monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

裾田(すそだ)

2024年10月03日 | 日本古典文学-坤儀

たちさわく-ほなみつつきに-すゑとほき-やまのすそたを-くたるあきかせ
(夫木和歌抄_為家~日文研HPより)

冬田氷
水こほる山のすそ田の霜のうへにむら鳥おつる柴のあさ風
(草根集~日文研HPより)

(山田)
かた山のすそ田のあぜの水おちにくだりのみゆく世をいかにせん
(新撰和歌六帖_為家~「新編国歌大鑑2」)

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山田・小山田(やまだ・をやまだ)

2024年10月02日 | 日本古典文学-坤儀

しつのをは-やまたのこほり-とくるより-まつなはしろの-いそきをそする
(東塔東谷歌合~日文研HPより)

春は先(まつ)あらすきかへす小山田のすくなき水に蛙なくなり
(草根集_正徹~日文研HPより)

 (屏風の絵に、)二月、いなか家に田かへす所にかはづ鳴く
沢水にかはづの声はおいにけるおそくや打(う)たん春の小山田
(兼盛集~「和歌文学大系52」明治書院)

屏風に、二月山田うつところにかへるかりなとある所をよみ侍ける 大中臣能宣朝臣
かりかねそ/けふかへるなる/小山田の/なはしろ水の/ひきもとめなん 
(後拾遺和歌集 ~国文学研究資料館HPより)

注連はふる山田の小田の苗代に雪げの水を引きぞ任する
(堀河院百首和歌~「和歌文学大系15」明治書院)

眞菅生ふる山田に水をまかすればうれしがほにも啼く蛙かな
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

足曳の山田にはへるしめ縄の秋田刈るまで絶えじとぞ思ふ
(古今和歌六帖~「校注国歌大系 第九巻」)

暮れぬとていそく早苗の小山田に雨そほふりてほとときすなく
(院四十五番歌合_建保三年六月二日~日文研HPより)

早乙女(さをとめ)の山田(やまだ)の代(しろ)に下(お)り立(た)ちていそぐ早苗(さなへ)や室(むろ)のはや早稲(わせ)
(永承六年五月五日_内裏根合~「平安朝歌合大成2」同朋舎出版)

元亨三年七月亀山殿にて人々題をさくりて七百首歌つかうまつりし時、早苗多といふ事を 前大納言為世 
けふも又/とるてあまたに/いそけとも/山田のさなへ/猶そ尽せぬ 
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

村雨はやかてはれぬる小山田のまさらぬ水に早苗とるなり
(三十六人歌合_弘長二年九月~日文研HPより)

小山田のさなへとる手のぬれ衣しほるほとなき五月雨のそら
(内裏百番歌合_建保四年閏六月九日~日文研HPより)

早苗 
小山田やしつかさおりのあさ衣をみしふに染めてとる早苗かな
(草根集_正徹~日文研HPより)

きのふみし山田のさなへ一本にいくへ浪よるけさのほたちそ
(百詠和歌~「続群書類従15上」)

崇徳院に、百首歌たてまつりける時 皇太后宮大夫俊成 
みしふつき/うへし山田に/ひたはへて/又袖ぬらす/秋はきにけり 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

 (稲妻)
風渡る山田のくろの花薄まねけばまねくよひのいなづま
(草根集~「新編国歌大鑑8」)

ゆふつくよ-やとるやまたの-つゆのうへに-かりねあらそふ-いなつまのかけ
(明日香井集_雅経~日文研HPより)

いなつまの-ひかりのまにも-まとろまて-やまたもるやに-よをあかすかな
(堀河百首_匡房~日文研HPより)

田家雨 
小山田のいほもりすさむ秋の雨に猶雲あつきむろのはやわせ
(宝治百首_経朝~日文研HPより)

あきはきに-しからみかけて-なくしかの-こゑききつつや-やまたもるらむ
(古今和歌六帖~日文研HPより)

