風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

MICEとは?

2012-05-26 11:38:36 | ビジネスパーソンとして
 先日、知人に誘われて、某ホテル・グループ主催MICEオーガナイザー/プランナー向けイベントなるものに参加しました。マイスと発音するMICEなる言葉が何たるかも知らず、タダ飯が食えるというだけでホイホイついて行くゴキブリのような気楽さです。
 会場は恵比寿にある、なかなかシックな一軒家の二階で、まさにディナー・パーティの装いです。プレゼンテーションを聴いていると、企業において営業マンや販売店の優れた営業活動を報奨する旅行やパーティ等を企画する担当者を招待し、新しいホテルや施設を紹介するとともに、これら企画担当者の中からホテル・グループの売上に貢献した最大顧客を報奨する毎年恒例のパーティであるらしいことが分かって来ました。どうりで全国に散らばるホテル支配人や営業部長が次々に名刺交換の挨拶に訪れて来るわけです。実は私の知人すらも企業内のこうした企画担当ではなく、ただの営業マンで、技術者を長期出張させるアレンジをする中でたまたま知り合ったホテルの営業の方からお誘いがあっただけのことです。まして私はその中のただの出張者の一人、畑違いで場違いなことを痛感させられてヒヤヒヤものでした。そうは言っても4月にダラスで泊まったホテルはこのホテル・グループの一つであり、またアメリカやアジアやオーストラリアに駐在中に家族旅行で利用したホテルも多く、満更、貢献していないわけではないと開き直って、ワイン片手に、フォアグラや新鮮なシーフードに舌鼓を打っておりました。
 MICEというのは、国土交通省・観光庁のサイトにも説明があって、企業等が行うMeeting(会議)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、国際機関・団体、学会等が行うConvention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会・見本市、イベント)の頭文字を取った、これらビジネス・イベントの総称だそうです(http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/mice.html)。アメリカなどのグローバルなホテル運営会社や、シンガポール、タイ、韓国などの国が、最近10年ほどの間に積極的に使い始め、国際会議のみならずMICE全般の振興に積極的に取り組み、外国人旅行客の増大などの経済効果と、地域の国際化・活性化等に大きく貢献してきたといいます。そこで我が国としても後れを取ってはならじと、2007年1月施行の「観光立国推進基本法」に基づき、同年6月マスタープラン「観光立国推進基本計画」を閣議決定し、「我が国における国際会議の開催件数を2011年までに5割以上増やすこと」を基本目標の一つとして、アジアにおける最大の開催国を目指して官民を挙げて取り組んでいるようです。結果は・・・知りません。
 さてこのイベントに話を戻すと、ただ、タダ飯を期待していただけの客ではない証拠に、全く違う業界のことながら、一介のビジネスマンとして、こうしたビジネスの進め方や、個別の接客やプレゼンテーションの仕方は興味深く観察しておりました。というのを言い訳にした上で、二点コメントです。こうしたイベントを、何故、自分たちのホテルで開催しなかったのか、と彼らの言葉で説明するくだりで、この会場の素晴らしい360度パノラマ・スクリーンを是非見て頂きたかったと語った時には、耳を疑いました。自分のホテル・グループではこうした演出は出来ませんと言っているようなものですから。しかし、ホテルのスペースはお客様を優先した・・・と言ってしまうと、ここにいるのもお客様であって、自己矛盾に陥りますし、言い訳はなかなか難しかったのかも知れません。それから、報奨、所謂Award授与のところで、受けたお客様も一言挨拶をする際に、折角、ご招待を受けて頂くわけですから、ホテルの対応の良さを褒めそやし、あるいは普段の良好な関係を自慢するわけですが、これがなかなかわざとらしくて耳障りです。何故かと翻って考えるに、個人の多少の巧拙は問いません、このようなイベントはもともと日本にはなかったからではないかと思い至りました。欧米からの輸入で、普段は英語で耳にして、ごく自然に聞き流すものですが、日本人はそもそも短いものであっても気のきいたスピーチは苦手ですし、相手を褒めることも苦手です。何しろ他人を褒めるより、自らを謙遜して相手を立てる国民性です。さらには、そうした文化的な背景があるために、このような場面で使われる日本語がまだこなれていないのではないか。そんな印象をつらつら思っておりました。余りに美味しかったので二度並んでたっぷりとフォアグラを満喫しながら・・・
コメント
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