秋の、土曜日も入れれば4連休の日曜日。毎日が日曜日となった今、曜日の感覚が無い。娘たちも孫たちも何の連絡も無い。出かけるところも無いから、ぼんやりとテレビを見るか、本でも読むかしか無い。
遠い東北で自給自足の生活をしている卒業生がいる。バイクの旅を趣味にしている同級生が、彼女を訪ねて行った時のことを話してくれたことがある。「電気もきていない」と言うのは大げさで、彼女の手紙には「電気は1カ月50kmh以下です」とあった。
「電気を使わない生活を目標においていたので、(本業である)紡ぎも織りも器作りも動力は体力」と書いてあった。「住まいも仕事場も自分たちで手作りで建てた」とも。高校生の時も、ちょっと変わった子だと感じていたが、この時代に電気に頼らず、生活していく決心とは凄い。
卒業以来、会ったことが無かったが、彼女を知る同級生が私の住所を知らせたようで、「名古屋には1年に1度は帰りますので、機会がありましたらお会いしたいです」と手紙をくれた。とても美しい文字だ。羊を飼い、毛を刈り、糸を紡ぎ、セーターやベスト、敷物などを編んでいるとあった。
色白で少しぽっちゃりした大柄の女の子だったけれど、どうしてそんな原始的な生活をする気になったのだろう。住まいは高原にあるようだから、夏は気持ちよくても、冬は雪も積り風も強いだろうから大丈夫なのかと心配になる。
2通目の手紙が来て、「コロナでなかなか帰ることが出来ません」とあった。彼女に出会った時は22歳、あれから54年も経ち、私は歳を取り過ぎた。何だか、会うことに気後れしてしまう。それに、17歳の彼女しか知らないから会うのが怖い気もする。