百首歌奉りし時、田家 前摂政左大臣 
を山田の/ひたのかけ縄/引むすひ/かり庵つくる/時そきにける 
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

かつらにて、稲花風を 大納言経信 
ひたはへて/もるしめ縄の/たはむまて/秋風そふく/小山田の庵 
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

師賢の朝臣梅津の山庄にて田家秋風といふ心をよめる 源頼家朝臣
宿近き山田のひたに手もかけで吹く秋風に任せてぞみる
(後拾遺和歌集~バージニア大学HPより)

よもすから-たえすなるこの-おとすなり-やまたのいほを-かせやもるらむ
(新千載集~日文研HPより)

さ夜すから月そ山田の庵はもる風になるこはひく人もなし
(影供歌合_建長三年九月十三日~日文研HPより)

ひとそなき-つきはかりすむ-をやまたの-なるこはかせの-ふくにまかせて
(文保百首_道平~日文研HPより)

まつ風に山田のひたの音つれてさひしさそふる秋のかり庵
(詩歌合_正和三年~日文研HPより)

題しらす 読人しらす 
おとろかす/音こそよるの/を山田は/人なきよりも/さひしかりけれ 
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

 秋田
うへすててもる人もなき小山田のわさたもちかく鹿そ鳴なる
(寂身法師集~「続群書類従16上」)

こころの澄むものは、秋は山田の庵(いほ)ごとに、鹿おどろかすてふ引板(ひた)の声、衣しで打つ槌の音(おと)
(梁塵秘抄~岩波・日本古典文学大系)

(略)鹿はただ籬のもとにたたずみつつ、山田の引板にもおどろかず、色濃き稲どもの中に混じりてうち鳴くも、愁へ顔なり。
(源氏物語・夕霧~バージニア大学HPより)

松山に分けて生ひたる眞木の梢、露けき山田の庵(いほ)までも、はかなく稻葉の風に亂れたるほど、山の端ちかく雲に消え行く有明の影取り集めたる朝ぼらけ、もの悲しくて、(略)
(中務内侍日記~岩波・新日本古典文学大系)

備中国湯川といふ寺にて 僧都玄賓 
山田もる/そうつの身こそ/哀なれ/秋はてぬれは/問人もなし 
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

田家鳥 
なるこをも引きすてし冬の小山田に落ほをさらぬ四方のむら鳥
(草根集_正徹~日文研HPより)

田辺寒草 
かれのこる薄とみれはを山田のくろに生ひたるひつちほの霜
(草根集_正徹~日文研HPより)

冬月
霜こほる山田に残るかりいほに猶すむ物は冬の夜の月
(宝治百首_寂能~日文研HPより)

田家鳥
庵あらすあらしに夢やかへりさす靏そおとろく冬の小山田
(邦高親王御集~「続群書類従15下」)

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岨田(そはだ)

2024年10月01日 | 日本古典文学-坤儀

みつおちの-そはたのわかな-おのつから-つまぬにかねて-あらはれにけり
(為尹千首_雅縁~日文研HPより)

山田早苗
うゑのほる山の岨田の水落ちてしつか早苗のねをすすくみゆ
(草根集_正徹~日文研HPより)

田家鳥
そは田もる庵の上の松山にほの色いそくたうのこかれは
(草根集_正徹~日文研HPより)

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岡田(をかだ)

2024年04月12日 | 日本古典文学-坤儀

つくはやま-をかたのさなへ-いそくとて-せくかたしけき-みなのかはなみ
(夫木和歌抄_基家~日文研HPより)

あやめくさ-をかたのもとに-まつかけて-たかためにとか-いそきひくらむ
(左京大夫八条山庄障子絵合~日文研HPより)

ゆふたちに-をかたのわさほ-つゆちりて-あきかせちかし-やまはたのいほ
(正治初度百首_信広~日文研HPより)

なへてはや-をかたのいなは-かりてけり-まくらのつきの-うすくものそら
(為尹千首_雅縁~日文研HPより)

