風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

成人式

2014-01-14 02:08:03 | 日々の生活
 今年の新成人は全国でおよそ121万人で、統計開始以来、最も少ない人数となった(読売新聞)そうです。因みに、総務省統計局の年齢別人口データ(2011年10月)を元にすると、5歳上の年代は131万人、10歳上は148万人、20歳上は昭和46~49年の第二次ベビーブームで唯一200万の大台を越える年代(203万人)で異常値としても、30歳上は160万人で、これ程の減り具合とは、あらためてちょっと衝撃的ではあります。さらに10年後は111万人レベルまで減り、期待されるべき第三次ベビーブームの影響は殆どなく、また反転の兆しもないのはご存じの通りです。
 そんな今年の新成人のうち、63%が自分の将来について「明るいと思う」と回答し、これは、昨年の同調査よりも12%ポイント高い数値だったそうです(マクロミルの調査による)。アベノミクスの成果は生活感覚として実感することはまだなくても、東京オリンピック招致に成功し、この将来の大きなイベントに向けて世の中が動き始めているのをはじめとして、世の中の雰囲気が明るくなりつつあり、ある意味で自信を取り戻しつつあることが、ここでも読み取れます。
 魯迅(1881~1936)本人の経験が元になっているとされる小編「故郷」(1921年5月発表)に次のようなくだりがあります。「希望というものはもともと、いわゆる有ともいえないし、いわゆる無ともいえないのだと。それはちょうど地上の路のようなものだ、実際は地上にはもともと、路というものはなかったのを、歩く人が多くなって、そこが路になったのである」(増田渉訳)。新成人に向けて、否、全ての人に向けて贈りたい言葉です。

(追伸)
 学生時代、ロシア政治思想史を専攻する教授は、ソ連の体制を蛇蝎の如く嫌っていた理由の一つとして、またソ連の共産主義体制が如何に不毛かを示す証左として、ソ連にはドストエフスキーがいないと、よく言われたものでした。今の中国にも魯迅がいないと、言えなくもない気がします。
コメント
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