5日前、自衛隊のヘリコプターが佐賀県の民家に墜落した。米ボーイング開発の戦闘ヘリで、通称アパッチロングボウと言うらしい。民間人に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、操縦士と副操縦士が殉職された。国民と国を守る自衛隊員が、このような形で最期を迎える無念のほどは如何ほどだったかを思うと、いたたまれない。
墜落したヘリは、異常を感知したため着陸を試みたが機首から落下したという。どうもメインローター(主回転翼)が先に落ち、その後に本体が落ちた可能性があるという。さらに、直前の整備でメインローターの4枚の羽根をつなぐメインローターヘッドを交換したばかりだったともいう。事故機と同じAH64D攻撃ヘリは米軍や韓国軍でも使われているが、似たような事故は報告されていないと言われており、整備不良が疑われている。
自衛隊は、この攻撃ヘリを、当初60機購入する予定だったが、予算をミサイル防衛(MD)に取られて、保有数は13機にとどまるため、使用頻度が高まり、その割りに整備する人員は限られることにより整備の質の低下が問題視されていたと指摘する声がある。実際、防衛予算は、安倍政権になって若干増えつつあるが、それ以前に長年にわたって抑えられてきたため、一方で、戦闘機F35やオスプレイやミサイル防衛などといった派手な運用費が増える分、他方で、整備維持費、所謂ロジスティクス(後方支援)周りの費用が減らされて、却って稼働率が落ちていると聞く。その昔、パソコン商売をやっていた頃、緊急で保守部品が必要になったときに、完成品在庫をバラして必要な部品を取り出して流用する(これをカニバライズ=共食いと呼ぶ)ことがあった。当然、部品を抜かれた製品は不良在庫として眠ってしまう。なんと戦闘機でも、こうしたカニバライズが行われて眠っているものがあるという。民間企業の製品在庫なら自業自得で笑っていられるが、国の防衛をつかさどる自衛隊で同じ事態が起こっているとすれば甚だ心許ない。自衛隊では、ここ一年だけ拾ってみても、昨年5月に陸自の連絡偵察機(北海道)、8月に海自ヘリ(山口と青森)、10月に空自の救難ヘリ(静岡)が訓練や任務中に墜落し、計11人もの自衛隊員が殉職されているのは、決して偶然ではないように思う。先ほどは操縦士と副操縦士の無念を思ったが、整備士はもっと無念に思っているかも知れない。国民、とりわけ左翼的メディアや野党の感情的な反・軍事的な言説に惑わされる人たちは、真面目に国防に目を向けた方がよい。
今回の事故は、沖縄で米軍ヘリの部品落下事故や不時着が相次いでいる中で起ったもので、軍用機への不安が高まることが懸念される。米軍も疲弊しているようだが、米軍には別の背景があると元自衛隊幹部の山口昇氏は分析する。
軍事や政治・経済の分野でFDOs(Flexible Deterrent Options、柔軟に選択される抑止措置)という用語があり、「小規模ではあるが明確な措置をとることによって敵対的な相手にメッセージを伝え、攻撃的な意図を思いとどまらせること」(同氏)をいい、軍事的なFDOsの具体的な行動として、「戦闘機や爆撃機の飛来、演習の頻度や規模の増大、空母機動部隊の派遣など多岐にわたる」(同)という。とりわけ一昨年9月に北朝鮮が核実験を行って以来、米国の軍事的FDOsが本格化し、昨春からはより大規模で高い水準の措置が講じられており、これら「FDOsによって北朝鮮の挑発行為などの抑止を図ると同時に、必要ならいつでも実際の軍事力行使にエスカレートできるという態勢を示してきた」(同)という。
奇しくもこのヘリの事故と同じ日、米国のマティス国防長官はソウルを訪問し、核兵器の使用に対して「圧倒的かつ効果的(overwhelming and effective)な対応を行う」と述べている。米国が本気になったら、北朝鮮などひとたまりもない。1994年に第二次朝鮮戦争の一歩手前まで行って、ソウルが火の海になる(犠牲者は100万人)からとギリギリのところで踏みとどまったと言われるが、その後の精密誘導兵器や北朝鮮軍についての軍事情報があれば、「ソウルが全くの無傷にとどまる可能性は低い」(同)が、「火の海になる可能性も極めて低い」(同)という。そうなれば、「朝鮮半島の後背地である日本に横須賀や岩国など米軍にとって重要な基地が数多く存在することを勘案すれば、日本に脅威が及ぶ可能性は高い」(同)。
