前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

福井県議会閉会。私は問題ある議案について反対討論しました。今日、テレビ県議会

2013年03月20日 | Weblog
   いよいよ本日放映です。私も出演します ⇒ テレビ福井県議会  ~徹底討論 県政重要課題~。福井放送 3月20日(水・祝) 午前 9:55 ~ 11:20。
http://info.pref.fukui.jp/gikai/info/inf02-02.html …

  昨日は福井県議会の最終日で、各種の会議や議連の会議、本会議、委員会、懇談会などがおこなわれました。

  議員報酬の3パーセント削減について、先に開催された代表者会議で私は「職員の退職金削減などを決めた議会として10%削減などに拡大すべきだ」と提案。しかし、ほかの会派も削減の拡大を主張しましたが、自民党は現行維持を主張しました。昨日の議会運営委員会での条例提案に際しても、私は再度、削減幅の拡大を主張しました。本会議では削減の継続そのものの議案には賛成しました。

  委員会の改選がおこなわれ、私は土木・警察常任委員会と予算特別委員会の所属となりました。
ある部長から「渡辺三郎さんの時代をふくめて、共産党議員が警察担当の委員になるのは初めてではないですか」と声をかけられ、驚きました。みている人はみているもんだなあ、と思いました。
  私と奥山さんの2議席になった時でも、警察担当の委員会からははずされていました。
  そういう点では福井県議会の共産党にとっては「歴史的」な改選でした。

  本会議では、3人の女性議員がそろって着物姿で議場に。これも福井県議会の歴史で初めてでしょう。
  私は本会議では反対討論をおこないました。討論をおこなったのも、知事提案の議案のいくつかに反対したのも私だけでした。
  自民党議員からは、「われわれも以前は賛成討論をやっていた」「佐藤さんに言われっぱなしではいかがなものか、と思う」「討論の内容は賛同できることも多かった」など何人もの方から声がかかりました。議会活性化が楽しみです。

  以下、討論です。


■反対討論
 日本共産党の佐藤正雄です。まず議案についての反対理由を述べます。

 第1号議案 平成25年度福井県一般会計予算案はどこに財政の危機感があるのか、と疑わざるをえない不要不急の大型公共事業のオンパレードであります。

北陸新幹線建設事業 17億7000万余でありますが、新幹線建設事業費は全国で3兆円、福井県内で8000億円ということで、マスコミでも財政規律のなさが厳しく批判されました。
これは在来線の第3セクター化とセットですすめられることになっていますが、沿線自治体からも不安の声が噴き出してきています。北陸新幹線の他県の例では運賃が2割~6割程度値上げせざるをえないとか、いまの電化されたままでは維持費がかさむのでディーゼルに転換しようか、とか大変な議論になってきています。
  足元をみましょう。地方自治体は財政が大変なのです。
あわせて、この事業推進のための、第151号議案 北陸新幹線建設事業に対する市町の負担金について、に反対であります。

 また、足羽川ダム建設事業 7億1900万、再開発ビルの整備補助である福井駅西口中央地区市街地再開発支援事業 1億9000万余 なども不要不急の大型公共事業であり反対であります。

  第二に、国際原子力人材育成センター運営事業 1500万余 は福井県が原子力人材育成の拠点となることを目指す内容であり、福井県を原発輸出の拠点にするかのような内容です。
 報道されているように、福島原発では使用済み燃料プールの冷却システムが20時間近くも停まったままです。原発事故は収束などしていません。原発安全神話の繰り返しではなく、原発ゼロこそめざすべきです。

 第三に、中高一貫教育校設置事業 87万余は、県立の中学を高志高校に併設する計画ですが、「小学生からお受験か」との指摘もあるように、福井市を中心に中学進学の状況を大きく改変させるもので、拙速な推進には反対です。

