誌も目立つ。文庫本のコーナーでもケントギルバードさんの『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』や『世界から尊敬される日本人』、百田直樹さんや櫻井よしこさんの著書が並べられている。ケントギルバードさんの本は読んだけれど、私たち日本人は彼の指摘する国家観を超越していると思った。それにしてもこういう雑誌や書籍が売れるのは共感する人が多いということ。背筋がゾクッとした。