わづかなるつばさに雪をはらひわびしとどおりゐる道の柴垣(遠忠詠草)
吹くとなきあさ風さむししとど鳴く霜のかきねのいささむら竹(春夢草)
人とはぬ冬の山ぢのさびしさよ垣ねのそばにしとどおりゐて(拾遺愚草)
庵あれしかきほのむばら霜さえてふるき山田にしとど鳴くこゑ(草根集)
わづかなるつばさに雪をはらひわびしとどおりゐる道の柴垣(遠忠詠草)
吹くとなきあさ風さむししとど鳴く霜のかきねのいささむら竹(春夢草)
人とはぬ冬の山ぢのさびしさよ垣ねのそばにしとどおりゐて(拾遺愚草)
庵あれしかきほのむばら霜さえてふるき山田にしとど鳴くこゑ(草根集)
霜枯れの籬のうちの雪みれば菊より後の花もありけり(千載和歌集)
霜がれの枝となわびそ白雪のきえぬかぎりは花とこそみれ(後撰和歌集)
松の葉にかかれる雪のそれをこそ冬の花とはいふべかりけれ(後撰和歌集)
雪ふれば冬ごもりせる草も木も春にしられぬ花ぞ咲きける(古今和歌集)
庭のおもに散るかと見れば梢にもいまをさかりと雪の花かな(邦高親王御百首)
夜もすがら降りつむ雪の朝ぼらけ匂はぬ花をこずゑにぞ見る(新後撰和歌集)
木にもあらず草にもあらで咲く花や竹のさ枝にふれる白雪(新後拾遺和歌集)
梅が枝(え)にわきて降らなむ白雪は春よりさきの花と見るべく(玉葉和歌集)
雪ふれば木々のこのはも春ならでおしなべ梅の花ぞ咲きける
梅ははや咲きにけりとて折れば散る花とぞ雪のふれば見えける(和泉式部日記)
梅がえにふりをける雪を春近みめのうちつけに花かとぞみる(後撰和歌集)
年のうちに咲ける花かと梅が枝を折れば袂にかかる白雪(玉葉和歌集)
冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ(古今和歌集)
春ちかく成りぬる冬のおほ空は花をかねてぞ雪は降りける(続古今和歌集)
白雪のふりしく時はみよし野の山した風に花ぞちりける(古今和歌集)
春ならぬ花もみよとや三吉野の玉松がえにふれる白雪(玉葉和歌集)
にほの海やつりするあまのころもでに雪の花ちる志賀の山風(千五百番歌合)
さらにまた花の春にぞなりにける志賀の山ぢの雪のあけぼの(正治初度百首)
(2011年12月30日の「雪如花(ゆきはなのごとし)」の記事は削除しました。)
ふけすぐる星のひかりに風さえておとせぬしもそ夜半(よは)にさむけき(夫木抄)
吹きとほす梢の風は身にしみてさゆる霜夜の星きよき空(風雅和歌集)
村雲の絶えま絶えまに星みえて時雨をはらふ庭の松風(玉葉和歌集)
くらき夜の山松風はさわげども梢の空に星ぞのどけき(玉葉和歌集)
軒の上はうす雪しろし降り晴るる空には星のかげ清くして(光厳院御集)
月をこそながめなれしか星の夜のふかきあはれをこよひ知りぬる(玉葉和歌集)
あふぎ見る空なる星の数よりもひまなきものは心なりけり(続千載和歌集)
残り居て霜をいただく翁草(おきなぐさ)冬の野守(のもり)となりやしぬらむ(六百番歌合)
なにゆゑか人もすさめぬ翁草 身はくちはつる野べの霜枯れ(宝治百首)
朝なあさなみぎはの草におく霜の消(け)つつも我は恋ひわたるかな(万葉集)
山かげに荒れたる霜の我なれば思ふこころのとけでのみふる(古今和歌六帖)
ひとり寝のおきてかなしき朝霜の消えなでなにと夜を重ぬらむ(続古今和歌集)
夜をかさねうきふし見えて笹の葉におく初霜といかで消えなむ(新後拾遺和歌集)
(2011年11月4日の「霜」の記事から、恋歌を削除しました。)