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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 夏 六月晦日 水無月祓・六月祓(みなづきばらへ)/夏越祓・名越祓(なごしのはらへ)/

2013年06月30日 | 日本古典文学-夏

宝治百首歌奉ける時、六月祓 冷泉太政大臣
底清き河せの水のあさのはにしらゆふかけて御祓をそする
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首の歌奉りける時、みな月の御祓をよめる 藤原季通朝臣
けふくれはあさのたちえにゆふかけて夏みな月の祓をそする
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

みそきするあさのたちえのあをにきてさはへのかみもなひけとそおもふ
(夫木抄~日文研HPより)

題しらす 藤原長能
さはへなすあらふる神もをしなへてけふはなこしのはらへなりけり
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

大祓
夏引の麻の大ぬさとりそへて百官(もものつかさ)のみそきすらしも
大祓と申は。百官朱雀門にあつまりて祓をし侍也。六月晦日の事なれば。六月祓に侍れども。是は群臣一同に集りてはらひをする也。
(年中行事歌合~群書類従)

題しらす よみ人しらす
みな月のなこしのはらへする人はちとせの命のふといふなり
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

河夏祓
御祓川うき瀬たえねとなかしやる身をなて物や麻のゆふして
(草根集~日文研HPより)

みそきかはからぬあさちのすゑをさへみなひとかたにかせそなひかす
(拾遺愚草~日文研HPより)

六月祓
河のせにあさの大ぬさとりしててけふの今夜や夏はらひせむ
(宝治百首~日文研HPより)

なつはつるゆふへになれはかはなみにあさのみそきをせぬひとそなき
(堀河百首~日文研HPより)

おほぬさのかはのせことになかれてもちとせのなつはなつはらへせむ
(貫之集~日文研HPより)

六月祓
今夜又ちとせをのふるみそきしていとと久しき御代そしらるる
(宝治百首~日文研HPより)

ちとせまてひとなからめやみなつきのみたひすかぬきいのるみそきに
(堀河百首~日文研HPより)

寛喜元年女御入内屏風 正三位家隆
風そよくならの小川の夕暮はみそきそ夏のしるしなりける
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌奉りし時、夏祓 進子内親王
大ぬさやあさのゆふして打なひき御祓涼しきかもの河風
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

なつはつるけふやなこしのみそきかはかはへのかせはすすしかりけり
(夫木抄~日文研HPより)

六月祓
御祓してぬさとりながす川の瀬にやがて秋めく風ぞすゞしき
(山家集~バージニア大学HPより)

六月祓
夏と秋と行きかふせにやなかるらんみそき川原のあさのおほぬさ
(宝治百首~日文研HPより)

みな月はらへの心をよみ侍ける 後京極摂政前太政大臣
早き瀬のかへらぬ水にみそきしてゆくとし波のなかはをそしる
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首の歌奉りける時、みな月の御祓をよめる 皇太后宮大夫俊成
いつとてもおしくやはあらぬ年月を御祓に捨る夏の暮かな
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

神主辞して後、社頭の六月祓を思いてゝ 従三位脩久
みたらしやむかしは我もせしみそき今夜は神も思ひいつらん
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

(建久七年六月)廿九日。天晴る。苦痛頗る宜し。猶薬を付くべきの由、基能来りて示す。坊門大納言、又腫物に依り、今日灸せらると云々。荒和祓、雁衣の如き着すに堪へざるの間、衣を以て菅(すが)貫(ぬ)かしむ。今夜陰陽師(資元門生)云ふ、妊(はら)めば菅貫かざるなりと。俗説に云ふ、六度之を菅貫く、如何と。此の条大謬説なり。只例の如くに祓ふ。贖物(あがなひもの)に向ふと雖も、立てざるの由称ふ。依りて今夜、此の説を用ふと云々。
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

(建永元年六月)廿九日(晦)。天晴る。巳の時、院に参ず。今日、川崎の泉におはします。女房の料、俄に出車を催す。例の舎利講了りて、出でおはします。退出して休息し。昏、私に祓ひ了んぬ。秉燭の程、帰参す。小時ありて、還りおはしますの後、御祓ひ有り。親定お朝臣陪膳、経時役送す。其の後、少年等菅貫(すがぬき)雑戯の後、馬場殿に出でおはします。夜半を過ぎて、入りおはします。名謁。具親少将と小御所に臥す。天明、同番の人に触れ、退出す。
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

(寛喜二年六月)廿九日(己丑・晦)。天晴る。(略)荒和祓、例の如し。
 憐むべし亦十九の夏、□の流年半時を過ぐ。向後定めて再会無きを知る。晩雲の景色に独り相思ふ。
  夏はつるけふのみそぎは程もなしわが世いくかとしらぬ月日に
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

