風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

燃え尽き症候群

2017-04-18 23:26:00 | スポーツ・芸能好き
 暗~い大学受験が終わって晴れてぴかぴかの一年生として、春爛漫の新学期が始まると、やれ健康診断だ、サークル活動の勧誘だ、新歓コンパのハシゴだ、本業の科目選びだ(もっと言うと簡単に単位が取れる科目かどうかといった情報収集だ)と忙しいこともあって、浮足立って気がつかないでいるのだが、ゴールデンウィークが明けて一段落した頃に、さて本格的な大学生活が始まると思いきや、なんとなく(目標)喪失感に襲われて、やる気が出ず、毎日、大学には顔を出すものの講義に出るわけでなし、喫茶店で友人を見つけてはだらだらと喋り、暗くなるとアテもなく飲み歩いて、日々を無駄に過ごしたものだった。所謂「五月病」である。
 今の気分もそれに近い。冬の間、酒も食事も(私なりに)節制して、インフルエンザや風邪にも気を付けながら、せっせと(私なりに)走り込みをして、年寄りの冷や水と揶揄されようが、ちまちまと身体をつくって大会に備えて、緊張していたのだ(私なりに)。いざ日曜日のレースを以て今シーズンが終わった・・・と思ったら、なんだか虚脱感に見舞われて、一気に緊張が解けたのか体調を崩して、季節外れもいいところだが喉を枯らして鼻をずるずるする始末である。「五月病」と言うより「燃え尽き症候群」と呼ぶのが正しそうだ。本来は「一定の生き方や関心に対して献身的に努力した人が期待した結果が得られなかった結果感じる徒労感または欲求不満」(Wikipedia)のことを言うらしいが、そこまで深刻な精神状態ではないにせよ、日本では「部活動を引退する高校3年生、オリンピックや世界大会を終えた日本代表選手などが『それまでの人生最大の目標を終え、打ち込む物が何もなくなった』という虚脱感に襲われること」を「燃え尽き症候群」と称するらしい(同)。遠慮して「ミニ燃え尽き症候群」とでもしておこう。
 マラソンを走るのが趣味かと問われれば、ちょっと違う。好きで走るほど酔狂ではないし、ましてや「マラソン・命」とは程遠い。そもそも練習嫌いだ。なるべく練習しないで、でもなんとか完走したいと思う(きっと同年代の似たような記録の人たちよりも格段に練習量が少ないと思う・・・などと自慢げに思ってしまう)。この程度の練習量でここまで出来る!と瀬踏みするようなところがある。そのココロは何だろう。以前、「身体にキレ」が戻るのが心地良いと書いた。「意地」がないわけではなし、「達成感」もないわけではなし、「マゾヒスティック」でないわけではなし、「ナルシシズム」でないわけではなし、と書いた。そして加齢とともに「健康問題」も絡んでくるが、それはキッカケでしかないような気がする。ということは、つまるところ若さを実感したいだけの、ただの悪あがきか。我が家のヘルスメーターによれば、体重を10キロ以上減らして、体脂肪率12%台、内臓脂肪7、推定年齢38~40を維持しているのを見るのは、自己満足、自己陶酔以外の何物でもない。だからと言って、年がら年中、走るほどマメではないから、いつの間にか春から初秋までは(この歳で暑い中を走るのは危険だと言い訳にして)完全休養にしてしまった。マラソン指南役の同僚からは、春は走り込み、夏はスピード練習、と言われていたにもかかわらず、である。さすがに、BREXITの英国ならぬ「良いとこどり」も、そろそろ限界かも知れない。
 真央ちゃんのように「人生そのもの」と言えるとカッコイイが、もとより私にとって走ることはそんなものでは到底ない。しかし何かしら「ご縁」があるのである。鹿児島で生まれた頃は元気そのものだったのに、3歳で大阪に引っ越してからは(水が合わなかったせいか)病弱になり、健康づくりのためと称して、父親に毎朝、嫌々ながらもジョギングにつき合わされたのが最初だった。中学生の体育の授業では、毎回、最初に3分間走と称して裏山をぐるりと一周走らされ、反抗期でサボる生徒が多い中で、いつもムキになってクラス・トップを争ったまでは可愛げがあるが、高校では陸上部で中距離を専門にし、若い有り余るエネルギーを良からぬことに発散させることなく、清く正しく、さんざん走り疲れたはずだった。スピード練習ばっかりやっていたので、(実際に高校生が5000メートルを全速力で走るよりも速いペースで42キロを走り続ける)マラソンなんて土台無理だと諦めていた。それなのに、アメリカ駐在中、同僚に勧められるまま、フル・マラソンの大会に参加するようになり、15年のブランクの後、今また「燃え尽き症候群」になるまで走ることになろうとは、一体どうしたことか。私にとって走ることは「業」のようなものなのか。
コメント
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