軍用機の事故は、徒に軍事に対する危機を煽るのではなく、その背景にあるものを、日本人としてしっかり考える必要がありそうだ。
墜落したヘリは、異常を感知したため着陸を試みたが機首から落下したという。どうもメインローター(主回転翼)が先に落ち、その後に本体が落ちた可能性があるという。さらに、直前の整備でメインローターの4枚の羽根をつなぐメインローターヘッドを交換したばかりだったともいう。事故機と同じAH64D攻撃ヘリは米軍や韓国軍でも使われているが、似たような事故は報告されていないと言われており、整備不良が疑われている。
自衛隊は、この攻撃ヘリを、当初60機購入する予定だったが、予算をミサイル防衛(MD)に取られて、保有数は13機にとどまるため、使用頻度が高まり、その割りに整備する人員は限られることにより整備の質の低下が問題視されていたと指摘する声がある。実際、防衛予算は、安倍政権になって若干増えつつあるが、それ以前に長年にわたって抑えられてきたため、一方で、戦闘機F35やオスプレイやミサイル防衛などといった派手な運用費が増える分、他方で、整備維持費、所謂ロジスティクス(後方支援)周りの費用が減らされて、却って稼働率が落ちていると聞く。その昔、パソコン商売をやっていた頃、緊急で保守部品が必要になったときに、完成品在庫をバラして必要な部品を取り出して流用する(これをカニバライズ=共食いと呼ぶ)ことがあった。当然、部品を抜かれた製品は不良在庫として眠ってしまう。なんと戦闘機でも、こうしたカニバライズが行われて眠っているものがあるという。民間企業の製品在庫なら自業自得で笑っていられるが、国の防衛をつかさどる自衛隊で同じ事態が起こっているとすれば甚だ心許ない。自衛隊では、ここ一年だけ拾ってみても、昨年5月に陸自の連絡偵察機(北海道)、8月に海自ヘリ(山口と青森)、10月に空自の救難ヘリ(静岡)が訓練や任務中に墜落し、計11人もの自衛隊員が殉職されているのは、決して偶然ではないように思う。先ほどは操縦士と副操縦士の無念を思ったが、整備士はもっと無念に思っているかも知れない。国民、とりわけ左翼的メディアや野党の感情的な反・軍事的な言説に惑わされる人たちは、真面目に国防に目を向けた方がよい。
今回の事故は、沖縄で米軍ヘリの部品落下事故や不時着が相次いでいる中で起ったもので、軍用機への不安が高まることが懸念される。米軍も疲弊しているようだが、米軍には別の背景があると元自衛隊幹部の山口昇氏は分析する。
軍事や政治・経済の分野でFDOs(Flexible Deterrent Options、柔軟に選択される抑止措置)という用語があり、「小規模ではあるが明確な措置をとることによって敵対的な相手にメッセージを伝え、攻撃的な意図を思いとどまらせること」(同氏)をいい、軍事的なFDOsの具体的な行動として、「戦闘機や爆撃機の飛来、演習の頻度や規模の増大、空母機動部隊の派遣など多岐にわたる」(同)という。とりわけ一昨年9月に北朝鮮が核実験を行って以来、米国の軍事的FDOsが本格化し、昨春からはより大規模で高い水準の措置が講じられており、これら「FDOsによって北朝鮮の挑発行為などの抑止を図ると同時に、必要ならいつでも実際の軍事力行使にエスカレートできるという態勢を示してきた」(同)という。
奇しくもこのヘリの事故と同じ日、米国のマティス国防長官はソウルを訪問し、核兵器の使用に対して「圧倒的かつ効果的(overwhelming and effective)な対応を行う」と述べている。米国が本気になったら、北朝鮮などひとたまりもない。1994年に第二次朝鮮戦争の一歩手前まで行って、ソウルが火の海になる(犠牲者は100万人)からとギリギリのところで踏みとどまったと言われるが、その後の精密誘導兵器や北朝鮮軍についての軍事情報があれば、「ソウルが全くの無傷にとどまる可能性は低い」(同)が、「火の海になる可能性も極めて低い」(同)という。そうなれば、「朝鮮半島の後背地である日本に横須賀や岩国など米軍にとって重要な基地が数多く存在することを勘案すれば、日本に脅威が及ぶ可能性は高い」(同)。
軍用機の事故は、徒に軍事に対する危機を煽るのではなく、その背景にあるものを、日本人としてしっかり考える必要がありそうだ。
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