国際宇宙ステーション(ISS)でも5年前からインターネットが使用できるようになったらしい。以来、日本人飛行士は宇宙でツイッターを活用してきて、昨日、帰還された「中年の星」油井亀美也さん(45歳!)もISS入りしたときには「皆さんの地球は、皆さんと同じでとても美しいです」とツイッターに呟いた(http://blog.goo.ne.jp/mitakawind/d/20150726)。その後、産経新聞に寄せた手記では「(地球は)でもあまりに小さい…。この小さな星が生命に生命に満ちあふれていることの奇跡を感じる(後略)」と付け加えられていた(以下は8月9日の産経Webから)。
(引用)
ISSの第一印象として大きかったのは、やはり窓からみえる地球です。本当に美しい! でもあまりに小さい…。この小さな星が生命に満ちあふれていることの奇跡を感じるとともに、その生命の代表として人類が無限の宇宙へ挑んでいる姿が、このISSなのだと感じました。そのISSの中でも、「きぼう」はとても大きく、また機能美を感じさせます。さまざまな機能を備えた「きぼう」は、アイデアしだいで、新たに多種多様な実験を行うことが可能な人類の宝です。これから、この「きぼう」を最大限に利用するための挑戦が始まります。
(引用おわり)
私も上の子(大学2年)の年齢くらい若いなら、宇宙飛行士を目指したいくらいで(苦笑)、「地球は青かった」と言えるような大きさに見えるくらい離れた宇宙から地球を眺めてみたいものである。それはともかく、上に引用した通り、「(地球という)この小さな星が生命に満ちあふれていることの奇跡を感じる」ことに続けて「その生命の代表として人類が無限の宇宙へ挑んでいる姿が、このISSなのだと感じました」と語った、まさにその通り、油井さんは約4ヶ月半のISS滞在中、物資補給機「こうのとり」5号機をロボットアームで連結させる作業を成功させた。米国やロシアの補給機で失敗が相次いで、ISSでの生活物資も細る中で、航空自衛隊パイロット時代に習得した高度な操縦技術を生かし、日本の存在感を見せつけた形だ。そのときのツイッターでは「こうのとりは日本が技術大国である象徴ですし、その技術を培ったのは、我々の先輩であり、皆さんでもあります」との思いを綴った。また、日本実験棟「きぼう」から、流星を観測するために千葉工業大の超小型衛星を放出させ、無重力の影響を探る植物実験や、宇宙滞在が目に及ぼす悪影響を調べる医学実験も被験者になって実施したし、周回軌道上からの惑星探査を想定し、地上の探査車を遠隔操作する欧州の実験にも参加し、米国人飛行士の船外活動支援にも取り組んだらしい。「宇宙の夢」が膨らむ話だ。
私個人の「宇宙の夢」の方に話を移すと・・・無重力状態に慣れるまでは、気持ちの良いものでも、便利なものでもないと言う。そりゃそうだろう、落ち着かないだろうと、私も想像してみる。実際に、宇宙空間では物を一つの場所に止めることが難しく、物を離せばその場にはとどまらず、小さな力でもどこかへ飛んでいってしまうため、面ファスナーか粘着テープなどで毎回しっかり固定しておかないと、なくしてしまい、なくした物を探すときは、床だけでなく3次元の空間を探さないといけないため、非常に時間もかかると述べておられる。ところが暫くして無重力状態に体も頭の空間認識も慣れてしまうと、逆にこれほど便利な所はないのだそうだ。道具などは床、壁、天井など、どこにでも張り付けておけるし、作業場所が高い所にあって手が届かないとか、手を挙げていて疲れるといったこともなく、天井で作業をするときは天井に張り付いて、壁で作業をするときは壁に張り付いて作業をすればよいと言う。地球では当たり前のことが、当たり前でなくなる・・・卑近な例では、海外旅行だって日本では当たり前のことが当たり前でなくなる小さな体験に驚くわけだが、子供の頃にアポロ計画が実現するニュースを目にした私のような世代の者としては、やはり、死ぬ前にちょっと味わってみたい宇宙体験だ。油井さんが羨ましい。
