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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 冬 十一月中子日 大原野祭

2017年11月23日 | 日本古典文学-冬

大原野の祭にまいりて、周防内侍につかはしける 藤原伊家
千世迄も心してふけ紅葉はを神もをしほの山をろしの風
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
大原野祭にまいりてよみ侍ける 周防内侍
木からしも心してふけしめのうちはちらぬ木すゑそ大原の山
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

《貞觀元年十一月十三日甲子》○十三日甲子。大原野神祭如常。
(日本三代實録~「増補 六国史 9」朝日新聞社、昭和15年)

(延長二年十一月)十八日、壬子、大原野祭、奉幣馬如例、
(貞信公記~東京大学史料編纂所・古記録フルテキストデータベースより)

長保元年十一月二十一日。
暁方、元■(りっしんべん+豈)朝臣の宅に移った。大原野社に奉幣を行なった〈薬助も、同じく赴いた。〉。大原野祭が行なわれた。
(権記〈現代語訳〉~講談社学術文庫)

寛弘三年十一月十三日、壬子。
河原に出て、奉幣を行なった。大原野祭が行なわれた。
(権記〈現代語訳〉~講談社学術文庫)

(寛弘四年十一月)十三日、丙子。
大原野祭に際しての神馬使は、常と同じであった。
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(長和五年十一月)二十四日、甲子。
大原野祭に奉幣を行なうために、鴨川の河原に出た。使は雅楽助(うたのすけ)(藤原)頼文であった。
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(仁治元年十一月)廿三日壬子。大原野祭也。於仮殿被行之。未曾有事也。他社有其例。被准拠云々。
(百錬抄~「新訂増補 国史大系 11」)


古典の季節表現 冬 十一月初卯日 相嘗祭

2017年11月22日 | 日本古典文学-冬

 十一月にもなりぬれば、斎院の相嘗(あひむべ)の程、いとゞ見捨てがたくて、御神楽の夜にもなりぬ。例の、殿上人・上達部、参り集(つど)ひて、御前の庭火、おどろおどろしく、昼よりもさやかなり。御几帳の帷(かたびら)、菊の織物どもにて、咲ける籬と見えたるに、女房の袖口ども、紅葉襲の打ちたるどもに、同じ色の二重(ふたへ)織物の表着(うはぎ)、龍胆(りんだう)の唐衣、地は薄きに、文(もん)は、いと濃く織り浮かされたるは、ほかの色にも似ず、なべてならず清らかなり。物の音(ね)ども、掻き合せ、こなたかなたの楽の音(をと)も、ほかの遊びにも似ず、篳篥(ひちりき)の、すぐれて響き出でたるは、いとおもしろし。(略)更けゆくまゝに、雪、折々うち散りて、木枯、あらあらしう吹しきりたるに、庭火、いたくまよひて吹きかけられるゝを、払ひ侘びつゝ、煙の中よりにがみ出たる主殿寮(とのもづかさ)の顔ども、いとをかしう見やられ給ふにも、
 おぼろけに消(け)つとも消えむ思ひかは煙の下にくゆりわぶとも
など、思ひ続けられ給ふにも、「今日、明日」と、それにつけても、さしも、猶安からず思(おぼ)え給。暁になりて、事果てぬるに、さるべき上達部など、受け取りて、謡ひ遊び給へる、なまめかしうをかしきに、大将殿、「明星(あかぼし)」謡ひ給へる、扇の音(おと)まで、なべておもしろきを、「神も耳とゞめ給ふらんかし」と聞ゆるに、うちうめかるゝ声ぞ、心後(をく)れたるやうなる。あくるまで遊びて、まかで給ふに、さまざまの、女房の装束・細長・小袿など、押し出でさせ給へり。
(狭衣物語~岩波・日本古典文学大系)


「枯草(かるも)」用例

2017年11月05日 | 日本国語大辞典-か行

 「枯草(かるも)」という語は日本国語大辞典では「夫木抄」(1310年頃)の例を早い用例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。

雪降れば何にか身をばかくすべきかるもがしたのゐどころもなし
(117・頼政集、300)
『新編国歌大観3』角川書店、1985年、521ページ

 師の宮亡(う)せ給ひての頃
かるもかき臥(ふ)す猪(ゐ)の床(とこ)の寝(い)を安(やす)みさこそ寝(ね)ざらめかからずもがな
『和泉式部集 和泉式部続集(岩波文庫)』岩波書店、1983年、48ページ

かるもかき臥(ふ)す猪(ゐ)の床(とこ)のいを安(やす)みさこそ寝(ね)ざらめかゝらずもがな
(恋四、821)
『後拾遺和歌集(新日本古典文学大系8)』岩波書店、1994年、263ページ


古典の季節表現 冬 鷹狩

2017年11月03日 | 日本古典文学-冬

題しらす  性威法師
はし鷹の木居の下草枯しよりかくれかねてや雉子鳴らん 
(新後拾遺和歌集 ~国文学研究資料館HPより)

鷹狩を 前中納言為相 
御狩野に草をもとめてたつ鳥のしはしかくるゝ雪の下柴 
 前大納言公泰
御狩するかた山陰のおち草にかくれもあへすたつきゝすかな
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

京極関白前太政大臣、高陽院歌合に 前中納言匡房 
みかり野はかつふる雪にうつもれて鳥たちもみえす草かくれつゝ 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

堀川院の御時、百首の歌奉りける時、鷹狩をよめる 藤原仲実朝臣 
やかたおのましろの鷹を引すへてうたのとたちをかりくらしつる 
 隆源法師 
ふる雪に行ゑも見えすはしたかのおふさの鈴の音はかりして 
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

みかりするやまちにすすのおとはしてしらふのたかはゆきにまかひぬ
(夫木抄~日文研HPより)

百首歌奉し時、おなし心(鷹狩)を 権大納言忠季 
すゝの音はよそにもしるし箸鷹のしらふに雪は降まかへとも 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

雪のいみじう降りたるに、鷹すゑたる人あり
空に立つ鳥だにみえぬ雪もよにすずろに鷹をすゑてけるかな
(和泉式部集~岩波文庫)

御狩(みかり)する片野(かたの)の御野(みの)に雪ふれば黒斑(くろふ)の鷹も白斑(しらふ)とぞみる
(承徳元年_東塔東谷歌合~日文研HPより)

鷹狩をよめる 源氏頼 
ふる雪にとたち尋て今日いくかかたのゝみのをかりくらすらん 
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

無品親王伏見に侍し比、雪の朝にとしはに雉をつけて奉るとて、「御狩せし代々のむかしに立かへれかたのゝ鳥も君を待なり」と奏し侍し御返事に 今上御製 
みかりせし代々のためしをしるへにてかたのゝ鳥の跡をたつねん 
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

(承平三年)十二月十六日。殿上侍臣十許人狩猟于大原野放鷹。狩装極美。
(日本紀略~「新訂増補 国史大系11」)