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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「花の袖」用例

2018年03月31日 | 日本国語大辞典-は行

 「花の袖」という用語は「美しい衣服。はなやかな衣服。多く、春の服をいう。」という語釈が日本国語大辞典に載っており、古い用例としては、謡曲・井筒(1435年頃)の「雪をめぐらす花の袖」という用例が挙げられていますが、もっとさかのぼる用例があります。

春はけふ霞の衣花の袖宿の梢にぬきかけてけり
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、下、宜秋門院丹後、春)
『続群書類従 14下』624ページ

花の袖(そで)かへまくをしき今日なれや山ほとゝぎす声はおそきに
(秋篠月清集、夏部、更衣、1056)
『和歌文学大系60 秋篠月清集/明恵上人歌集』明治書院、2013年、172ページ


「志賀の山」用例

2018年03月21日 | 日本国語大辞典-さ行

 「志賀の山」という用語の古い用例は日本国語大辞典・第2版では、『連理秘抄』(1349年)ですが、200年以上さかのぼる用例があります。

志賀の山心はなにそ越つれと霞にさへもまよひぬるかな
(巻第百六十八・永久四年百首、春、志賀山越)
『群書類従・第十一輯(訂正三版)』塙保己一編、続群書類従完成会、1993年、182ページ


「花咲く」用例

2018年03月17日 | 日本国語大辞典-は行

 「花咲く」という用語は、日本国語大辞典・第2版では、『日葡辞書』(1603-04年)からの例が早いのですが、もっとさかのぼる用例が複数あります。

花咲きて実(み)はならねども長きけにおもほゆるかも山吹の花(巻十、1860)406ページ
見まくほりわが待ち恋ひし秋萩は枝も繁(しみ)みに花さきにけり(巻十、2124)428ページ
『新訂 新訓万葉集 上巻(岩波文庫)』佐佐木信綱編、岩波書店、1927年

桜をうへてありけるに、やうやく花咲ぬへき時に、かのうへける人身まかりにけれは、その花をみてよめる きのもちゆき 
花よりも/人こそあたに/成にけれ/いつれをさきに/こひんとかみし
(古今和歌集850~国文学研究資料館HPより)

みちとせに花さくもものめづらしくたがことづてぞわれにはあらじ
(4・古今和歌六帖、第五、人づて、2863)
『新編国歌大観2』角川書店、1984年、223ページ

中院に有りける紅梅の卸枝遣さむなど申しけるを又の年の二月計り花咲きたる卸枝に結附けて皇太后宮大夫俊成の許に遣し侍りける
昔よりちらさぬ宿のうめの花わくる心はいろに見ゆらむ
(千載和歌集~日文研HPより)

何方に花咲きぬらむと思ふより四方の山邊にちる心かな
(千載和歌集~日文研HPより)

やまふきの/花咲にけり/蛙なく/井手のさと人/いまやとはまし
(千載和歌集112~国文学研究資料館HPより)

花咲し/野辺のけしきも/霜枯ぬ/これにてそしる/旅の日数を
(千載和歌集510~国文学研究資料館HPより)

色も香もうつるばかりにこの春は花さく宿をかれずもあらなん
(梅枝、三)
『源氏物語3(日本古典文学全集14)』小学館、1990年、403ページ

病おもくなり侍りければ、三井寺へまかりて、京の房に植ゑおきて侍りける梅を、今は花(はな)咲(さ)きぬらん、見ばやといひ侍りければ、折りにつかはして見せければよめる
この世にはまたもあふまじ梅の花ちりぢりならん事ぞかなしき
(巻第十・雑下、361)
『詞花和歌集』(岩波文庫)松田武夫校訂、1939年、75ページ

まがふ色に花咲きぬればよしの山春は晴れせぬ嶺の白雲(30ページ)
山寒み花咲くべくもなかりけりあまりかねても尋ね来にけり(32ページ)
山吹の花咲く井手の里こそはやしうゐたりと思はざらなむ(173ページ)
『新訂山家集』(岩波文庫)佐佐木信綱校訂、1928年

むかしは宣旨をむかてよみければ、枯たる草木(そうもく)も花(はな)さきみなり、悪鬼悪神も隨ひけり。
(巻第八、鼓判官)
『平家物語・下(日本古典文学大系33)』岩波書店、1960年、154ページ


八塩折の酒

2018年03月16日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 遠友夜学校校歌の歌詞に「やしほ味よきうま酒か」という文章があり、過去ブログで「『やしほ』という語が、酒に使われる例を知らない」と書いたのですが、「やしほ+酒」は語形が少々違うのですが、古例があるようです。
 最近、御伽草紙の本を読んでいたら、たまたま以下の文章を発見しました。

 昔、出雲国簸川上と申所に、八岐大蛇(やまたのおろち)といふ大蛇ありしが、此大蛇、毎日生贄とて生きたる人を食ひける也。また、酒を飲む事おびたゝし。八塩折(やしほり)の酒を八の酒槽(さかぶね)に飲みしほどに、(略)
八塩折(やしほり)の注:幾度もくり返して醸(かも)したよい酒。やしおおり。中世「やしぼり」の訓も行われた。
(「伊吹童子」~『新日本古典文学大系54 室町物語集 上』岩波書店、1989年、189ページ)

 そこで、日本国語大辞典・精選版でこの単語を引いてみたところ、前後に関連語が載っていたのです。「おり」「しほ」も調べました。
 やしおおり(やしほをり)【八入折・八塩折】:幾回も繰り返し精製すること。やしおり。
 やしおおりのさけ:何度も繰り返して醸成した酒。やしおりのさけ。古事記用例
 やしおり(やしほり)【八入折・八塩折】:(「やしぼり」とも。「やしおおり(八入折)」の変化した語)=やしおおり(八入折)
 やしおりのさけ:=やしおおり(八入折)の酒。古事記用例
 おり(をり)【折】:🈪何回も繰り返すこと。「やしおおり(八塩折)」の形で、何回も酒をかもすこと、また、刀を何回も鍛えること。
 しお(しほ)【入】:〔接尾〕色を染めたりする時に、染料を浸す度数を数えるのに用いる。古く、酒の醸造のとき、醸(か)む程度などにもいう。

 ただ、「やしお(やしほ)」の語釈に「酒を何回も醸成すること」という語釈はありませんでした。やしほをりの酒=やしほりの酒=やしほの酒、ということになるので、「やしほ」の語釈にも追加されてよろしいと思います。

 酒ではないが、たまたま以下の用例を見つけました。「喜びもひとしお」という用法は一般的ですが、こうなると、語釈が更に広がりそうです。

舘(定正をいふ)程なく還(かへ)らせ給はゞ、憂(うき)を轉(かへ)して御歓びは、八入(やしほ)ならん、と査(さつし)まつりぬ。
(「南総里見八犬伝 10」岩波文庫、131ページ12行目)


エゾシカ肉のカレー

2018年03月14日 | 食・レシピ

 シカ肉のももブロックが手に入ったので、カレーを作りました。脂身が少なくヘルシーなのに、特有のクセがコクとなっていて美味しいです。
 ジャガイモは入れない方が “レストラン風”? 普段のカレーは市販カレールーは使わないのですが、濃い色に作りたいので、パッケージの出来上がり参考写真から、牛肉用のカレールーを使いました。
 シカ肉の粗びき肉でキーマカレー風も美味しいです。

・玉ねぎを炒める。
・シカ肉を炒める。
・カレー粉を振って炒める。
・ニンジン、マッシュルームも入れて炒める。
・水を入れ、煮る。
・市販のカレールーを入れる。