昨日を以て、安倍さんの連続在職日数(2799日)が歴代単独一位となった。政治は結果なので、長く勤めていれば良いというものではないが、日本でも他国同様に分断された難しい社会状況の中で、天の時、地の利、人の和が揃わないと、なかなか出来ることではないだろう。
先ず、天の時ということでは、第二次安倍政権が、政権交代した民主党政権が余りにお粗末だった後を受けたタイミングで発足したのは幸運だったと思う。なんぼなんでも、あれよりはマシ、というコンセンサスが、前半の安定したと言うべきか独走したと言うべき政権運営を支えた。その後も、多弱野党は政権の揚げ足とりに終始するばかりで、まともな対抗勢力たり得ず、選挙のときにこそ多少なりとも野合したが、必ずしも盤石とは言えない自民党を相手に、5度の国政選挙で全敗した。もっとも、対抗し得ないばかりに、安倍さん個人への誹謗中傷や印象操作が甚だしく、国民の政治不信を助長し、かつてないほどに政治報道が荒んで行ったのは、正直なところ見るに堪えなかった。極め付きは検察庁法改正案で、ツイッターデモ500万人という前代未聞の事態に発展したのは、コロナ禍という前代未聞の極度のストレスに晒された自由業の芸能人の方々を中心に、言わば現代版の魔女狩りが行われたと言うべきだろう、もはやお手上げの状況だった(誰かが焚きつけたのであろうし、BLM運動のように、お隣の国から“荒らし”があったかも知れない 苦笑)。
次に、地の利、すなわち官邸主導という観点から、民主党政権時代には政治主導と言いながら官僚を使いこなせなくて空回り、つまりは官僚に相手にされなかったのを、安倍政権では内閣人事局をテコに幹部人事を掌握し、有能な官僚を所謂「官邸官僚」として起用して、まがりなりにも政治を前に進めることが出来た。もっとも、強い官邸に対して忖度がはびこり、さらには却って反発を受けて、実態は今なおよく分からないモリ・カケやサクラで躓き、恐らく策としては悪くなかったが余りに実行が遅くてアベノマスクと揶揄され、PCR検査では伝統的ともいうべき官僚の壁に阻まれて、いずれも安倍さん個人の不始末という印象が植え付けられたのはご本人もさぞ不本意だったであろう。
更に人の和ということでは、これまたかつてはお友達内閣と揶揄されたものだが、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官という政権の骨格を変えなかったことで安定感を生み出したのは間違いないし、石破さんはともかく谷垣禎一さんや二階俊博さんの自民党幹事長への起用は、とかく「xxおろし」に傾きがちの自民党への抑えになった。最近の体調不良にあたって「強制的に・・・休ませなきゃならない」と発言された甘利明さん(自民党税調会長)のような側近も、TPP担当の国務大臣や内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、さらに自民党の知的財産戦略調査会長や選挙対策委員長として、しっかり安倍さんの脇を固めた。
だからといって、成果がなかったわけではなく、経済政策では大胆な金融緩和や機動的な財政出動によって経済成長を促す「アベノミクス」を推進したし(といっても道半ばで、コロナ禍によってご破算になってしまった)、安全保障政策では積極的平和主義を掲げて集団的自衛権行使の一部容認を含む安全保障関連法を成立させたし(戦争法というレッテルを貼られてリベラル派には甚だ評判が悪いが)、外交政策では気紛れトランプ大統領に取り入って日米関係を安定させたし(北方領土を巡る日露関係や、北朝鮮の拉致問題に進展がないのは事実)、何といっても選挙で不人気な消費税増税を2014年と2019年の二度にわって断行した(二度目はタイミングが悪かったと批判されるが)。こうして挙げていけば、最長政権だけのことはあるように思うが、SNS全盛で見たいもの聞きたいものしか見ない聞かない時代に、しかも反体制の人ほど声が大きく、コロナ禍で益々社会的分断が助長され、そもそも一国の総理大臣という大役はストレスが多く、持病もあって、最近は息切れ気味である。
