風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アジア再び(3)機内にて続々

2015-10-12 19:44:31 | 永遠の旅人
 アジアとは関係がない話が続く。
 エコノミークラスの狭い機内で隣り合わせに座る人は、当然のことながら余り大きくない方がいい。そして何より図々しくない人に限る(私の経験則だからアテにならないが、お隣の大国やその属国(歴史的に、の意)のおじさんやおばさんはなるべく敬遠したいもの)。そんな中、多少図々しくても許せる人がいる。欧米系の白人のおばあちゃんである。今回も、シンガポールからメルボルンに向かう機内で、隣に座ったおばあちゃんは、多少肘を張り出して来ようが、照明がつかないとか、現地時間ではいま何時かなどと、何かと絡んで来ようが、一向に気にならず、優しく受け止めることが出来る。
 つらつら考えるに、一種の刷り込みのせいであろう。
 アメリカ駐在の頃、オフィスの身近なところに二人の白人のオバサンがいた。一人はローズマリー(Rosemary)という、今の私くらい(50前後)の年齢だったかもしれない、社長秘書をしており、もう一人はパット(Patricia)という、やはり同じような年齢で、部門長秘書をしていた。30そこそこだった私にとって、いずれも親の世代に近く、二人は仲良くやっているのだが、見た目や性格は対照的だった。ローズマリーは社長秘書らしく、若かった頃はさぞ美人だったろうと想像させる痩身で気品ある顔立ちで、いつもすました落ち着いた雰囲気を醸し出していたのに対して、パットは小太りでちょこまかとよく動き、いつもニコニコ、何くれとなく私の世話を焼いてくれる、気の好いオバサンだった。ではローズマリーはお高く止まっていたのかと言うと、それは見た目だけで、私がメールや会話の中に一所懸命ひねったジョークを仕込むと、からからと笑ってくれたし、立食パーティで一緒に写真に納まる時はふざけて、別れの時には濃厚に後で拭わなけければならないほど、頬にキスをしてくれた。そんなお茶目なところが大好きだったのだが、アメリカ東海岸は余りに遠いし、20年もの年月が流れてしまった。
 当時のローズマリーやパットのことをおばあちゃんと呼ぶと怒られるに違いないが、私より20ほど離れた白人系のおばさま方・・・今の私の年齢からすればおばあちゃんになってしまうのだが・・・の、年老いてなお楚々として、つまりは可愛らしい天然系のわがままは、俄然、許せてしまうのである。なんたる偏見であろうか。
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