新潟で豪雪のため列車が動けなくなり、多くの乗客が車両に10時間以上も閉じ込められた。幸い列車の暖房は途切れず、トイレも使えたようだが長い列だったというから我慢した人も多かっただろう。途中から水や食べ物の差し入れもあったというが、狭い車両にかなりの人が閉じ込められた状態だったから、決して「楽しい」時間ではなかっただろう。
それでも、互いに相手を気遣う様子があちこちであったと言うから何か嬉しくなる。立ちっぱなしの人に席をどうぞと譲ったり、差し入れられた水や食べ物を手渡したりと、優しい気遣いが見られたようだ。動かない列車に腹を立てる人はあったかも知れないが、同じ乗客に八つ当たりする人はいなかったのも幸いだった。
横浜市で振り袖の販売・レンタル業者が突然姿を隠したため、成人式に振り袖が着られなくなった人たちが何人もいた。この日のために両親や祖父母がお金を出してくれたのに、晴れ姿を見せられなくて泣いていた女性もいた。前もってお金を払い、着付けをしてもらうばかりだったのだから、その絶望感は相当なものだっただろう。まさか、そんな詐欺事件が起きると誰も想像できなかった。
それでも悲しいことばかりではなかった。同業者が急遽、振り袖や履物、小物などを手配して、着付けの経験のある人が奉仕で着付けてくれたり、さらに家にある振り袖を無料で貸してくれたり、決して世の中、悪い人ばかりではないことを証明してくれた。悪い人はいるかも知れないが、困った人に手を差し出してくれる人が何人もいる。それを知るだけでもこれからの人生にきっと役に立つだろう。
困っている人を助ける。それが当たり前の世の中になって欲しい。そしてもっと進んで、困る人が出ない社会にしてもらいたい。