かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

迷子で110番

2017年04月19日 21時34分10秒 | みゆみゆとの生活
昨日は、
仕事ー移動ー仕事。
7時間働いてクタクタに。

そして今日は、
そうちゃんー昼休憩ーそうちゃん。
今日の方がずっとしんどかった。

午前中は、小児神経科受診(てんかんの診察)。
月曜日に耳鼻科で行ったばかりだったからか、
大声出しまくり、ロビーを走り回り、
なかなかのテンションでした。

受診後は支援学校へ送っていって、
ちょっと一息。
買い物して、家で30分お昼寝する。
ここで昼寝しといてよかったと、あとでわかる。

ここからがすごかった。

3:40
支援学校のバス停に迎えに行く。

3:50
水曜日のお決まりコース、ビデオ屋さんまでお散歩。
借りた後は、「DVDの向きを直すこだわり」炸裂。
10回くらい、立ち止まって直させられた。

4:10
ビデオ屋の隣のスーパーへ。
果物売り場でキウイとりんご、みかんを丸かじりしようとし、止める私と乱闘。
なんとか果物売り場を無事故で通り抜けられる。
かーちゃん勝利。

ここまで、いろいろギリギリセーフ。
ただ、ちょっと今日は良くないな…と嫌な予感はビシビシしていた。

4:30
家に入ろうとしたら、そうちゃんが
「こうえんで ブランコしたい」と言う。
確かに先週の水曜日は公園でブランコしたね、と思い出す。

「けど、買ったお肉や野菜を公園に持って行きたくないから、玄関の中に入れさせてね。」
そう言いながら、玄関の鍵を開け、荷物を入れて振り返ったら、
もうそうちゃんは公園に向かって走り出していた。

慌てて追いかける。
でもその時、そうちゃんの行く先はブランコだと信じていたので、
それほど必死では走らなかったことを否定はできない。

すぐ近くの公園まで、車の通りはほとんどない。
私とそうちゃんの距離はほんの20メートルほど。

なのに。

公園についたら、そうちゃんはいなかった。
今の今まで、背中が見えていたのに。
忽然と消えたかのように。

滑り台や、おやまの陰を探しても、どこにもいない。

しまった。
と血の気が引く。
そうちゃんを、完全に見失った。

公園を通り越して、そのまま全速力でどこかへ走って行ったのだと理解する。
最初に思いついたのは、その先のスーパー。
キウイを食べに行ったんじゃないか、と。

大慌てでスーパーまで走り、
「迷子の子いませんでしたか?障害がある、6年生の子なんですけど。」と、息切らしながらお店の人に聞いた。
「いえ、私は見てませんが…他の店員に聞いてみましょうか。」
その時点で、ここじゃないとわかる。
そうちゃんが一人で乱入したら、きっと何か騒動が起きているはずだから。

「もし来たら、警察に連絡してください!」と伝え、家に走って帰る。
走っている間中、耳を澄ませる。
近くで事故にあって救急車で運ばれているのではないかと。

4:45
家に着き、110番する。
「事件ですか?事故ですか?」と聞かれて、
「迷子!迷子です!」とぜいぜいしながら答えた。

「迷子を保護されてるのですか?それとも…」
「うちの子です!うちの子が、いなくなっちゃったんです。」

初めての110番。
動揺している私に、警察官は優しい。
「掛けてきている方はお母さんですか?」
一つ一つ、丁寧に聞き取ってくれる。

「障害のある、会話ができない6年生です」と話したら、
「それはご心配ですね。警察官が探しますから、今日着ている服や、所持品を教えてください。」と言われました。
にわかに命の危険が迫っていることを知らされている気がして、
喉元まで不安が込み上げてきて、涙が出そうになる。

信号がわからない、車の危険がわからないそうちゃん。
どこに行っちゃったの?
別れが突然来たりするのだろうかと、最悪の事態も考える。

警察の方は、「今からお宅に伺うので、お子さんの写真を用意しておいてください。」と言われました。
壁に貼ってあった写真を手に取りながら、
涙が一粒、こぼれました。

いや、泣いてる場合じゃない。
とりあえず、夫に連絡。
今の状況だけ話して、経過をまた伝えると言う。

4:55
夫との電話を切ったら、友人から着信があった。

「そうちゃんが、ケーズデンキの横を走ってるよ!!」

固まった。
ケーズデンキ。
うちから2キロ近くある。
ワープしたのかと思うくらい早い。

友人は、ほんとにたまたまその辺を車で走っていて、
そうちゃんが、全速力で歩道を走っているところを見つけ、電話をくれたようです。

「声掛けたけど、全然耳に入らないみたいだし止まってくれない。車で同じ方向に並走してるんだけど、どうしたらいい?」

ケーズデンキ。
ということは。
「その先の回転寿司に、入っていくと思うから、そしたらそこで待ってて。すぐ迎えに行く!」

警察に電話して「見つかりました」と伝え、
大急ぎで回転寿司屋さんへ。

5:05
そうちゃんは、友人と並んでカウンターに座り、私を待っていてくれました。
汗だくで。
友人は、そうちゃんが落ち着くようにメモ紙に字を書いてくれていたようです。
メモには、「まぐろ はまち かっぱまき」など、お寿司のネタが書いてありました。
素晴らしい。ありがとう。

お店の人に謝って、
そうちゃんを車まで連れ帰り、
友人にお礼を言いました。

それにしても、こんな偶然ってある?
「すごい。あなたは神様なの!?」って、言っちゃったよ。ほんとにありがとう、の心を込めて。

そうちゃんは、何か目に見えないものに守られているみたい。
そして、親に、もっともっと勉強して精進しなさいと、教えてくれる。

5:30
家に着いてからもそうちゃんは興奮気味で。
「もう一人でお寿司屋さん行ったらダメだよ。」と叱っても、
「ひとりでおすしやさん いったらダメだよ」とキレイなおうむ返しするだけ。

しかも、
「はしったら いかん ぐふふふ…」と笑ってる。

その上タブレットで、回転寿司屋を検索し、メニューをニヤニヤ見ているという…

こりゃダメだ;

人に迷惑をかけてはいけないし、
何よりそうちゃんの命が大事なので、
私が気を引き締めなければ、と思う。

ちなみに、これまでに110番のお世話になったことは3回。
通報者は、夫(年中の時)、児童デイ(年長の時)、児童デイ(4年生)、でした。
それぞれ発見場所は、知らない人の家、スシロー、マクドナルド、です。

今までは、「全部終わってから、何があったのか聞く」立場だったので、
初めて「自分が見失って110番する」を経験して、
どんなに不安で心配で苦しいものか、よくわかりました。

久々に、疲労困憊。
早めに寝ることにしよう。