 第四に、本予算案には県庁職員、教職員、警察職員の退職手当削減額のさらなる拡大がふくまれており、反対であります。

 つぎに、第16号議案 平成25年度福井県病院事業会計予算案は、 この春から新採用する看護師について給与の見直しがふくまれています。現行に比べて給与を削減し、生涯給与の大幅な削減につながるものです。7対1看護体制でゆきとどいた医療を実現することを、このような形で今春入職する看護師から、しかも看護職種のみにいびつな形でしわ寄せするやり方は問題です。

 第21号議案  福井県県税条例の一部改正について、は消費税増税の準備であり反対です。そもそも県民生活、中小業者の営業を考慮すれば消費税を倍に引き上げる計画に県庁・県議会あげて反対すべきです。

 第23号議案 福井県一般職の職員等の給与に関する条例および福井県一般職の職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部改正については、BSE検査業務手当の日額化、大型自動車運転手当の廃止、高所・傾斜地作業など特殊現場作業手当の引き下げにより、職員給与・手当を約5000万円減額するものであり反対です。

 第32号議案 福井県立病院使用料および手数料徴収条例の一部改正について、は妊婦健診を1回4000円から5000円に大幅に引き上げるものであり、少子化対策にも逆行する議案であり反対です。
 また、第34号議案 ふくい健康の森の設置および管理に関する条例の一部改正について、は特定保健指導の利用料金上限を10%から40%も引き上げるものであり、県民のメタボ対策にマイナスです。

 第37号議案 家畜保健衛生所使用料および手数料徴収条例の一部改正については、年間約150頭の死亡牛に1頭あたり9500円の焼却手数料を新設し、酪農家に新たな負担を強いるものであり反対です。
 いま畜産経営も後継者問題などがあり、毎年1割程度ぐらいずつ戸数が減っているとお聞きしました。また、アベノミクスによる円安で輸入の配合飼料も高騰しており、経営を圧迫しています。さらにTPPとなれば、日本の酪農も壊滅的な打撃をうけることになります。
 政府と県に求められていることは酪農経営を支援し、国民に安心できる肉や牛乳などの提供体制を充実することです。

  第39号議案 福井県立学校職員定数条例の一部改正について、第40号議案 市町立学校県費負担教職員定数条例の一部改正について、は約100名もの教員定数の削減であり反対です。いまこそ少人数教育を拡大すべきです。
 総務教育常任委員会質疑でも学級数が減らない県立学校においても教員が減らされる問題を指摘いたしました。
学力向上や英語授業などをはじめ様々な課題を現場に押し付けながら、教員を削減するやり方では学校現場はたまったものではありません。いまでも、子供・生徒や教員はストレス過多なのです。日本の教育現場のストレス問題は国際機関からも是正勧告がだされております。いじめや、教員の病気の増大などもここに大きな要因があります。
つよく是正を求めるものです。

 第150号議案 公立大学法人福井県立大学定款の一部変更について、は大学改革をドラステックにすすめると称して役員に民間委員2名を増員するものです。
この間の県立大学をめぐる議論、また大学視察や教員のシンポに参加して痛感したことは、いま求められていることは構成員であり、県立大学を愛している教員の声を十二分に反映し、活かす運営に欠けていたということです。
 県庁サイドの一方的な目標設定では、大学教員の研究・教育意欲を阻害し、なにより学生のためにもマイナスです。
 今回の提案のように、さらに「教員は信用できない」と受け取られかねないメッセージになりかねない民間役員の拡大には反対です。


  つぎに、請願・陳情についての委員長報告に反対の討論をおこないます。

 請願第25号 特急「サンダーバード」「しらさぎ」の存続を求める請願は福井市、坂井市、越前市、鯖江市、南越前町など沿線の各自治体議会でも採択されている内容であり、県議会として沿線自治体住民の願いにこたえて当然採択すべきであります。
 ところが、委員会では「JRが乗り換えに利便をはかる」などという理由で反対されています。大事なことは、JRに住民本位の利便をはからせるためにも、沿線自治体と歩調をあわせた県議会のつよい対応こそが求められています。

