風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

朝鮮半島と日本(前編)

2018-01-16 00:40:00 | 時事放談
 韓国の文在寅大統領が10日に行った年頭の記者会見で、トランプ米大統領を評価し、北朝鮮の非核化に言及したことに対し、北朝鮮メディアは「和解局面に冷や水を浴びせる穏当ならぬ妄言」と非難し、「わが方は北南関係改善に今後も積極的に努力するだろうが、平昌五輪に参加するわが方の代表団を乗せた列車やバスがまだ平壌にあることを理解すべき」と挑発したらしい(産経電子版)。
 さらに、韓国の保守系メディアが北朝鮮による南北対話の提案について、米韓同盟に亀裂を生じさせるための離間策だと報じたり、応援団や芸術団の派遣も体制宣伝に活用するためだと伝えたりしていることに対し、北朝鮮の朝鮮記者同盟の部長は、「(北朝鮮の)誠意をばかにし、冒涜する悪口」「北南関係(改善)ムードに冷や水を浴びせる妄動だ」と非難し、「わが人民は初歩的な礼儀も知らない売文集団がのさばる険悪な場に、神聖な使節(代表団)を送らなければならないのかと憤慨している」とまでのたまって、派遣取りやめをちらつかせて報道を牽制したという(同)。
 盗人猛々しいにもほどがある・・・と思うのは私だけではないだろう。そもそも北朝鮮は、日本や韓国などの他国民を拉致してきた国際的犯罪者であることをあらためて想起すべきだ。しかも核不拡散の国際合意(NPT)から勝手に離脱して、核開発とミサイル発射実験を繰り返し、2006年以来、国連・安全保障理事会から10度(この二年だけでも6度)にわたる制裁決議を受けているにも関わらず、従う気配すらなく、抜け穴を探しては自由自在に振舞う国際的お尋ね者である。そんな北朝鮮に対して、韓国からは平昌五輪招待に関する費用負担の話が出ているようだが、米国をはじめとして、国連・安保理制裁決議に反する可能性があると否定的である。こうして、言いたいことを言う北朝鮮も北朝鮮だが、北朝鮮に言いたいことを言わせる韓国もまた韓国と言うべきだろう。南北の実務者協議は、案じた通り、北朝鮮ペースで進んでいるようだ。
 エドワード・ルトワック氏は、今般の朝鮮半島問題で、韓国が全く当事者意識をもってないことを強く非難していた。今なお南北朝鮮は休戦状態にあるわけだが、韓国における戦時作戦統制権は、朝鮮戦争が始まった1950年以来、国連軍司令官や在韓米軍司令官が握っていて、韓国ではない。日本だって余り他人のことをつべこべ言う権利はないのだが、平昌五輪というお祭りに、北朝鮮が参加すると示唆するや、尻尾を振って擦り寄るとは、余りにご都合主義で酷すぎやしないか? 
 日本の保守系の論客は、おもむろに福沢諭吉先生の「脱亜論」の埃を払ってひっぱり出し、これみよがしに提示して、当時と相似形ではないかと得意気に言う。当時、福沢先生は、朝鮮の近代化をめざす開化派の金玉均一派のクーデターを支援していたのだが、挫折し、有名な一節を吐いたと伝えられる。「我れは心に於てはアジア東方の悪友を謝絶するものなり」・・・一部には、「脱亜論」をアジアへの侵略主義の表れと批判する向きもあるが、拓殖大学・学事顧問の渡辺利夫さんは近著の中で、開化派への心情的な思い入れを改め、朝鮮半島の問題に現実的に対処しよう、これが福沢の真意だったという。そして朝鮮半島について、こう述べる。「違約背信は彼らの持前(=本性)」「朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して」・・・まさに慰安婦合意のことまでお見通しのようだ。
 慰安婦問題を巡る2015年の日韓合意について、読売新聞が実施した全国世論調査が報じられている。韓国政府からの追加要求には応じないとする日本政府の方針を「支持する」と答えた人は実に83%に上ったという。読売新聞の世論調査に応じたのだから、やや保守寄りとは思うが、性別や年代を問わず高い割合を占めたという。
 前置きが長くなってしまった。実は、南北朝鮮のことを今さらとやかく言っても仕方ないし、胸クソ悪いので、久しぶりに国内の主要日刊紙の社説がどう伝えたか比較しようと思っていたのだが、長くなったので次回。
コメント
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