それにしても、憤懣やるかたない結末でした。
9月29日の拘留期限を待たずに、中国漁船・船長が釈放されました。那覇地検は記者会見で「今後の日中関係を考慮すると、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当ではない」と理由を説明し、「福岡高検および最高検と協議の上で決した」と強調していましたが、もとより「日中関係を考慮する」のは地検の仕事ではなく、誰が見ても、政治決着が図られたのは明白です。仙谷官房長官は「地検独自の判断だ。それを了とする。」などと述べて、飽くまで政治の関与には白を切らないことには、政府として面子が立たないわけですが、政治責任を回避したつもりでも、中国をはじめ諸外国はそうは見ないでしょう。国家として、中国の圧力に屈し、経済(観光とレア・アース)のためならプライドを捨てる、外交音痴の国と見られて(今に始まったことではありませんが)、末代の恥の上塗りとなりました。
中国は、よくもなりふりかまわぬ嫌がらせを仕掛けてきたものです。レア・アースの日本向け輸出を事実上停止し(本当はレア・アースを日本が買わなくなると困るのは中国のはずですが)、フジタの社員4人を粛々と国内法に則って拘束すると脅す(フジタの役員が言っていたように事実関係を確認しなければ何とも言えませんが)など、後から既成事実を積み上げてニッポンを追い詰める厚顔無恥ぶりは、むしろ天晴れと言うべきです。ニッポンは、うまく国際社会に訴えれば、中国の非道が明らかになったでしょうに、最後の最後まで、日本が違法に船長を拘束し中国の主権を侵害したとする中国の主張にいちいち反論することはありませんでした。
今回の中国の行動について、いろいろな人が勝手な分析を述べていますが、東シナ海における海洋権益(水産資源や海底資源)や制海権を確保することが直接の目的だったことは間違いありません。さらに事情通からは、漁船を使って挑発する“自作自演”は、国民の鬱積した不満を外に向けさせようとするがため、中国は領土問題を国民のガス抜きに利用しているだけだ、という指摘もあります。中国では、住宅、雇用、医療、教育、どれをとっても矛盾だらけで、中国国民の不満は爆発寸前だというわけです。そんな内憂を抱える中国政府に対して、日本政府との水面下での交渉があったのかなかったのか、あっても大幅に対応が遅れ、温家宝首相のトップ発言に至ってしまっては、もはや中国として後戻り出来ないことは明白でした。
キリスト教の中の宗派を見ればわかるように、近いほど、違いを憎しみ合うのが世の常です。ハンチントン教授が別の文明に分類したように、日本と中国は全く別ものです。それは日本が中国という古代の大文明の周辺にあり、影響を受けながらも、韓国とは違って、併合されたり乗っ取られたりすることなく、古来アイデンティティを保ち続けたからにほかなりません。良くも悪くもこれが隣人であり、今後益々、世界の中で存在感を増し続けるこの厄介な隣人と、付き合っていかざるを得ない運命を嘆きたくなります。そしてそれ以上に嘆かわしいのは、実は、国益のぶつかり合いという国際政治の修羅場であっさり圧力に屈する同胞の愚、でありましょう。
9月29日の拘留期限を待たずに、中国漁船・船長が釈放されました。那覇地検は記者会見で「今後の日中関係を考慮すると、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当ではない」と理由を説明し、「福岡高検および最高検と協議の上で決した」と強調していましたが、もとより「日中関係を考慮する」のは地検の仕事ではなく、誰が見ても、政治決着が図られたのは明白です。仙谷官房長官は「地検独自の判断だ。それを了とする。」などと述べて、飽くまで政治の関与には白を切らないことには、政府として面子が立たないわけですが、政治責任を回避したつもりでも、中国をはじめ諸外国はそうは見ないでしょう。国家として、中国の圧力に屈し、経済(観光とレア・アース)のためならプライドを捨てる、外交音痴の国と見られて(今に始まったことではありませんが)、末代の恥の上塗りとなりました。
中国は、よくもなりふりかまわぬ嫌がらせを仕掛けてきたものです。レア・アースの日本向け輸出を事実上停止し(本当はレア・アースを日本が買わなくなると困るのは中国のはずですが)、フジタの社員4人を粛々と国内法に則って拘束すると脅す(フジタの役員が言っていたように事実関係を確認しなければ何とも言えませんが)など、後から既成事実を積み上げてニッポンを追い詰める厚顔無恥ぶりは、むしろ天晴れと言うべきです。ニッポンは、うまく国際社会に訴えれば、中国の非道が明らかになったでしょうに、最後の最後まで、日本が違法に船長を拘束し中国の主権を侵害したとする中国の主張にいちいち反論することはありませんでした。
今回の中国の行動について、いろいろな人が勝手な分析を述べていますが、東シナ海における海洋権益(水産資源や海底資源)や制海権を確保することが直接の目的だったことは間違いありません。さらに事情通からは、漁船を使って挑発する“自作自演”は、国民の鬱積した不満を外に向けさせようとするがため、中国は領土問題を国民のガス抜きに利用しているだけだ、という指摘もあります。中国では、住宅、雇用、医療、教育、どれをとっても矛盾だらけで、中国国民の不満は爆発寸前だというわけです。そんな内憂を抱える中国政府に対して、日本政府との水面下での交渉があったのかなかったのか、あっても大幅に対応が遅れ、温家宝首相のトップ発言に至ってしまっては、もはや中国として後戻り出来ないことは明白でした。
キリスト教の中の宗派を見ればわかるように、近いほど、違いを憎しみ合うのが世の常です。ハンチントン教授が別の文明に分類したように、日本と中国は全く別ものです。それは日本が中国という古代の大文明の周辺にあり、影響を受けながらも、韓国とは違って、併合されたり乗っ取られたりすることなく、古来アイデンティティを保ち続けたからにほかなりません。良くも悪くもこれが隣人であり、今後益々、世界の中で存在感を増し続けるこの厄介な隣人と、付き合っていかざるを得ない運命を嘆きたくなります。そしてそれ以上に嘆かわしいのは、実は、国益のぶつかり合いという国際政治の修羅場であっさり圧力に屈する同胞の愚、でありましょう。