こうした国難とも言える状況で、国民民主の玉木雄一郎代表や原口一博国対委員長のように、労りの言葉をかける良識ある(というより当たり前の)方々がいる一方、共産党の小池晃書記局長は何だかんだ言って「休んでいるか休んでいないか、ということで言うと、記者会見もほとんどやっていないし、国会もやっていないし、かなりお休みになる時間はあったのではないか」 とイヤミを述べ、無所属の柚木道義とかいう衆院議員に至っては、「おいおい、この夏全く国会に出てこない首相を休ませる? 国会も出ない、会見もしない、世界的にもコロナ対策への無能さを指摘されてる首相には、遠慮なく辞任頂き、どうぞ終わりなき夏休みを。誰も止めません」 「安倍首相 ご無理されずずっと休まれたら良いのでは。麻生臨時代理に交代してでも首相としての責務停滞許されません。首相が疲れている?疲れているのは国民の皆様では?」など、とても国民の負託を受けた政治家とは思えない品のなさには目を疑った(苦笑)。コロナ禍では、国民の規律ある対応が功を奏したのは事実だが、政府が何もしなかったわけではない。悪いことは何でも安倍さんのせいで、三密回避は専門家会議の成果だと言うのは酷であろう。東京オリパラや習近平国家主席の国賓来日があって(クルーズ船の後の)第二波に対する初動が遅れたが、専門家会議を無視して一斉休校を宣言すれば独断と批判され、専門家会議を尊重すると丸投げと批判され、と、ためにする批判としか思えないし、狭い日本列島と言っても地域によって事情が異なり、政府が出来ることが限られていたことは割り引いて考える必要があるだろう。
・・・とまあ、今回はお祝いの餞として、また公平に見て私自身は今なお安倍さんに期待しているため、甘めのブログとなったが、集団的自衛権行使の一部容認で見せた妥協が、憲法改正にあたっても三項“加憲”のような中途半端な主張となっているのは感心しないし、経済の成長戦略という三本目の矢がいつの間にか見えなくなってしまったのも物足りなく思ってもいる。その時々の感情に左右される世論調査など気にすることなく、信じるところを自信をもって突き進み、憲法改正や東京オリパラというレガシーを(今となってはかなり厳しい状況ではあるが)実現させて頂きたいものだと思う。
先ず、天の時ということでは、第二次安倍政権が、政権交代した民主党政権が余りにお粗末だった後を受けたタイミングで発足したのは幸運だったと思う。なんぼなんでも、あれよりはマシ、というコンセンサスが、前半の安定したと言うべきか独走したと言うべき政権運営を支えた。その後も、多弱野党は政権の揚げ足とりに終始するばかりで、まともな対抗勢力たり得ず、選挙のときにこそ多少なりとも野合したが、必ずしも盤石とは言えない自民党を相手に、5度の国政選挙で全敗した。もっとも、対抗し得ないばかりに、安倍さん個人への誹謗中傷や印象操作が甚だしく、国民の政治不信を助長し、かつてないほどに政治報道が荒んで行ったのは、正直なところ見るに堪えなかった。極め付きは検察庁法改正案で、ツイッターデモ500万人という前代未聞の事態に発展したのは、コロナ禍という前代未聞の極度のストレスに晒された自由業の芸能人の方々を中心に、言わば現代版の魔女狩りが行われたと言うべきだろう、もはやお手上げの状況だった(誰かが焚きつけたのであろうし、BLM運動のように、お隣の国から“荒らし”があったかも知れない 苦笑)。
次に、地の利、すなわち官邸主導という観点から、民主党政権時代には政治主導と言いながら官僚を使いこなせなくて空回り、つまりは官僚に相手にされなかったのを、安倍政権では内閣人事局をテコに幹部人事を掌握し、有能な官僚を所謂「官邸官僚」として起用して、まがりなりにも政治を前に進めることが出来た。もっとも、強い官邸に対して忖度がはびこり、さらには却って反発を受けて、実態は今なおよく分からないモリ・カケやサクラで躓き、恐らく策としては悪くなかったが余りに実行が遅くてアベノマスクと揶揄され、PCR検査では伝統的ともいうべき官僚の壁に阻まれて、いずれも安倍さん個人の不始末という印象が植え付けられたのはご本人もさぞ不本意だったであろう。
