日国友の会へ投稿している用例で当ブログにアップしている記事が100を超えたので、カテゴリーを細分して、「あ行」「か行」というふうに分けました。
NHKラジオ「私の日本語辞典」に松井栄一氏が登場してました。昨年のものの再放送らしいですが、楽しく聞きました。
「大日本国語辞典」の編纂を引き継いだ際、用例は、辞書の前半に多く、後半は少なかったそうです。(ってことは、用例探しも、後半部分を重点的に行なった方がよいのかしら?)
そして、用例探しはやっぱ楽しそう! 用例探しバイトとかあったら、絶対応募するなー。1例幾らとかの出来高制でもいい。(だって最近、用例探しにハンパないほど手を広げちゃってるんだもん。もう収集がつかないくらい。多過ぎて、どれから先に投稿すべきか迷ってます。)
松井氏は「この単語は用例がない(或は、古いものがない)」とかいうのを覚えておいて、本を読むんだそうですが、今どきそんな効率の悪いことしないでも良いのでは、と思ってしまいました。
だって、ネット上にかなりの量のテキストが公開されてるんだから、それらを集めれば、網羅的に用例を探すことが可能でしょ? たまたま読んだ本に出てきた用例を、ってんじゃなくて、時代ごとに当るべきテキストを選定してるんだろうから、それらを引っぱってきて、編集部で電子テキストとして保存して、それから、五十音順なりに単語を検索するとかすれば、かなりさかのぼる用例が発見できると思います。
ネット上で公開されてるのは、古代~近代までのものがほとんどなので、用例もその時代に限られますが。
というわけで、いっそのこと、日国編集部でOCRを購入して、現代の文章なんかどんどん電子テキストにして、用例収集用データとして蓄積してしまえばよいのでは?
本を通読して用例を探すのは1回読んだら終っちゃうけど、電子データにしておけば、後からでも繰り返し検索できるし、網羅的に集められるしね。
ここまでくると、国語学者の共用データベースとしてそういう電子テキスト集積所があると、すごく便利な気がするんですけど……。
和歌はかなりまとまった量のデータを1ヶ所で探すことができますが、散文になるとネット上のあちこちにバラバラに存在してるので、まずはそれらを集める方が良いだろうと思います。一つの単語の用例を探すのに、あちこちのサイトを開いて検索してたのでは、効率が悪いですからね。
そして「浮足立つ」はやっぱりまだ明治期の用例が見つかってないんですねー。いっそのこと、江戸時代の文章にあたってもいいのかも?
「日国友の会」への投稿は、有島武郎作品を読んでて見つけた単語を中心に投稿してます。当時は外国語も流入してきたりして、新たな日本語語彙群形成の時期だったんじゃない? 現代の私たちには耳慣れない単語や用法が出てきてオモシロイ。
あと、漢語はすっげー難しいのも使いこなしてて、漢和辞典(あるいは、「infoseek マルチ辞書」)をしょっちゅー引く羽目になってる。
たとえば、調べがつかなかったのは、「輪声ヲ捨テズ」という表現。前後の文脈から、“電車の車輪が発する音が、昼夜を問わず鳴り響く”という意味らしーことはわかるんだけど、大漢和を見ても載ってないし、「日本国語大辞典」(小学館)を見ても載ってないんだよねー。他の人もこの言い方を用いてたら、当時の人(あるいは、知識人)にとっては普通の使い方、ってことになるのしんないけど、有島武郎だけだったら、彼の造語って可能性もあるのかなー。
あとは、「国語辞典はこうして作る」(松井栄一、港の人)に載ってた「薄らぐ」とか「浮き足だつ」とかの用例を見つけることができたら、おもしろいんだけどなー。
個人的には、連語とかコロケーションに興味があるので、そっち方面の投稿もしたいものだ……。