  請願第26号 日本軍「慰安婦」問題の一日も早い法的解決、謝罪と補償を求める請願について、委員会では「慰安婦の募集に日本軍や日本政府が関与したという証拠や資料は一切ない」などという理由で反対されています。
しかしもともと、いわゆる「河野談話」は、もともと強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、「慰安婦」とされた人たちの証言の真実性にもとづいて、これは真実のものだと政府として判定して、政府として「本人の意に反して慰安婦とされた」――強制性を認めたものであります。したがって、「河野談話」を継承するという立場をとるかぎり、「強制性を立証する文書がないから強制の事実はない」という議論を肯定する余地はまったくありません。
 日本軍「慰安婦」問題の解決のためには、日本政府としてこの植民地犯罪について謝罪と賠償をおこなうことが不可欠であり、採択を求めます。


  請願第27号 食料自給率50%達成目標の設定及びTPP参加を行わないことを政府につよく求めるものであり、この時期こそ採択すべきです。
ところが、委員会では「自民党としては、党公約に掲げた6項目の貫徹をしないまま交渉参加をおこなわないことを求めている」などと不採択の理由を述べています。
 しかし、安倍首相はなんの担保もないまま交渉参加を表明してしまいました。反対理由が崩れたのですから、この請願は採択していただきたいと思います。
 だいたい安倍首相が「『聖域なき関税撤廃』ではない」と強弁する根拠の「日米共同声明」は、例外なしに関税と非関税障壁の撤廃を目指すTPPの基本を再確認したにすぎませんでした。交渉によって「守るべきものは守る」といっても、何の保証もありません。
 TPP交渉は年内妥結を目指しています。そのため、新規参加国は、既に交渉している国が合意した条項を交渉し直すことはできません。既に交渉している国が交渉を終了させるとき、それを拒否できません。しかも、TPP交渉は秘密交渉であり、交渉参加以前には、すでに合意された条項を知ることはできません。
 「日米共同声明」が「最終的な結果は交渉の中で決まっていく」としていることから、安倍首相は、交渉によって「聖域」を確保すると力説しています。しかし、新規参加国の制約の中で、「聖域」が確保される保証は全くありません。また、秘密交渉の中では、政府がどんな交渉を行っているかさえ、国民には分かりません。
 このようなTPP交渉参加は撤回すべきであります。ご承知のように日本の食料自給率はすでに北朝鮮並みの水準に落ちているのです。目指すべきは自給率向上です。さらなる食料自給率低下に直結し、日本国民の生存を危うくしかねないTPPには断じて反対であります。


  請願第29号 子ども・子育て支援新制度の見直しを求めるものでありますが、委員会では「政府においては新制度の制度設計について、検討を重ねているところであり、現段階では国の動きを見守る必要がある」として不採択とされました。
 しかし、国は同制度を15年4月から本格実施させるために、この4月にも子ども・子育て会議を設置し、自治体レベルでの同会議設置を急がせるなど、一気に具体化しようとしている緊迫した情勢です。「子ども・子育て新システム」そのものが、国と市町の保育に対する責任を後退させる内容であり、保育関係者や親たちからの懸念も強いものであり、本請願の採択を求めます。

  最後に、陳情第27号 坂井地区の県立高等学校再編に関するものですが、委員会では「高校再編を2018年まで延期すること、とあるがそんなに先送りはできない」などと反対意見がだされました。しかし、今回の拙速なすすめ方が準備もうまくいくかどうか綱渡り的な状況であり、高校の現場からも不安の声がだされております。1学年8学級の県内最大規模の職業系高校をつくるのであり、準備をぬかりなくすすめる期間と慎重さが必要です。
 しかもそもそも、2008年の県高等学校教育問題協議会の答申自体が「2018年を目途に実施を検討」とされていたのです。
これ以上、現場教職員に過度のストレスをかけることなく、円滑にすすめるためにもこの陳情は採択すべきです。

 以上、申し述べまして反対討論を終わります。議場の皆様のご賛同をよろしくお願いいたします。