バラは第2波を迎えたようだ。我が家で最も古株のピンクのバラが盛りを過ぎると、赤い色のバラが咲き始める。写真のように若々しく健康的な赤いバラは、きっと「バラ色」と呼ぶのだろう。我が家のバラに赤い色が多いのは、私が好きだからだが、私はもっと赤い「深紅」とか「新紅」とか「唐紅」と呼ばれる濃い赤が好きだ。
ちょっと妖艶でもある「深紅」のバラはカミさんには不評で、彼女の好きな淡い薄紫とかクリーム色のバラが増えてきた。私は、凛とした自己主張の強い赤い花が好きだが、アジサイのような淡い青やツユクサのような少し強めの青も好きだから、花の形や周りとのバランスなのだろう。今日、畑の淵で咲くアヤメを見かけたが、あれは在原業平が詠った「カキツバタ」だったのかも知れない。
青は清楚とか誠実を連想させるが、赤は情熱とか決意が感じられる。「唐紅(からくれない)」と口に出した時、若い人なら倉木麻衣さんの「渡月橋」の歌詞を思い浮かべるかも知れないが、私は百人一首の中の在原業平の歌が出てきた。おそらく倉木さんの「渡月橋」はこの歌がベースになっていると思う。
業平の歌は「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」と、唐紅のもみじが重なり合って流れていく情景を詠っただけなのに、かつて恋した人への想いが滲んでいる。倉木さんの「渡月橋」はもっとストレートに、「会いたいときに会えない 切なくてもどかしい から紅に水くくる時君との想いつなげて」「いつも君を探してる いつになったら優しく抱きしめられるのかな」。
やっぱり赤い色は情熱的な恋にぴったりする。