かみまつるうつきまちいててさくはなのえたもとををにかくるしらゆふ
(拾遺愚草~日文研HPより)
かみまつるうつきになれはうのはなのかきねもをみのころもきてけり
(治承三十六人歌合~日文研HPより)
かきねさへうしやうつきのさくはなにいろもにほひもはるそわすれぬ
(明日香井集~日文研HPより)
山かつの垣ほにさける卯花や玉しく庭に猶まさるらん
(草根集~日文研HPより)
民部卿泰憲近江守に侍ける時、三井寺にて歌合し侍けるにうのはなをよめる よみ人しらす
白浪の音せてたつとみえつるはうの花さける垣ねなりけり
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
正子内親王のゑあはせし侍けるに、かねのさうしにかき侍ける さかみ
見わたせはなみのしからみかけてけりうの花さける玉川の里
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
そてたれてをれともぬれぬしらなみはうのはなさけるかきねなりけり
(堀河百首~日文研HPより)
題しらす よみ人しらす
山かつのかきねにさける卯花はたか白たへの衣かけし〔そ〕
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
まかふへきつきなきころのうのはなはよるさへさらすぬのかとそみる
(山家集~日文研HPより)
しろたへにうのはなさけるかきねをはつもりしゆきとおもひけるかな
(源広綱朝臣歌合~日文研HPより)
ある所に歌合し侍けるに、卯花をよみ侍りける 大中臣能宣朝臣
卯花のさけるあたりは時ならぬ雪ふる里の垣ねとそみる
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
うのはなのかきねある家にて よみ人しらす
時わかすふれる雪かとみるまてに垣ねもたはにさける卯花
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
時わかす月か雪かとみるまてにかきねのまゝにさける卯花
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
卯花をよめる 江侍従
雪としもまかひもはてすうのはなはくるれは月の影かともみゆ
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
卯花似月
天つ空光は見えす卯花の咲くや卯月の夕やみの庭
(草根集~日文研HPより)
暮見卯花といへる心をよみ侍ける 右近大将実房
ゆふ月よほのめく影も卯花のさける垣ねはさやけかりけり
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
このころはゆきとつきとをむかふかなうのはなかきのたまかはのさと
(永享百首~日文研HPより)
なつのよはうのはなかきになみこえてつきをうかへるたまかはのさと
(正治初度百首~日文研HPより)
樵路卯花といふことをよめる 藤原定佐
うの花をかさしのしはにさしそへて家ちにかへるをのゝ山人
(月詣和歌集~「続群書類従14上」)
卯の花は品おとりて何となけれど、咲く頃のをかしう、杜鵑のかげにかくるらんと思ふにいとをかし。祭のかへさに、紫野のわたり近きあやしの家ども、おどろなる垣根などに、いと白う咲きたるこそをかしけれ。青色のうへに白き單襲かづ きたる、青朽葉などにかよひていとをかし。
(枕草子~バージニア大学HPより)
四月はかりにむかへなる人のこ家に公新中納言のおはすときゝし夜うの花につけて車にさゝせし
卯花のかけにしのへとほとゝきす人と語ふ声さへそきく
(赤染衛門集~「群書類従15」)
四月にもなりぬれば、卯の花折りて、少将、
つれなさを思ひもらさぬ心こそ身を卯の花と言ふべかりけれ
(住吉物語~「中世王朝物語全集11」笠間書院)
四季物語の中に ほととぎすのみかどの御歌
立ち返り見れども飽かず山がつの垣根に波をかくる卯の花
御返し 卯の花の女御
にほひなき卯の花垣のこずゑには人の心の波や越ゆらん
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)
日比をともせさりける女のもとに、卯月になりて卯花にさしてつかはしける 読人しらす
明暮て日比へにけり卯花のうき世の中になかめせしまに
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
渓卯花
谷深きしつかいほりのうつき垣花さけはとてとふ人もなし
(嘉喜門院御集~「群書類従15」)