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野田(のだ)

2024年04月11日 | 日本古典文学-坤儀

田柳
春雨に野田の柳のいなむしろしくとはみれともる人もなし
(草根集~日文研HPより)

田雲雀
かへすよりあれにし野田の草の原むなしき床をとふひはりかな
(草根集~日文研HPより)

ときくれは-たこもいとなし-すかはらや-ふしみののたに-さなへとりつつ
(夫木和歌抄_仲実~日文研HPより)

秋田をよめる 為道朝臣 
夕されは/野田のいなはの/ほなみより/尾花をかけて/秋風そ吹 
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

はつせやま-みねのしかのね-さそひきて-ふもとののたに-そよくあきかせ
(歌枕名寄~日文研HPより)

秋山家枕
夜そなかき枕のみねの松風に野田のひたうつ秋の山さと
(草根集~日文研HPより)

冬鳥
秋過きし野田の芝生の霜原にむら鳥さわくいねやこくらん
(草根集~日文研HPより)

しもこほるのだのうはてにせくいけのみぎはになびくしのすゝき哉
(後鳥羽院御集~「和歌文学大系24」明治書院)

(しぎ)
霜がれのの田のくさねにふす鴫のなにのかげにか身をもかくさん
(新撰和歌六帖~「新編国歌大鑑2」)

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深田(ふかだ)

2024年04月07日 | 日本古典文学-坤儀

こくさつむ-ふかたのあせの-さはみつに-わかなすすくと-そてぬらしつつ
(夫木和歌抄_為家~日文研HPより)

をやまたの-ふかたのかはつ-なにゆゑに-こひちにぬれて-なくならなくに
(古今和歌六帖~日文研HPより)

こなきつむ-ふかたのしろは-かきてけり-いそきてうゑよ-むろのはやわせ
(堀河百首_仲実~日文研HPより)

さなへとる-ふかたにわたす-いたふねの-おりたつことの-さもかたきかな
(堀河百首_匡房~日文研HPより)

正月廿一日、入相(いりあひ)ばかりの事なるに、うす氷はッたりけり、ふか田ありとも知らずして、馬をざッとうち入れたれば、馬の頭(かしら)も見えざりけり。
(平家物語・9~小学館「新編日本古典文学全集46」)

(略)国衡義盛の二箭に怖れ、重忠の大軍に驚き、道路を閣(さしお)き、深田に打入るの間、数度の鞭を加ふと雖も、馬敢て陸に上る能はず(略)
(吾妻鏡・文治五年八月十日条~龍肅訳注「吾妻鏡2」岩波文庫)

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沼田(ぬた・ぬまた)

2024年04月04日 | 日本古典文学-坤儀

 左京大夫経忠の八條の家にてかはつをよめる
おくろさきぬたのねぬなはふみしたきひもゆふましに蛙鳴也
(散木奇歌集~「群書類従15」)

さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
(聞書集~「新訂 山家集」(岩波文庫))

かるもかく-ぬたのこひちに-たつたこは-さなへよりこそ-そほつなりけれ
(俊成五社百首_俊成~日文研HPより)

わか恋は深き沼田の心ちしてこゝともえこそ思ひかへさね
(正治二年院御百首_藤原経家~「続群書類従14下」)

 殿下にて恋の歌よませ給けるにつかうまつれる
君こふとゐの刈藻よりね覚して編けるぬたにやつれてそみる
(散木奇歌集~「群書類従15」)

こひをして-ふすゐのとこは-まとろまて-ぬたうちすます-よはのねさめに
(久安百首(久安六年御百首)_郁芳門院安芸~日文研HPより)

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沢田(さはだ)、深沢田(ふかさはだ)

2024年04月03日 | 日本古典文学-坤儀

ねせりつむ-はるのさはたに-おりたちて-ころものすその-ぬれぬひそなき
(好忠集(曾丹集)~日文研HPより)