三十日*(*辛卯)△来月ハ閏月タルニ依テ、今夜六月祓ヲ行ハルベキヤ否ノ事、藤内ノ判官定員ヲ奉行トシテ、有職并ニ陰陽道ノ輩ニ尋ネ問ハル。河内ノ入道等申シテ云ク、義解文ノ如キハ、閏月ニ行フベキ事分明ナリ。
和歌ニ云ク△ノチノミソカヲミソカトハセヨ、テイレバ、其ノ上、治承四年、△建久八年、△建保四年、皆閏月ニ行ハルト〈云云〉。諸人之ニ一同ス。資俊申シテ云ク、両月ニ之ヲ行フ例之ヲ存ズト〈云云〉。然レドモ多分ノ儀ニ就テ、之ヲ行ハレズト〈云云〉。
(吾妻鏡【文暦二年六月三十日】条~国文学研究資料館HPより)

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古典の季節表現 夏 六月 秋近し

2013年06月29日 | 日本古典文学-夏

夏はつる岩間の水の朝な朝なむすぶ袂に秋ぞ知らるる(嘉吉三年前摂政家歌合)

六月廿日ころに秋の節になる日、人のもとにつかはしける 摂政左大臣
六月のてる日の影はさしなから風のみあきのけしきなるかな
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

水無月のてる日や影を残しけむけさふく風の秋にしられぬ(夫木抄~校註国歌大系)

みな月のつこもりの日よめる みつね
夏と秋とゆきかふ空のかよひちはかたへすゝしき風や吹らん
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

住吉や松に涼しき夕風も夏と秋とのゆきあひの空(嘉吉三年前摂政家歌合)

ゆふたちてなつはいぬめりそほちつつあきのさかひにいつかいるらむ
(古今和歌六帖~日文研HPより)

ちかくなるあきをしらせてかせのおともかつかつすすしゆふくれのそら
(為兼家歌合~日文研HPより)

松風秋近といへる心をよめる 藤原親盛
秋風は浪とゝもにやこえぬらんまたき涼しき末の松山
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

晩風似秋と云事を 前左大臣
松にふく風もすゝしき山陰に秋おほえたる日くらしのこゑ
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏御歌中に 伏見院御歌
鳴声も高き梢のせみのはのうすき日影に秋そ近つく
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌たてまつりし時 摂政太政大臣
秋ちかきけ色の杜になく蝉の涙の露や下葉そむらん
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

みな月の頃とも見えぬ草葉かなあきつの里のみちの露けさ(夫木抄~校註国歌大系)

 六月つこもりかうしんなりしに
夜もすからおきける露の涼しきは秋のとなりや近くなる覧
(赤染衛門集~群書類従15)

さとたえてあれたるやとのつきみれはあきのとなりになりそしにける
(万代集~日文研HPより)

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古典の季節表現 夏 納涼

2013年06月28日 | 日本古典文学-夏

あをみわたるしはふのいろもすすしきはつはなさゆるくなつのゆふくれ
(金玉歌合~日文研HPより)

中務卿宗尊親王家の百首歌に 平政村朝臣
夏山のしけみかしたに滝落てふもとすゝしき水の音かな
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

滝をたて嵐をぬきの苔衣なつる岩ほもぬれて涼しき
(草根集~日文研HPより)

五十首歌の中に、同し心(納涼の心)を 前大僧正仁澄
夏山の岩かねきよく水落てあたりの草の色も涼しき
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

ゆふくれはさはへにしけるなつくさのはすゑをわたるかせそすすしき
(文保百首~日文研HPより)

題しらす 権律師慈成
山川のみなそこきよき夕波になひく玉藻そ見るもすゝしき
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

崇徳院に、百首歌たてまつりける時 藤原清輔朝臣
をのつから涼くもあるか夏衣日もゆふ暮の雨のなこりに
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 入道前太政大臣
秋ちかき谷の松風をとたてゝゆふ山すゝし岩のした水
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

儀同三司すゝめ侍ける北野社三十首歌に、夕納涼 紹宏院贈内大臣
めにみえぬ秋やかよひて夕暮の松に涼しき軒のしたかせ
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

すゝみにと道は木のまにふみなれて夏をそたとる杜下かせ
(文治六年女御入内御屏風和歌~群書類従11)

題しらす 従三位基輔
秋近き草のしけみに風立て夕日すゝしき杜の下かけ
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

ゆふされはあふきのかせをてならしてつきまつほともすすしかりけり
(六百番歌合~日文研HPより)

