好天に恵まれ、朝から手押しポンプの取り換え作業は順調に進んだ。畑で仕事をしていた人たちが集まって来て、新しいポンプの具合を試してくれた。「いいね、これでもう安心だ」と満足気に言う。畑にはいろんな野菜が育てられている。メロンウリもキューイフルーツもある。こんなに和気藹々の畑では盗難の被害も生まれないだろう。
先輩が「どうして白人は寛容になれないのだろうか」と、黒人の抗議デモに対して自警団の少年がデモ参加者を射殺したことに言及する。デモの発端となった警察官が黒人の首を押さえ込んで死なせた事件も、銃を所持しているのではないかと疑い、身を守るために発砲したと言う。「銃を持たせていることが最大の原因だ」と分析する。
この連鎖を無くすには、まず市民から銃を取り上げることかも知れない。太閤秀吉の刀狩りで、農民の暴力行為は収まったが、年貢の取り立てが厳しくなると農民一揆は起きている。農民一揆の首謀者は打ち首のはずだが、それでも圧政には耐えられなかった。アメリカの人種差別は、黒人をアフリカから強制的に連れ出し、家畜のように扱ったことに起因している。
奴隷解放を行なったリンカーン大統領は、黒人を兵士として組織し、南軍と闘わせたし、インディアンを殺して土地を奪った。私は中学・高校とルーテル教会に通った。福音派の教会である。「隣人を愛せよ」と聖書にあるのに、なぜアメリカはベトナムを攻撃するのかと、アメリカ人牧師に聞いたが、納得のいく答えでは無かった。
畑の人たちのように、みんなが互いを受け入れているなら、争いは生まれない。神の前ですべての人は平等である。トランプさんとその支持者の人たちが熱心な福音派なら、寛容な心の持ち主のはずだ。