鈴鹿川八十瀬(やそせ)の浪のおとたててなほふりまさる五月雨のころ(為家五社百首)
五月雨に水やまされる初瀬川いはこす波のこゑとよむなり(成仲集)
五月雨に水際(みぎは)まさりて広瀬川名にこそ立てれ水の白波(新続古今和歌集)
五月雨の日数つもれるみなの川みかさまさりて淵とこそなれ(明題和歌集)
底きよくなりぞしぬらし五月雨に藻屑(もくづ)ながるる山河の水(新後拾遺和歌集)
鈴鹿川八十瀬(やそせ)の浪のおとたててなほふりまさる五月雨のころ(為家五社百首)
五月雨に水やまされる初瀬川いはこす波のこゑとよむなり(成仲集)
五月雨に水際(みぎは)まさりて広瀬川名にこそ立てれ水の白波(新続古今和歌集)
五月雨の日数つもれるみなの川みかさまさりて淵とこそなれ(明題和歌集)
底きよくなりぞしぬらし五月雨に藻屑(もくづ)ながるる山河の水(新後拾遺和歌集)
難波びと日数(ひかず)ふりゆく五月雨に衣(ころも)干すとや蘆火(あしび)たくらむ(衣笠内府詠)
難波女(なにはめ)のころも干すとて刈りて焚く葦火のけぶり立たぬ日ぞなき(新古今和歌集)
蘆火たく篠屋(しのや)のけぶり心からくゆる思ひにむせぶころかな(続後撰和歌集)
難波江やしほひのかたの蘆の葉もなほ波こゆる五月雨のころ(新後撰和歌集)
満(み)つ潮(しほ)にすゑ葉をあらふながれ芦の君をぞ思ふうきみしづみみ(千載和歌集)
ふかくのみ思ふこころは葦の根のわけても人に逢はむとぞ思ふ(後撰和歌集)
うきにはふ葦のした根のみこもりにかくれて人に恋ひぬ日はなし(続千載和歌集)
わが恋は難波ほり江の芦の根のみがくれてのみ年のふるかな(続後拾遺和歌集)
かくとだに云はぬにしげきみだれ葦のいかなるふしに知らせそめまし(新勅撰和歌集)
もの思ふこころのうちは乱れ葦のうきふししげきころにもあるかな(続千載和歌集)
かくれぬの入り江に生(お)ふる葦の根のしたの乱れはくるしかりけり(新後撰和歌集)
かくれぬの下はふ葦のねになけど人こそ知らね袖はぬれつつ(続古今和歌集)
つれづ れと思へばうきに生ふる蘆のはかなきよをばいかがたのまむ(拾遺和歌集)
しら波の寄すればなびく芦のねのうき世の中を見るがかなしさ(続後撰和歌集)
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三島江に葦刈り捨(す)つる里人のかへさは舟の音(おと)ぞすくなき(和漢名所詩歌合)
夏刈りの葦のうきねのひとよだにみじかかりける身の契りかな(洞院摂政家百首)
君なくてあしかりけりと思ふにもいとど難波の浦ぞ住み憂き(大和物語)
五月雨のながき皐月の水ふかみ玉江の葦の夏刈りもせじ(夫木抄)
山がつの庭のそで垣つたひきて軒ばにかかる夕顔の花(自葉和歌集)
暮れそめて草の葉なびく風のまに垣根すずしき夕がほの花(拾遺愚草)
木の間もる垣ねにうすき三日月の影あらはるる夕がほの花(夫木抄)
あけたてば照る日にしをれ夜はまた露にひもとく夕がほの花(持為集)
竹かこふ賤(しづ)が垣ねの露のまにひとよをちぎる夕顔の花(道家百首)
山がつの契りのほどやしのぶらむよるをのみ待つ夕顔の花(寂蓮集)
八重むぐら花もひとへの夕顔を誰(た)が軒ばぞと問ふ人もなし(続亜槐和歌集)
里は荒れぬたれいにしへに住む人の形見はかなき花のゆふがほ(隣女集)
名にしおへばたのまれぞする我が恋ふる人にあふちの花咲きにけり(好忠集)
たちかへり見てこそゆかめこの里に咲けるあふちの花の梢を(為村集)
夏草のしげみの花とかつ見えて野中の杜(もり)にちる樗(あふち)かな(草根集)
片岡のあふちの木ずゑ雨はれて露ふく風に花ぞ散りゆく(三十番歌合)
明日も来(こ)む木陰(こかげ)すずしき片岡に咲けるあふちの花散りぬとも(百首歌合)