風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

史上最長の安倍政権

2019-11-23 11:37:19 | 時事放談
 前回ブログの補足として・・・「桜を見る会」に実際に参加したことがある方に話を伺う機会があった。後援会の関係者ではない(笑)、大学や役所の有識者で、新宿御苑に1万人を超える招待客は明らかに多過ぎて、食事が供されると言ってもあっという間になくなって、ありつくことが出来ず、桜じゃなくて葉桜の見物で、こりゃ拷問だと参加者同士でぼやいていたそうだ(笑)。これまで主催者側の公私混同だとばかり悪しざまに罵られて来たが、陳情が政治家の問題と言うより有権者たる国民の我がままであるのと同様、もしかしたら地元の後援会や一部の関係者の我がままに、安倍首相や与党議員が(嬉々として?)義理立てしているだけではないかと思えて来た(苦笑)。まさか政権側がそんな実態を(それが本当なら)マスコミ取材で話すわけにはいかないだろうから、真実は明かされないままだろうが・・・
 今週、安倍首相の通算在任日数が、戦前の桂太郎・元首相(2886日)を超え、憲政史上最長となった。来年夏には、佐藤栄作・元首相の7年8ヶ月の連続在任記録をも超えることになりそうだ。これは、逆説的だが余り喜んではいられないように思う。安倍首相そのものが問題なのではない。むしろ混迷の時代に安倍さんという首相(更にその周囲を含むチーム安倍と言うべきかも知れない)を戴くことが出来たのはまあまあ幸運だったと喜ぶべきだろう。何が問題かと言うと、安倍さんという政治家に頼り過ぎの“状況”である。端的に、野党が多弱であること、自民党内にも首相後継候補が見当たらないこと、そうした政治の貧困である。
 民主党政権時代を含めて、毎年のように首相の顔が変わる2000年代後半のことを思えば、安定感があるのは望ましい。「桜を見る会」や「モリ・カケ」問題や閣僚任命責任など、長期政権にありがちの驕りや歪みも目につくが、安倍政権の成績を振り返る場合、日本人の悪い癖を脱して、受験勉強よろしく日本史と世界史を分けてしまいがちになる(内政や政局ばかりに目を向ける)愚を犯すことなく、如何なる世界史的環境の中でどういった成果を挙げてきたかを公平に評価すべきだろう。
 そういう意味では、これまでのところは好調な世界経済に助けられてきたことは間違いない。とりわけ経済政策・アベノミクスは、大胆な金融緩和と財政出動という基盤はそれなりに機能してきた。しかしその基礎に乗っかる本丸の成長戦略が力不足なところは否めない。成長そのものは政治の責任とは言い切れないものの、規制緩和や法整備など政治としての環境整備が十分だったかと問われれば、そうとは言い切れないウラミがある。しかし、支持率が順調なときを狙って、一般国民(一部国民と言うべきか?)には不人気な安全保障関連の法整備を行い、選挙で得点にならない外交・対外政策で着実に成果をあげて来たことは評価しなければならないだろう。第二次政権発足当初は、靖国参拝などでアメリカからも保守的・リビジョニスト的な性格を警戒されたが、きっちり軌道修正し、気紛れなトランプ大統領ともうまく付き合って、日米二国間関係を強固なものにした上、アメリカをインド太平洋構想に乗っからせ、広くアジアの秩序維持を担うまでに至っているのは、隔世の感がある。停滞する経済のもとで格差社会と大量難民が発生する地域を周辺に抱えてポピュリズムに揺れる欧州をも適宜巻き込みながら、中国という異形の権威主義国家が台頭するアジアで、米中戦争に揺さぶられつつも、リベラルで多国間の国際秩序を守れるのは、もはや日本を措いて他にはないような悲惨な状況である。
 北朝鮮による拉致問題、ロシアとの北方領土交渉、日韓関係・・・個別に見て行けば、どこに成果があるのか疑問に思われるところだが、言い訳がましくも国際関係は相手あってのこと、そうそう上手く行くことばかりではない。安倍政権によってそのレベルで留まっていると言えなくもない。というのも指導者同士で見て行けば、トランプ大統領ともプーチン大統領とも、安倍さんはうまく付き合っているし、まともに付き合えば金正恩委員長や習近平国家主席ともうまくやれるのではないかと思わせるからだ(根拠が乏しいが 笑)。唯一、文在寅大統領だけは例外だが、トランプ大統領をはじめとして彼を敬遠する人の方が多いし(苦笑)、韓国については、昨晩のGSOMIA継続に見られたように、むしろ毅然とした対応こそこれまでにない安倍政権ならではの画期的な到達点だ。いずれにしても国家間の関係にあっては個人的関係は無視できない要素で、それを含め、安倍政権によって構築されたシステムが、ポスト安倍の時代に維持されるのかどうかが注目されるところであろう。二階幹事長は四選が可能になる党則改正をちらつかせ、ロイターによれば、安倍首相が一度辞めてから復帰するという、プーチン大統領は再登板だったが、安倍さんの場合は再々登板となるシナリオが市場で囁かれているようだが、それはともかく、不安定な香港や台湾や朝鮮半島情勢を見れば、秩序安定が如何に重要かが分かるし、いずれ日本の社会にも影響を与えかねないことが大いに懸念されるのである。
コメント
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