毎日新聞・・・国交省有識者会議:脱ダム、強く要求…治水検証手順案了承
2010年7月13日
国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は13日、ダム事業の検証手順を定めた中間とりまとめ案を了承した。事業主体の国交省地方整備局や道府県がダムなし治水策を立案してダム事業と比較し、コスト最重視で判断、結果は国交省に報告させる。「できるだけダムに頼らない治水」が前提の中間とりまとめと検証手順などが乖離(かいり)していれば、国交相は再検討を指示・要請できることが盛り込まれ、「脱ダム」が強く求められることになりそうだ。
ダム建設を巡り、ダム以外の治水策との比較を一律に求めるのは初めて。検証の理念を「財政難を背景に本当に必要なダムかもう一度見極め、事業の必要性や投資効果の妥当性を厳しいレベルで検討する」とした。国交省は、都道府県や一般から意見を募った上で正式に決定する。
検証対象は、国と水資源機構が事業主体の「直轄ダム」31事業(32施設)と、国の補助で道府県が建設する「補助ダム」53事業(53施設)。遅くとも今秋には国交省が事業主体に検証を指示・要請し、作業が始まる。
中間とりまとめ案によると、検証の進め方は(1)対象ダムの計画から精査する(2)現行の河川整備計画と同程度の安全を確保した2~5の代替治水策を立案する(3)安全度、コスト、実現性など8項目で概略評価する(4)コスト最重視で総合評価して対処方針を決め、国交省に報告する(5)報告を受けた国交相が最終的に判断する--という流れ。
報告期限は設けていないが、国交省は対象ダムの検証終了まで今年度同様、次の工事段階に進むための予算措置は講じない。
国交相は判断に際し「中間とりまとめで示す検証の共通的な考え方に沿って検討されたか」について、有識者会議の意見を聴き、検証の手順や手法が乖離していると判断された場合は、再検証させることが可能。補助ダムについては「補助金交付の決定に十分な情報がない」として道府県に再検証を要請する。
代替策づくりは有識者会議が示す25の治水手法を組み合わせて作る。半数以上の手法は川から水があふれることも想定しているため難航が予想される。対象ダムの継続・中止が宙に浮いた状態が当面は続くことになりそうだ。・・・・
★
この有識者会議について、昨日もマスコミからコメントを求められたが、問題はダム以外の治水手法との検証比較のやり方だと思う。
たとえば、足羽川ダムでは、九頭竜川流域委員会で遊水地などのほかの治水対策との比較がおこなわれたが、遊水地を想定する土地を全部取得する計画とするなど、ダムより事業費が高くなるように、地元同意が難しいように「仕組まれて」いた。したがって、同じような発想と計算で比較すれば、また「ダム」、の結論が導き出される。
広大な土地を取得するのではなく、「50年か100年に一度」(福井豪雨の時は100年に一度の豪雨といわれたが・・・)の水害の際にのみ補償をおこなうようにすれば、コストは大きく低減されるだろう。
また、足羽川は改修工事が完了し、福井豪雨規模の洪水が流れてきても安全に流下する河川となった。その上で、さらに治水安全を高めるのであれば、堤防をさらに裏補強するなど、「破堤を防ぐ堤防」とし、堤防をフルに活用しての洪水流下に対応するように考えるなど、必要な規則の改正もおこなえばいい。このことは現在の仕組みでは採用されない。
「ダム優先」時代の考え方の法的仕組みそのものを変革することも求められるのではないか。
2010年7月13日
国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は13日、ダム事業の検証手順を定めた中間とりまとめ案を了承した。事業主体の国交省地方整備局や道府県がダムなし治水策を立案してダム事業と比較し、コスト最重視で判断、結果は国交省に報告させる。「できるだけダムに頼らない治水」が前提の中間とりまとめと検証手順などが乖離(かいり)していれば、国交相は再検討を指示・要請できることが盛り込まれ、「脱ダム」が強く求められることになりそうだ。
ダム建設を巡り、ダム以外の治水策との比較を一律に求めるのは初めて。検証の理念を「財政難を背景に本当に必要なダムかもう一度見極め、事業の必要性や投資効果の妥当性を厳しいレベルで検討する」とした。国交省は、都道府県や一般から意見を募った上で正式に決定する。
検証対象は、国と水資源機構が事業主体の「直轄ダム」31事業(32施設)と、国の補助で道府県が建設する「補助ダム」53事業(53施設)。遅くとも今秋には国交省が事業主体に検証を指示・要請し、作業が始まる。
中間とりまとめ案によると、検証の進め方は(1)対象ダムの計画から精査する(2)現行の河川整備計画と同程度の安全を確保した2~5の代替治水策を立案する(3)安全度、コスト、実現性など8項目で概略評価する(4)コスト最重視で総合評価して対処方針を決め、国交省に報告する(5)報告を受けた国交相が最終的に判断する--という流れ。
報告期限は設けていないが、国交省は対象ダムの検証終了まで今年度同様、次の工事段階に進むための予算措置は講じない。
国交相は判断に際し「中間とりまとめで示す検証の共通的な考え方に沿って検討されたか」について、有識者会議の意見を聴き、検証の手順や手法が乖離していると判断された場合は、再検証させることが可能。補助ダムについては「補助金交付の決定に十分な情報がない」として道府県に再検証を要請する。
代替策づくりは有識者会議が示す25の治水手法を組み合わせて作る。半数以上の手法は川から水があふれることも想定しているため難航が予想される。対象ダムの継続・中止が宙に浮いた状態が当面は続くことになりそうだ。・・・・
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この有識者会議について、昨日もマスコミからコメントを求められたが、問題はダム以外の治水手法との検証比較のやり方だと思う。
たとえば、足羽川ダムでは、九頭竜川流域委員会で遊水地などのほかの治水対策との比較がおこなわれたが、遊水地を想定する土地を全部取得する計画とするなど、ダムより事業費が高くなるように、地元同意が難しいように「仕組まれて」いた。したがって、同じような発想と計算で比較すれば、また「ダム」、の結論が導き出される。
広大な土地を取得するのではなく、「50年か100年に一度」(福井豪雨の時は100年に一度の豪雨といわれたが・・・)の水害の際にのみ補償をおこなうようにすれば、コストは大きく低減されるだろう。
また、足羽川は改修工事が完了し、福井豪雨規模の洪水が流れてきても安全に流下する河川となった。その上で、さらに治水安全を高めるのであれば、堤防をさらに裏補強するなど、「破堤を防ぐ堤防」とし、堤防をフルに活用しての洪水流下に対応するように考えるなど、必要な規則の改正もおこなえばいい。このことは現在の仕組みでは採用されない。
「ダム優先」時代の考え方の法的仕組みそのものを変革することも求められるのではないか。