monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

九月尽

2010年09月30日 | 日本古典文学-和歌-秋

今日ばかりまさきの綱をかけてだにとめてもみばや秋の別れを(宝治百首)

今はとて別るる秋の袖もあらばなほこの暮れを引きやとどめむ(草根集)

なが月の名をばたのまじ惜しめども今日にかぎれる秋のわかれぢ(実材母集)

明日よりはいとど時雨や降りそはむ暮れ行く秋を惜しむ袂に(後拾遺和歌集)

とどまらぬ秋のわかれの涙より明日をも待たで袖ぞしぐるる(延文百首)

暮れはつる秋のかたみと明日や見む袖に涙の露をのこして(新拾遺和歌集)

天(あま)つ空暮るるを今日の別れにてゆくへも知らずかへる秋かな(新千載和歌集)

夕暮れの雲のはたてにしたふかな天つ空なる秋のわかれを(嘉元百首)

名残をばゆふべの雲にとどめおきて明日とだになき秋のわかれぢ(新後拾遺和歌集)

今日のみと名残を思ふ夕べこそ秋のあはれのかぎりなりけれ(延文百首)

惜しめどもかなはぬものと知りながらさてしもなげく秋の暮れかな(宝治百首)

暮れやすき日かげは山に入りあひの声とともにぞ秋も尽きぬる(延文百首)

今日といへば同じ入相(いりあひ)のおとをさへ秋の名残と聞きぞわびぬる(延文百首)

暮れてゆく色はさやかに見えねども入相の鐘に秋ぞ尽きぬる(夫木抄)

かぎりあれば夜を長月のともし火もかかげつくして秋は去(い)ぬめり(新続古今和歌集)

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暮秋

2010年09月29日 | 日本古典文学-和歌-秋

ふりつもる紅葉(もみぢ)の色を見るときぞ暮れ行く秋はまづ 知られける(新拾遺和歌集)

もみぢ葉は散る木のもとにとまりけり過ぎゆく秋やいづちなるらむ(後撰和歌集)

惜しめども秋はとまらぬ立田山もみぢをぬさと空に手向けて(続古今和歌集)

暮れはつる秋のかたみにしばし見む紅葉(もみぢ)ちらすな木枯らしの風(山家集)

野べ見れば近く去(い)ぬべき秋なれやちぐさの末も色さめぬなり(伏見院御集)

こころとめて草木の色もながめおかむ面影にだに秋や残ると(玉葉和歌集)

長月もいく有明になりぬらむ浅茅(あさぢ)の月のいとどさびゆく(新古今和歌集)

有明の月よりのちに秋暮れて山にのこれる松風のこゑ(秋篠月清集)

行く秋の形見なるべき露だにもなほ置きとめぬ野べの秋かぜ(後崇光院御百首)

消えやらでおくるる秋の形見ともせめては露の身をやたのまむ(草根集)

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柞(ははそ)の紅葉(もみぢ)

2010年09月28日 | 日本古典文学-和歌-秋

秋といへば岩田の小野の柞原(ははそはら)しぐれも待たず紅葉(もみぢ)しにけり(千載和歌集)

かきくらし時雨そめぬる今日こそは柞(ははそ)の森も色づ きにけれ(文治二年歌合)

ははそ原くれなゐふかく染めてけりしぐれの雨は色なけれども(元永元年内大臣家歌合)

秋山のははそ色づ く今しより露も時雨もなほや染(そ)むらむ(延文百首)

しぐれする岩田の小野のははそはら朝な朝なに色かはりゆく(万代集)

吹きみだるははそが原を見わたせば色なき風ももみぢしにけり(千載和歌集)

山科の岩田の小野に秋暮れて風に色あるははそ原かな(六百番歌合)

佐保山のははその紅葉(もみぢ)うすけれど秋はふかくもなりにけるかな(左兵衛佐定文朝臣歌合)

いろいろの野べ見しよりもははそはら木々のにしきはたちまさりけり(林葉集)

ははそ原ゆくべき道もなかりけり散るもみぢ葉の踏まま惜しさに(中宮亮顕輔家歌合)

もみぢ葉もみな散りはてて柞原(ははそはら)今日はこずゑぞまばらなりける(堀河百首)

わび人の袖は柞(ははそ)の森なれやしぐるるままに色かはりゆく(散木奇歌集)

佐保山の柞のもみぢ散りにけり恋しき人を待つとせしまに(万代集)

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檀(まゆみ)の紅葉(もみぢ)

2010年09月27日 | 日本古典文学-和歌-秋

あさ霧の安達(あだち)のまゆみ秋はまづ 時雨をこめて色づ きにけり(洞院摂政家百首)

山里の庭の真弓のうす紅葉(もみぢ)しぐるともなき秋の色かな(光経集)

けさ見ればまゆみのもみぢ色ぞ濃き細川山に時雨ふるらし(夫木抄)

人知れずもみぢしにけり南淵(みなぶち)の細川まゆみいつしぐれなむ(夫木抄)

日をへては秋風さむみさを鹿のたち野の真弓もみぢしにけり(新勅撰和歌集)

引きよせて見れど飽かぬはくれなゐにぬれる真弓のもみぢなりけり(古今和歌六帖)

陸奥(みちのく)の安達の真弓いく秋か色をこずゑの露に染むらむ(最勝四天王院和歌)

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櫨(はじ)の紅葉(もみぢ)

2010年09月26日 | 日本古典文学-和歌-秋

長月のすゑの原野(はらの)のはじもみぢ時雨もあへず色づ きにけり(続後撰和歌集)

しぐれゆく櫨(はじ)の立ち枝(え)に風こえてこころ色づ く秋の山ざと(玉葉和歌集)

鵙(もず)の鳴くみかきが原の朝露にぬれて色こき櫨のもみぢ葉(草根集)

うづ ら鳴くかた野に立てるはじもみぢ散りぬばかりに秋風ぞ吹く(新古今和歌集)

ふるさとのみかきが原の櫨紅葉(はじもみぢ)こころと散らせ秋の木枯らし(新勅撰和歌集)

木枯らしのすゑ野にたてるはじもみぢ秋のかたみによきて吹かなむ(新撰和歌六帖)

木枯らしのすゑ野の原のはじもみぢかつさそはれて暮るる秋かな(夫木抄)

知るらめやわが園生(そのふ)なる櫨紅葉その色よりも深き思ひを(拾玉集)

※「はじ」は現代語の「はぜ(の木)」のこと。

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