中国は、2007年1月と2014年7月に、ミサイルによる衛星破壊実験を行い、米戦略軍の司令官が、衛星攻撃兵器(ASAT)の実戦配備へ向けた運用能力の向上と、宇宙ごみの拡散という両面から脅威だとの認識を示して批判したことがあった(今年3月25日の産経Web)。衛星破壊実験は、米国や旧ソ連も冷戦時代に、米国は地上から打ち上げたミサイルを人工衛星に直接体当たりさせる直接上昇方式で、旧ソ連は地上から打ち上げたロケットで誘導体を目標となる人工衛星と同じ軌道に遷移させ、接近させて自爆し、破片によって目標を破壊する共通軌道方式(所謂キラー衛星による“自爆テロ”)で、実施しているが(Wikipedia)、宇宙ごみの拡散という問題が明らかになり、1985年を最後に実験を中断している。宇宙ごみは、1グラム以下の破片でも衝突時は秒速10キロ以上という超高速で、衛星に多大の被害が出る危険性が増して話題になっているものだ。実は、中国による2007年1月の衛星破壊は、意図したものではなかったのでは・・・という見方がある。有人宇宙活動をおこなう場合、今回、油井さんがISSで物資輸送機を捕捉したようなランデヴー・ドッキング技術が必須だが、それを習得しようと接近実験中、失敗したのではないかというのである。また2014年の実験では中国は「(ミサイルで)衛星を破壊するには至らなかった」と、米戦略軍の司令官は明らかにした。そしてそれが意図したものなのか失敗したものなのかは「確信はない」としながらも、「中国は運用能力を向上させるため、データを収集した」と指摘し、「実験は中国が、宇宙空間における軍事活動に傾注していることを示し、(米国も)備えなければならない」と強調した(産経Web)。米軍は早期警戒衛星により弾道ミサイルなどを探知するミサイル防衛(MD)を運用しているため、中国の衛星破壊実験はこれへの対抗措置だと見て警戒しているのだが、それを見越してジョージ・フリードマンは「100年予測」の中で、今世紀後半には、衛星ではなく月に設置するレーダーなどの軍事基地が重要になってくると解説した。ことほど左様に、宇宙空間は、サイバー空間とともに、第四、第五の新たな戦場として、虚々実々の駆け引きが始まっている。
確かに科学技術に軍事用途と民生用途の色分けは出来ず、日本のロケット技術は、中国や韓国に言わせればミサイル実験ということになるし、日本の原発についても、核軍縮を審議する国連総会の第1委員会で、中国に「日本はプルトニウムを大量保有し、それは1350発の核弾頭の製造に十分な量だ」と批判された(10月20日)のは記憶に新しい。核保有国の中国に言われたくないものだが、まあ今どき両用(dual-use)技術と言って、全てにおいて警戒されて仕方ない面もある。しかし日本のありようは、この夏の安保法制論議の中でも、あろうことか同じ日本人である野党や左派あるいは日本の自称リベラル(グローバル・スタンダードと区別するために敢えてこう呼ぶ)に大いに“誤解”されたものだが、集団的自衛権を容認しようが、徹底的に「平和国家」に拘って然るべきだし、そのありようを世界に向けて発信し続けるべきだと思う。油井さんが二週間前に産経新聞に寄せられた手記(11月29日の産経Web)に大いに賛同するので、引用したい。まさに憲法前文で述べられた「(前略)われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ(後略)」という平和国家・日本の決意表明を連想させる表現があり、微笑ましい。
(引用)
今回の任務、特にこうのとり5号機の活動を通じて、私はISS計画に参加する各国の日本への信頼の高さを実感できました。今後は日本の有人宇宙開発がさらに進展し、日本が国際社会の中でさらに力を発揮した上で、米露をはじめ宇宙開発に関わる各国から頼られるような存在になるべく、私も努力していきたいと思います。宇宙開発事業は、簡単ではありません。私たち関係者の力だけでは限界があります。人類の未来を担う有人宇宙開発の分野で名誉ある地位を得て、国際社会から尊敬される国になるためには、日本の皆さんがその重要性を認識し、日本の持っている力を結集する必要があると感じています。