更に人の和ということでは、これまたかつてはお友達内閣と揶揄されたものだが、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官という政権の骨格を変えなかったことで安定感を生み出したのは間違いないし、石破さんはともかく谷垣禎一さんや二階俊博さんの自民党幹事長への起用は、とかく「xxおろし」に傾きがちの自民党への抑えになった。最近の体調不良にあたって「強制的に・・・休ませなきゃならない」と発言された甘利明さん(自民党税調会長)のような側近も、TPP担当の国務大臣や内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、さらに自民党の知的財産戦略調査会長や選挙対策委員長として、しっかり安倍さんの脇を固めた。
だからといって、成果がなかったわけではなく、経済政策では大胆な金融緩和や機動的な財政出動によって経済成長を促す「アベノミクス」を推進したし(といっても道半ばで、コロナ禍によってご破算になってしまった)、安全保障政策では積極的平和主義を掲げて集団的自衛権行使の一部容認を含む安全保障関連法を成立させたし(戦争法というレッテルを貼られてリベラル派には甚だ評判が悪いが)、外交政策では気紛れトランプ大統領に取り入って日米関係を安定させたし(北方領土を巡る日露関係や、北朝鮮の拉致問題に進展がないのは事実)、何といっても選挙で不人気な消費税増税を2014年と2019年の二度にわって断行した(二度目はタイミングが悪かったと批判されるが)。こうして挙げていけば、最長政権だけのことはあるように思うが、SNS全盛で見たいもの聞きたいものしか見ない聞かない時代に、しかも反体制の人ほど声が大きく、コロナ禍で益々社会的分断が助長され、そもそも一国の総理大臣という大役はストレスが多く、持病もあって、最近は息切れ気味である。
こうした国難とも言える状況で、国民民主の玉木雄一郎代表や原口一博国対委員長のように、労りの言葉をかける良識ある(というより当たり前の)方々がいる一方、共産党の小池晃書記局長は何だかんだ言って「休んでいるか休んでいないか、ということで言うと、記者会見もほとんどやっていないし、国会もやっていないし、かなりお休みになる時間はあったのではないか」 とイヤミを述べ、無所属の柚木道義とかいう衆院議員に至っては、「おいおい、この夏全く国会に出てこない首相を休ませる? 国会も出ない、会見もしない、世界的にもコロナ対策への無能さを指摘されてる首相には、遠慮なく辞任頂き、どうぞ終わりなき夏休みを。誰も止めません」 「安倍首相 ご無理されずずっと休まれたら良いのでは。麻生臨時代理に交代してでも首相としての責務停滞許されません。首相が疲れている?疲れているのは国民の皆様では?」など、とても国民の負託を受けた政治家とは思えない品のなさには目を疑った(苦笑)。コロナ禍では、国民の規律ある対応が功を奏したのは事実だが、政府が何もしなかったわけではない。悪いことは何でも安倍さんのせいで、三密回避は専門家会議の成果だと言うのは酷であろう。東京オリパラや習近平国家主席の国賓来日があって(クルーズ船の後の)第二波に対する初動が遅れたが、専門家会議を無視して一斉休校を宣言すれば独断と批判され、専門家会議を尊重すると丸投げと批判され、と、ためにする批判としか思えないし、狭い日本列島と言っても地域によって事情が異なり、政府が出来ることが限られていたことは割り引いて考える必要があるだろう。
・・・とまあ、今回はお祝いの餞として、また公平に見て私自身は今なお安倍さんに期待しているため、甘めのブログとなったが、集団的自衛権行使の一部容認で見せた妥協が、憲法改正にあたっても三項“加憲”のような中途半端な主張となっているのは感心しないし、経済の成長戦略という三本目の矢がいつの間にか見えなくなってしまったのも物足りなく思ってもいる。その時々の感情に左右される世論調査など気にすることなく、信じるところを自信をもって突き進み、憲法改正や東京オリパラというレガシーを(今となってはかなり厳しい状況ではあるが)実現させて頂きたいものだと思う。