延喜御時の菊宴歌 藤原俊蔭朝臣
初霜とひとつ色にはみゆれともかこそしるけれ白菊の花
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
菊宴せさせ給うける 延喜御製
秋過て残れる色も神無月霜をわけてそおしむへらなる
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
延喜十二年十月、御前のやり水のほとりに菊うへて、御あそひ侍けるついてによませ給ける 延喜御製
みなそこにかけをうつせる菊の花波のおるにそ色まさりける
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
延喜十七年十月、御前の菊の宴の日 源公忠朝臣
神無月時雨にまさる菊の花秋はてにきとみえすも有哉
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
延喜十七年十月菊の宴の日、御かさしとて奏し侍ける 三条右大臣
たかためになかき冬まて匂ふらんとはゝ千とせと君そこたへん
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
延喜十七年閏十月、菊の宴せさせ給ける時、三条右大臣おほんかさし奉るとて、「たかために長き冬まて匂ふらんとはゝ千とせと君はこたへよ」と奏し侍ける御返しに 延喜御製
色ふかく匂ふ菊かなあはれなるおりに折ける花にや有らん
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
同年十月九日更衣たち菊の宴し給ふ其日さけのだいのすはまの銘の哥女水のほとりにありて菊の花をみる
菊の花をしむ心は水底のかけさへ色のふかくもありける(イあるかな)
(躬恒集~群書類従15)
うへのおのこともきくあはせし侍けるついてに 延喜御歌
時雨つゝかれ行野辺の花なれと霜のまかきににほふ色かな
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
康保三年内裏菊合に 天暦御製
かけみえてみきはにたてる白菊はおられぬ波の花かとそみる
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
康保三年内裏歌合の時一番の人に花を奉らしめ給て、あさかれいのおましのかたに、やそ島をつくりて菊をうへさせ給へり、その菊のはに書付たりける歌 よみ人しらす
いくたひか霜はをきけんきくの花やそ島なからうつろひにけり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
康保三年内裏歌合に、十月廿二日大盤所の方のつほに、二番のかた草の花いとすくなく成にけれは、天橋立のかたをつくりて松につけたりける歌 よみ人しらす
うつろはぬ松につけてや橋立の久しき世をはかそへわたらん
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
上東門院菊合に 大弐三位
うすくこくうつろふ色もはつ霜のみな白きくとみえわたるかな
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
(同十三年癸酉。)十月十三日。殿上菊合。有十首和歌。
(帝王編年記~「新訂増補 国史大系12」)