台風が近づいているせいか、雲に覆われていて陽射しが無い。部屋の温度計は29.4度を指している。このまま秋らしい日になっていくのだろうか。午前中、内側にステンレスを張った手押しポンプを買うため出かけた時は、前が見えないくらいの土砂降りだった。でも、戻ってくるとこちらは雨が降った様子がない。
「局地的な大雨に警戒してください」と天気予報士が言っていた。今、黒い雲は見えないが、どんな風に変わるのか分からない。昨日も夕方、西の空で雷が光っていたが、音は小さくて雨も降らなかった。子どもの頃は夕立が来ると涼しくなったが、果たして今晩はエアコンなしで眠れるのだろうか。
カミさんはよくテレビを見ている。コロナのことも総裁選挙のこともよく知っている。私はどうでもいい気がして関心が無い。コロナは無くならないだろうし、総裁選挙は自民党による安倍政権の過去をウヤムヤにする演出としか思えない。それよりも、読み終えた南木佳士氏の『山中静夫氏の尊厳死』が引っ掛かる。
タイトルの山中さんは末期ガンで余命は僅かしかない。医師に頼んで病院を抜け、生まれ育った村へ出かけて行き、自分が死んだ時、骨を納める墓を作っていた。主人公の医者も山村で祖母に育てられた。墓はすべて山の中腹にあり、死んだ人たちの霊は山の奥で生き続けると祖母に教えられた。
みんな自分が入る墓を探している。死んでしまったらどうなるのか分からないのに、なぜ墓の心配をするのだろう。生きている人たちが全員、自分の墓を持つようになったら、地球は墓だらけになってしまう。私は先祖の墓を無くした。墓も仏壇も要らない。骨は拾うなと言ってある。