納涼を 伏見院新宰相
なく蝉の声やむもりに吹風のすゝしきなへに日も暮ぬなり
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

夜納涼といふ事を 進子内親王
もりかぬる月はすくなき木の下に夜ふかき水の音そ涼しき
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

いつみのこゑ夜に入て涼しきといふ心をよみ侍ける 源師賢朝臣
さ夜ふかき岩井の水の音きけはむすはぬ袖もすゝしかりけり
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

(長保五年六月)二十日、戊寅。
左府の許に参った。北馬場において納涼が行なわれた。右衛門督(斉信)が食物を準備した。碁局と破子が有った。(平)祐挙・則友両大夫が囲碁を行なった。祐挙が勝った。懸物を下給した。また、競馬(くらべうま)二番が行なわれた。秉燭、「陰夜、月を待つ」の題で和歌を詠んだ。右藤中将(藤原実成)と同車して、家に帰った。
(権記〈現代語訳〉~講談社学術文庫)

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古典の季節表現 夏 六月

2013年06月26日 | 日本古典文学-夏

みなつきにいはもるしみつむすはすはあふきのかせをわすれましやは
(堀河百首~日文研HPより)

てもたゆくあふきのかせもぬるけれはせきのしみつにみなれてそゆく
(好忠集~日文研HPより)

みなつきのあつさをいまのときとしてあふきのかせもぬるきころかな
(文保百首~日文研HPより)

閨扇
六月も秋たつ風はぬるからし閨の扇を手にやまかせん
(草根集~日文研HPより)

みなつきのてるひもいかてすくさましたのむあふきのかせなかりせは
(六百番歌合~日文研HPより)

てにならすあふきのかせはかよへともくさもゆるかすてるひかけかな
(新撰和歌六帖~日文研HPより)

題しらす 前中納言定家
立のほりみなみのはてに雲はあれと照日くまなき比の大空
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏歌の中に 前中納言定家
行なやむうしのあゆみにたつちりの風さへあつき夏の小車
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

たいしらす よみ人しらす
みな月のつちさへさけてゝる日にもわか袖ひめやいもにあはすして
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏ふかきころ、つねに居たるかたの遣戸は、谷のかたにて、見おろしたれば、竹の葉はつよき日によられたるやうにて、まことに土さへさけてみゆる世のけしきにも、我が袖ひめやと、又かきくらさるるに、ひぐらしはしげき木ずゑにかしましきまで鳴きくらすも、友なるここちして
こととはむなれもやものを思ふらむもろともになく夏のひぐらし
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)

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古典の季節表現 夏 夏鶯/老鶯

2013年06月24日 | 日本古典文学-夏

山里の卯花にうくひすのなき侍けるを 平公誠
うの花をちりにし梅にまかへてや夏のかきねに鶯のなく
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

 六月にさくら井のひしりもとにゆきたりしに鶯なきしを
春めける声にきこゆる鶯はまたさくらゐの里にすめはか
(赤染衛門集~群書類従15)

題しらす 法皇御製
鶯の忘れかたみの声はあれと花は跡なき夏木立哉
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

たつねきてきけはありけりうくひすのなくなるなつとおもひけるかな
(忠見集~日文研HPより)

時鳥声老といへることを 前大納言為世
ふりにける声を残して時鳥なを水無月の空に鳴なり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

たいしらす よみ人しらす
秋近み夏はてゆけは郭公鳴こゑかたき心ちこそすれ
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

鶯は、(略)夏・秋の末まで、老い声に鳴きて、「虫喰ひ」など、良うもあらぬ者は、名をつけ替へていふぞ、口惜しく、くすしき心ちする。それも、ただ雀などのやうに、常にある鳥ならば、さもおぼゆまじ。春鳴くゆゑこそはあらめ、「年立ちかへる」など、をかしき言に、歌にも詩にも作るなるは。なほ、春のうち鳴かましかば、いかにをかしからまし。人をも、人げなう、世のおぼえ侮らはしうなりそめにたるをば、謗りやはする。
(枕草子~新潮日本古典集成)

さながら六月になりぬ。かくてかぞふれば夜みぬことは三十餘日ひるみぬことは四十餘日になりにけり。いとにはかにあやしといはゞおろかなり。心もゆかぬ世とはいひながらまだいとかゝるめはみざりつればみる人々もあやしうめづらかなりとおもひたり。ものしおぼえねばながめのみぞせらるゝ。目もいとはづかしうおぼえておつる泪おしかへしつゝふしてきけばう ぐひすぞをりはえてなくにつけておぼゆるやう
うぐひすもごもなきものや思ふらんみな月はてぬねをぞなくなる
(蜻蛉日記~バージニア大学HPより)

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