毎日新聞・・・・日航機墜落:遺族の25年、出版 「命の大切さ伝えたい」
2010年7月13日
520人の命を奪った85年の日航ジャンボ機墜落事故から8月12日で25年。9歳だった次男の健ちゃんを亡くし、遺族らでつくる「8・12連絡会」の事務局長を務める美谷島(みやじま)邦子さん(63)が、事故を次世代に伝えようと「御巣鷹山と生きる 日航機墜落事故遺族の25年」を出版した。
事故から4カ月後の85年12月に結成された連絡会は、賠償問題の窓口になるような団体ではなく、遺族が励まし合い、会報「おすたか」を発行して情報を共有するゆるやかな組織だ。その活動を通じて、美谷島さんは遺族の心情に接してきた。
美谷島さんが「健ちゃんや連絡会のことを書きたい」と思ったのは約2年前。遺族それぞれの思いもあり、「今さら」という迷いもあったが、1年かけて100ページ近くにまとめた。昨年5月、ノンフィクション作家の柳田邦男さんに相談したところ「絶対出そうよ」と背中を押され、もっと書こうと心に火がついたという。
午前4時ごろには起きて2~3時間、パソコンに向かう日が続いた。会報「おすたか」や記録を取ったノートをめくり、健ちゃんのことを思うと涙があふれたが、健ちゃんの「頑張って。今やらなきゃダメだよ」という声が聞こえるようで、励まされたという。
本は、連絡会の活動や遺族の心情などを振り返ると共に、日航のこれまでの対応や経営危機、JR西日本による事故調査報告書漏えいなど、執筆中に発生し、これまで取り組んできた活動に密接に関連する問題についても触れた。
美谷島さんは「自分が学ばせてもらったことを、伝えていく年齢になった。連絡会も、遺族の子供たちへの世代交代を迎えている。事故を知らない若い人に命の大切さを伝えたい」と話す。
新潮社刊、254ページ、税別1400円。
◇ことば 日航ジャンボ機墜落事故
85年8月12日、大阪・伊丹行き日本航空123便(ボーイング747SR型、乗員乗客524人)が羽田離陸から12分後、操縦不能となり、群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落。重傷の4人を除く520人が死亡する単独機としては航空史上最悪の事故となった。運輸省航空事故調査委員会は事故の7年前のしりもち事故でボーイング社が行った与圧隔壁の修理ミスが遠因と指摘。遺族側の告訴・告発を含め、計31人全員が不起訴処分となった。・・・・・・・・・・・・
★
私は、昨年12月のブログで次のように書いた・・・・・・・
・・・・・・「沈まぬ太陽」を福井駅前の映画館で観た。途中で休憩がはいる長時間の映画、というのは観たことがないが、時間を感じさせない映画でした。
主人公の人間ドラマも感動だが、123便の墜落事故は、あまりに生々しく、民青時代にクーラーの無い暑い事務所でTVの前から動けなかった時を思い出した。
当時「圧力隔壁の破壊」という固定された原因で終わったが、その後のさまざまな調査分析によって疑問も呈されている。操縦室の音声は、事故発生時から墜落時までまるまるボイスレコーダーに記録され、市販もされた。わたしも購入したが、音声はクリアで、圧力隔壁の破壊による酸素マスク着用の形跡は感じられなかったし、途中から着用の会話も残されていた。
◆「緊急降下中です。ベルトをしめてください。マスクをつけてください。タバコは消してください」という客室アナウンスも聞こえる生々しい録音。
操縦室内の騒然としたやりとり、悲鳴。最後の対地接近警報と墜落音。
航空会社はこの映画を非難するのではなく、社員教育としても全員にみてもらうべきではないか、と思う。あ、是非、JR西日本や関西電力の方々にも観ていただきたいですね。・・・・・・・・・
★
遺族の悲しみはおわらない。ボイスレコーダーには異常発生からすべての部分が記録されていた。だからこそ、「音声はクリアで、圧力隔壁の破壊による酸素マスク着用の形跡は感じられなかったし、途中から着用の会話も残されていた」という事実にみられるように、本当の事故原因は究明されていない、との指摘があった。
最近も現場から機体の残骸がみつかっているという。「原因をはっきりさせてくれ」のうめき、とも感じた。
航空機といい、原発といい、巨大システムの事故は多くの人命にかかわる。それだけに、「事故」の原因究明が一部の専門家の関与だけですすめられる問題がかねてから指摘されてきた。ひろく第三者の知見を集めて解明をすすめることが大切だ。
とくに、原発分野では推進行政から独立した規制機関の設置が急務だと思う。
2010年7月13日
