我が背子に恋ふれば苦し暇あらば拾ひて行かむ恋忘貝
(わがせこに,こふればくるし,いとまあらば,ひりひてゆかむ,こひわすれがひ)
(万葉集~バージニア大学HPより)
暇あらば拾ひに行かむ住吉の岸に寄るといふ恋忘れ貝
(いとまあらば,ひりひにゆかむ,すみのえの,きしによるといふ,こひわすれがひ)
(万葉集~バージニア大学HPより)
海人娘子潜き採るといふ忘れ貝世にも忘れじ妹が姿は
(あまをとめ,かづきとるといふ,わすれがひ,よにもわすれじ,いもがすがたは)
(万葉集~バージニア大学HPより)
紀の国の飽等の浜の忘れ貝我れは忘れじ年は経ぬとも
(きのくにの,あくらのはまの,わすれがひ,われはわすれじ,としはへぬとも)
(万葉集~バージニア大学HPより)
この泊の浜には、くさぐさのうるわしき貝、石など多かり。かかれば、ただ、昔の人をのみ恋ひつつ、船なる人のよめる、
寄する波うちも寄せなむわが恋ふる人忘れ貝下りて拾はむ
といへれば、ある人の堪へずして、船の心やりによめる、
忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋ふるをだにもかたみと思はむ
(土佐日記~新編日本古典文学全集)
おもひかね-こひわすれかひ-ひろへとも-そてぬれまさる-おきつしまもり
(六条修理大夫集~日文研HPより)
なぐさめにひろへば袖ぞぬれまさる伊良子が崎の恋忘れ貝
(三河守為忠名所歌合~「平安朝歌合大成3」)
(たいしらす) 源頼康
よそにたに/見ぬめの浦の/忘貝/かひなくひろふ/袖はぬれつゝ
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
(たいしらす 読人不知)
ありそうみの/浦とたのめし/なこりなみ/うちよせてける/わすれかひ哉
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
吹きよせよ清見浦風わすれ貝拾ふなごりの名にしおはめや
(海道記~バージニア大学HPより)
不知身程恋 暁覚
つれもなき人になにそはわすれ貝うき世の浪にあらぬ此身を
(大永二年八月四日御会和歌~「続群書類従14下」)