(引用おわり)
(引用)
ISSの第一印象として大きかったのは、やはり窓からみえる地球です。本当に美しい! でもあまりに小さい…。この小さな星が生命に満ちあふれていることの奇跡を感じるとともに、その生命の代表として人類が無限の宇宙へ挑んでいる姿が、このISSなのだと感じました。そのISSの中でも、「きぼう」はとても大きく、また機能美を感じさせます。さまざまな機能を備えた「きぼう」は、アイデアしだいで、新たに多種多様な実験を行うことが可能な人類の宝です。これから、この「きぼう」を最大限に利用するための挑戦が始まります。
(引用おわり)
私も上の子(大学2年)の年齢くらい若いなら、宇宙飛行士を目指したいくらいで(苦笑)、「地球は青かった」と言えるような大きさに見えるくらい離れた宇宙から地球を眺めてみたいものである。それはともかく、上に引用した通り、「(地球という)この小さな星が生命に満ちあふれていることの奇跡を感じる」ことに続けて「その生命の代表として人類が無限の宇宙へ挑んでいる姿が、このISSなのだと感じました」と語った、まさにその通り、油井さんは約4ヶ月半のISS滞在中、物資補給機「こうのとり」5号機をロボットアームで連結させる作業を成功させた。米国やロシアの補給機で失敗が相次いで、ISSでの生活物資も細る中で、航空自衛隊パイロット時代に習得した高度な操縦技術を生かし、日本の存在感を見せつけた形だ。そのときのツイッターでは「こうのとりは日本が技術大国である象徴ですし、その技術を培ったのは、我々の先輩であり、皆さんでもあります」との思いを綴った。また、日本実験棟「きぼう」から、流星を観測するために千葉工業大の超小型衛星を放出させ、無重力の影響を探る植物実験や、宇宙滞在が目に及ぼす悪影響を調べる医学実験も被験者になって実施したし、周回軌道上からの惑星探査を想定し、地上の探査車を遠隔操作する欧州の実験にも参加し、米国人飛行士の船外活動支援にも取り組んだらしい。「宇宙の夢」が膨らむ話だ。
私個人の「宇宙の夢」の方に話を移すと・・・無重力状態に慣れるまでは、気持ちの良いものでも、便利なものでもないと言う。そりゃそうだろう、落ち着かないだろうと、私も想像してみる。実際に、宇宙空間では物を一つの場所に止めることが難しく、物を離せばその場にはとどまらず、小さな力でもどこかへ飛んでいってしまうため、面ファスナーか粘着テープなどで毎回しっかり固定しておかないと、なくしてしまい、なくした物を探すときは、床だけでなく3次元の空間を探さないといけないため、非常に時間もかかると述べておられる。ところが暫くして無重力状態に体も頭の空間認識も慣れてしまうと、逆にこれほど便利な所はないのだそうだ。道具などは床、壁、天井など、どこにでも張り付けておけるし、作業場所が高い所にあって手が届かないとか、手を挙げていて疲れるといったこともなく、天井で作業をするときは天井に張り付いて、壁で作業をするときは壁に張り付いて作業をすればよいと言う。地球では当たり前のことが、当たり前でなくなる・・・卑近な例では、海外旅行だって日本では当たり前のことが当たり前でなくなる小さな体験に驚くわけだが、子供の頃にアポロ計画が実現するニュースを目にした私のような世代の者としては、やはり、死ぬ前にちょっと味わってみたい宇宙体験だ。油井さんが羨ましい。