百首歌よませ給うける中に、沢若菜 伏見院御製
春あさき雪けの水に袖ぬれて沢田のわかなけふそ摘つる 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

はるさめの-ふりみふらすみ-そてぬれて-さはたのあせに-こなきつむなり
(新撰和歌六帖_光俊~日文研HPより)

みつまさる-さはたにしける-ふかせりの-ねもみぬひとを-かくこひめやは
(新撰和歌六帖_家良~日文研HPより)

誰かためか春のさはたのうす氷われてもけふのわかなつむらん
(百首歌合_建長八年九月十三日~日文研HPより)

ふしみつや-さはたのさなへ-とるたこは-そてもひたすら-みしふつくらむ
(夫木和歌抄_俊成~日文研HPより)

あめはるる-さはたのさなへ-みつふかき-みきははかりに-けふやとるらむ
(草庵集_頓阿~日文研HPより)

早苗
しつのをか沢田さし行く板舟をおりたたすしてとる早苗かな
(草根集~日文研HPより)

 五月五日、粽(ちまき)を人のもとにやるとて
深沢田(ふかさはだ)みぎはがくれの真菰草昨日あやめに引かされにけり
(和泉式部集~岩波文庫)

かけうつす-さはたのみつの-かきつはた-そこのこころは-へたてさりけり
(為家五社百首~日文研HPより)

さひしさを-とふひともかな-しきのたつ-さはたのいほの-あきのゆふくれ
(弘長百首_行家~日文研HPより)

田上鴫
あくるまてかくや百羽をやすめつつくるる沢田に鴫のふすらん
(草根集~日文研HPより)

濡れつゝも鶉なくなる深草や。/\。誰を忍ぶの浅茅原実に住み捨てし故郷の。野となりてしも露繁き。草のはつかに暮れ残る。伏見の沢田水白く薄霧迷ふ夕かな。薄霧迷ふ夕かな。
(謡曲「花軍」~半魚文庫「謡曲三百五十番」より)

あさひかけ-うきよのやみに-いてそめて-(略)-やまのさつをの-しらまゆみ-すゑのみのりに-うまれきて-さはたのうきに-せくみつの-ふかきにこりに-おほほるる-(略)
(続草庵集_頓阿~日文研HPより)

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仁王会(にんわうゑ)

2024年02月23日 | 日本古典文学-人事

季仁王会と呼ばれるもの:毎年春(2月か3月)と秋(8月か9月)に実施された。

(寛弘二年二月)二十五日、癸卯。
(略)仁王会が行なわれた。内裏から大極殿に着して、午剋に仁王会を始めた。申剋に内裏に参って、内裏の行香(ぎょうごう)を奉仕した。あらかじめ諸司に命じて、大極殿の東西の軒廊(こんろう)に床子(しょうじ)を立てさせて、僧が集会する際の座とした。前師藤原朝臣(藤原伊周)の座次を、大臣の下、大納言の上に列するということを、外記(惟宗)行利に命じて宣旨を下させた。
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(治承四年七月)十六日。天晴る。炎旱、旬に渉る。法勝寺如説仁王会に参ず。(略)
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

 

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シャルル・ドルレアンの詩「春」

2024年02月03日 | 読書日記

 春 シャルル・ドルレアン (矢野目源一郎訳)
風や冬枯(ふゆがれ)氷雨(ひさめ)の衣袍(ころも)
春立つ今日は脱ぎすてて
光のどけき春の陽を
綾に織りたる袖かざす

鳥も獣もおしなべて
悦び唄ふ声合せ
風や冬枯氷雨の衣袍
春立つ今日は脱ぎすてて

小川 池水(いけみづ) 行潦(にはたづみ)
飛び散る水の金銀を
揃ひ衣裳の目も彩(あや)に
いづこも春のよそほひと
今日脱ぎすつる冬衣(ふゆごろも)
(「世界詩人全集24 世界名詩名訳集」新潮社、S43年)

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