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【60~61ページ】
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ことし雪ふりつむ富士のふもと路をめぐりつつ、
僕はこころに祈る。
――― 一杯のごはんよ。雲に匿(かく)れるなかれ。
戦争よ。つきくずすなかれ。穢すなかれ。
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《肉体》
【69ページ】
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雪斑ら(ゆきまだら)な山山の
たばこいろの背は、小鹿のやうに
追ひ、もつれ、
富士の裾野をめぐる。
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《花びら》(昭和49年1月)
【119ページ】
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花よ。できるだけ大胆に、かをりたかく咲け。そして、聡明であれ。
だが、それよりももっと、たおやかであれ。
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[Ken] 《ごはん》は昭和19年7月の作です。反戦詩の1つといえますが、戦争って「つきくずし、穢す」ものなんだということが分かります。
《肉体》の「たばこいろの背」とは、小鹿の背中なので「茶」をイメージできますが、ここでは「追い、もつれ、めぐる」とあるので「たばこの煙」の動く様子なのでしょう。
《花びら》を読んだあと、お昼休みの散歩をしていたら目にする春の花々が違って見えました。命あるものとして、心の中に飛び込んでくるような感覚でした。(つづく)