520人の命を奪った85年の日航ジャンボ機墜落事故から8月12日で25年。9歳だった次男の健ちゃんを亡くし、遺族らでつくる「8・12連絡会」の事務局長を務める美谷島(みやじま)邦子さん(63)が、事故を次世代に伝えようと「御巣鷹山と生きる 日航機墜落事故遺族の25年」を出版した。
事故から4カ月後の85年12月に結成された連絡会は、賠償問題の窓口になるような団体ではなく、遺族が励まし合い、会報「おすたか」を発行して情報を共有するゆるやかな組織だ。その活動を通じて、美谷島さんは遺族の心情に接してきた。
美谷島さんが「健ちゃんや連絡会のことを書きたい」と思ったのは約2年前。遺族それぞれの思いもあり、「今さら」という迷いもあったが、1年かけて100ページ近くにまとめた。昨年5月、ノンフィクション作家の柳田邦男さんに相談したところ「絶対出そうよ」と背中を押され、もっと書こうと心に火がついたという。
午前4時ごろには起きて2~3時間、パソコンに向かう日が続いた。会報「おすたか」や記録を取ったノートをめくり、健ちゃんのことを思うと涙があふれたが、健ちゃんの「頑張って。今やらなきゃダメだよ」という声が聞こえるようで、励まされたという。
本は、連絡会の活動や遺族の心情などを振り返ると共に、日航のこれまでの対応や経営危機、JR西日本による事故調査報告書漏えいなど、執筆中に発生し、これまで取り組んできた活動に密接に関連する問題についても触れた。
美谷島さんは「自分が学ばせてもらったことを、伝えていく年齢になった。連絡会も、遺族の子供たちへの世代交代を迎えている。事故を知らない若い人に命の大切さを伝えたい」と話す。
新潮社刊、254ページ、税別1400円。
◇ことば 日航ジャンボ機墜落事故
85年8月12日、大阪・伊丹行き日本航空123便(ボーイング747SR型、乗員乗客524人)が羽田離陸から12分後、操縦不能となり、群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落。重傷の4人を除く520人が死亡する単独機としては航空史上最悪の事故となった。運輸省航空事故調査委員会は事故の7年前のしりもち事故でボーイング社が行った与圧隔壁の修理ミスが遠因と指摘。遺族側の告訴・告発を含め、計31人全員が不起訴処分となった。・・・・・・・・・・・・
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私は、昨年12月のブログで次のように書いた・・・・・・・
・・・・・・「沈まぬ太陽」を福井駅前の映画館で観た。途中で休憩がはいる長時間の映画、というのは観たことがないが、時間を感じさせない映画でした。
主人公の人間ドラマも感動だが、123便の墜落事故は、あまりに生々しく、民青時代にクーラーの無い暑い事務所でTVの前から動けなかった時を思い出した。
当時「圧力隔壁の破壊」という固定された原因で終わったが、その後のさまざまな調査分析によって疑問も呈されている。操縦室の音声は、事故発生時から墜落時までまるまるボイスレコーダーに記録され、市販もされた。わたしも購入したが、音声はクリアで、圧力隔壁の破壊による酸素マスク着用の形跡は感じられなかったし、途中から着用の会話も残されていた。
◆「緊急降下中です。ベルトをしめてください。マスクをつけてください。タバコは消してください」という客室アナウンスも聞こえる生々しい録音。
操縦室内の騒然としたやりとり、悲鳴。最後の対地接近警報と墜落音。
航空会社はこの映画を非難するのではなく、社員教育としても全員にみてもらうべきではないか、と思う。あ、是非、JR西日本や関西電力の方々にも観ていただきたいですね。・・・・・・・・・
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遺族の悲しみはおわらない。ボイスレコーダーには異常発生からすべての部分が記録されていた。だからこそ、「音声はクリアで、圧力隔壁の破壊による酸素マスク着用の形跡は感じられなかったし、途中から着用の会話も残されていた」という事実にみられるように、本当の事故原因は究明されていない、との指摘があった。
最近も現場から機体の残骸がみつかっているという。「原因をはっきりさせてくれ」のうめき、とも感じた。
航空機といい、原発といい、巨大システムの事故は多くの人命にかかわる。それだけに、「事故」の原因究明が一部の専門家の関与だけですすめられる問題がかねてから指摘されてきた。ひろく第三者の知見を集めて解明をすすめることが大切だ。
とくに、原発分野では推進行政から独立した規制機関の設置が急務だと思う。