トランプ大統領は、今月末に予定されている米朝首脳会談に関し、「『最終的には北朝鮮の非核化を目指すが、(北朝鮮による)核実験がない限りは急がない』と述べ、早期の非核化実現にこだわらない姿勢を明らかにした」という(産経電子版)。事実上、二度目の米朝首脳会談は期待できる内容になりそうにないと弁明した形だが、むしろ無理に妥協しない現実的な判断だろうと思われる。というのは、早期に決着しない、あるいは期限を設けないことにガッカリする人が多いかも知れないが、「時間」をかけることは、北朝鮮に対する国連安保理決議に基づく経済制裁が緩められない限り、トランプ大統領側に味方するからだ。
金正恩委員長の本音は、恐らく(北朝鮮のスポークスマンと化している)韓国の文在寅大統領の口を通して語られているものと思われる。すなわち、文在寅大統領がトランプ大統領との電話会議で明らかにしたところによると、「北朝鮮の非核化措置を引き出すための『相応の措置』として韓国の役割を活用してほしいと伝え、南北の鉄道・道路連結や経済協力事業の活用を申し出た」(同)ということは、事実上、国連安保理決議に基づく経済制裁の緩和を要求したものであって、北朝鮮がいくら瀬取り等で不法に燃料等をちまちまと入手しようが、経済制裁は効いているように思われる。
他方、日露平和条約締結交渉に関連し、ロシアのラブロフ外相は、ドイツ・ミュンヘンで行われた河野太郎外相との会談後の記者会見で、「ロシアは条約締結の期限を人為的に設けることはしない」と述べたという(同)。交渉の長期化を示唆した発言と受け止められており、自らとプーチン大統領の手で終止符を打つという意志を完全に共有したと豪語する安倍首相にとって、最大任期が2021年9月までと限られる中で、時間がかかることは、既に各方面で解説される通り、残念ながら安倍首相には味方しない。
交渉において時間というファクターはなかなか微妙ながらも決定的で冷酷なものだ。
それにしても、前回ブログで取り上げた通り、トランプ大統領を持ち上げる分にはなかなかしたたかに見える安倍外交も、強面で強欲なロシアを相手にハッタリをかまさなければならないような局面になると、途端に腰砕けになるのはどうしたことだろう。ラブロフ外相は言いたい放題で、日本に対し、ロシア側の歴史認識の承認を要求したり、経済協力の遅れや引き渡し後の軍事的懸念などを相次ぎ表明したりしたのに対し、安倍首相は何を忖度する必要があるのか、日本固有の領土と呼ぶのを控えるなど、既に交渉が始まる前から負けているように思われる。このあたり、島国・日本は歴史的に、国境を接する大陸国の間で繰り広げられる権力政治に疎いと言わざるを得ないのは、何とも情けないことだと、ついボヤキたくなる。
金正恩委員長の本音は、恐らく(北朝鮮のスポークスマンと化している)韓国の文在寅大統領の口を通して語られているものと思われる。すなわち、文在寅大統領がトランプ大統領との電話会議で明らかにしたところによると、「北朝鮮の非核化措置を引き出すための『相応の措置』として韓国の役割を活用してほしいと伝え、南北の鉄道・道路連結や経済協力事業の活用を申し出た」(同)ということは、事実上、国連安保理決議に基づく経済制裁の緩和を要求したものであって、北朝鮮がいくら瀬取り等で不法に燃料等をちまちまと入手しようが、経済制裁は効いているように思われる。
他方、日露平和条約締結交渉に関連し、ロシアのラブロフ外相は、ドイツ・ミュンヘンで行われた河野太郎外相との会談後の記者会見で、「ロシアは条約締結の期限を人為的に設けることはしない」と述べたという(同)。交渉の長期化を示唆した発言と受け止められており、自らとプーチン大統領の手で終止符を打つという意志を完全に共有したと豪語する安倍首相にとって、最大任期が2021年9月までと限られる中で、時間がかかることは、既に各方面で解説される通り、残念ながら安倍首相には味方しない。
交渉において時間というファクターはなかなか微妙ながらも決定的で冷酷なものだ。
それにしても、前回ブログで取り上げた通り、トランプ大統領を持ち上げる分にはなかなかしたたかに見える安倍外交も、強面で強欲なロシアを相手にハッタリをかまさなければならないような局面になると、途端に腰砕けになるのはどうしたことだろう。ラブロフ外相は言いたい放題で、日本に対し、ロシア側の歴史認識の承認を要求したり、経済協力の遅れや引き渡し後の軍事的懸念などを相次ぎ表明したりしたのに対し、安倍首相は何を忖度する必要があるのか、日本固有の領土と呼ぶのを控えるなど、既に交渉が始まる前から負けているように思われる。このあたり、島国・日本は歴史的に、国境を接する大陸国の間で繰り広げられる権力政治に疎いと言わざるを得ないのは、何とも情けないことだと、ついボヤキたくなる。