中国は、2007年1月と2014年7月に、ミサイルによる衛星破壊実験を行い、米戦略軍の司令官が、衛星攻撃兵器(ASAT)の実戦配備へ向けた運用能力の向上と、宇宙ごみの拡散という両面から脅威だとの認識を示して批判したことがあった(今年3月25日の産経Web)。衛星破壊実験は、米国や旧ソ連も冷戦時代に、米国は地上から打ち上げたミサイルを人工衛星に直接体当たりさせる直接上昇方式で、旧ソ連は地上から打ち上げたロケットで誘導体を目標となる人工衛星と同じ軌道に遷移させ、接近させて自爆し、破片によって目標を破壊する共通軌道方式(所謂キラー衛星による“自爆テロ”)で、実施しているが(Wikipedia)、宇宙ごみの拡散という問題が明らかになり、1985年を最後に実験を中断している。宇宙ごみは、1グラム以下の破片でも衝突時は秒速10キロ以上という超高速で、衛星に多大の被害が出る危険性が増して話題になっているものだ。実は、中国による2007年1月の衛星破壊は、意図したものではなかったのでは・・・という見方がある。有人宇宙活動をおこなう場合、今回、油井さんがISSで物資輸送機を捕捉したようなランデヴー・ドッキング技術が必須だが、それを習得しようと接近実験中、失敗したのではないかというのである。また2014年の実験では中国は「(ミサイルで)衛星を破壊するには至らなかった」と、米戦略軍の司令官は明らかにした。そしてそれが意図したものなのか失敗したものなのかは「確信はない」としながらも、「中国は運用能力を向上させるため、データを収集した」と指摘し、「実験は中国が、宇宙空間における軍事活動に傾注していることを示し、(米国も)備えなければならない」と強調した(産経Web)。米軍は早期警戒衛星により弾道ミサイルなどを探知するミサイル防衛(MD)を運用しているため、中国の衛星破壊実験はこれへの対抗措置だと見て警戒しているのだが、それを見越してジョージ・フリードマンは「100年予測」の中で、今世紀後半には、衛星ではなく月に設置するレーダーなどの軍事基地が重要になってくると解説した。ことほど左様に、宇宙空間は、サイバー空間とともに、第四、第五の新たな戦場として、虚々実々の駆け引きが始まっている。
確かに科学技術に軍事用途と民生用途の色分けは出来ず、日本のロケット技術は、中国や韓国に言わせればミサイル実験ということになるし、日本の原発についても、核軍縮を審議する国連総会の第1委員会で、中国に「日本はプルトニウムを大量保有し、それは1350発の核弾頭の製造に十分な量だ」と批判された(10月20日)のは記憶に新しい。核保有国の中国に言われたくないものだが、まあ今どき両用(dual-use)技術と言って、全てにおいて警戒されて仕方ない面もある。しかし日本のありようは、この夏の安保法制論議の中でも、あろうことか同じ日本人である野党や左派あるいは日本の自称リベラル(グローバル・スタンダードと区別するために敢えてこう呼ぶ)に大いに“誤解”されたものだが、集団的自衛権を容認しようが、徹底的に「平和国家」に拘って然るべきだし、そのありようを世界に向けて発信し続けるべきだと思う。油井さんが二週間前に産経新聞に寄せられた手記(11月29日の産経Web)に大いに賛同するので、引用したい。まさに憲法前文で述べられた「(前略)われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ(後略)」という平和国家・日本の決意表明を連想させる表現があり、微笑ましい。
(引用)
今回の任務、特にこうのとり5号機の活動を通じて、私はISS計画に参加する各国の日本への信頼の高さを実感できました。今後は日本の有人宇宙開発がさらに進展し、日本が国際社会の中でさらに力を発揮した上で、米露をはじめ宇宙開発に関わる各国から頼られるような存在になるべく、私も努力していきたいと思います。宇宙開発事業は、簡単ではありません。私たち関係者の力だけでは限界があります。人類の未来を担う有人宇宙開発の分野で名誉ある地位を得て、国際社会から尊敬される国になるためには、日本の皆さんがその重要性を認識し、日本の持っている力を結集する必要があると感じています。
(引用おわり)