*赤系縞の紬
*紺色系縞の紬
*黒と赤の絞りの名古屋帯
*吹き寄せ文様の作り付け名古屋帯
志賀の浦やとほざかりゆく波まよりこほりていづ るありあけの月(新古今和歌集)
笹の葉のさやぐ霜夜の山かぜに空さへこほる有明の月(続拾遺和歌集)
さゆる夜の雪げのそらのむら雲をこほりてつたふ有明の月(新拾遺和歌集)
山の端(は)はそれとも見えず埋もれて雪にかたぶく有明の月(続拾遺和歌集)
さえこほるあらしの風を身にしめてひとりぞ見つるありあけの月(宝治百首)
さびしさは色もひかりもふけ果てて枯れ野の霜にありあけの月(新続古今和歌集)
ながき夜のねざめの涙ほしやらで袖よりこほる有明の月(新拾遺和歌集)
(2009年12月4日の「冬の有明月」の記事は削除しました。)
あしひきの山ゐに摺(す)れる衣(ころも)をば神につかふるしるしとぞ思ふ(拾遺和歌集)
月さゆるみたらし川にかげ見えて氷に摺れる山藍(やまあゐ)の袖(新古今和歌集)
うちはらふ衣(ころも)の雪の消えがてにみだれて見ゆる山あゐの袖(続後撰和歌集)
はらはでもかへりたちなむ小忌衣(をみごろも)神のめぐみにかかる白雪(新千載和歌集)
秋とのみいかなる人かいひそめし月は冬こそ見るべかりけれ(内裏歌合_永承四年十一月九日)
冬枯れの木の葉さはらぬ高嶺よりこほりていづる月ぞまぢかき(持明院殿御歌合)
霜ふかき夜半にや空もさえぬらむかげまでこほる山の端の月(宝治百首)
あまの原そらさへ冴えやわたるらむこほると見ゆる冬の夜の月(拾遺和歌集)
冬がれの森のくち葉の霜のうへにおちたる月のかげのさむけさ(新古今和歌集)
ゆく水の浅瀬こほれる長き夜にむすぼほれたる冬の夜の月(夫木抄)
底まではやどるとも見ず山川のこほりのうへをみがく月影(新後拾遺和歌集)
夜をかさねむすぶ氷のしたにさへこころ深くもすめる月かな(千載和歌集)
空よりもかげやさゆらむ池みづの氷にやどる冬の夜の月(新後拾遺和歌集)
さゆる夜の霜をかさねて袖のうへにやどればこほる月のかげかな(新拾遺和歌集)
(2009年12月3日の「冬の月」の記事は削除しました。)
週刊「スピリッツ」(小学館)に連載されていた、異色のバレエマンガ「MOON 昴 ソリチュードスタンディング」(曽田正人、ビッグコミックス)が先月、完結しました。「昴」(同じくビックコミックス)の時から読んでましたが、ぐいぐい惹きつけられるマンガです。
主人公の天才バレエダンサー・宮本すばるの物語、と書いただけでは全然わからない素晴らしさ・面白さが、このマンガにはあります。
一つは、天才たちがバレエを踊る辛苦、歓喜を描いて、バレエの真髄を垣間見せてくれること。特に、心理面の掘り下げが独特で、真に迫る描き方です。バレエというダンス芸術をここまで掘り下げたマンガはないと思います。山岸凉子の「テレプシコーラ」だって、槇村さとるの「Do Da Dancin’!」だって、もちろん、バレエの技術的なことや登場人物の心理とかも絡めて描いていますが、この「昴」+「MOON]にはかなわないです。
マンガというよりも、小説とか物語とかフィクションにだって、こんな濃い内容のものはないでしょう。文字だけで表現するには非常に難しいバレエというテーマを、絵と文字で表現するマンガ。マンガの「伝える力」のすごさをあらためて感じます。
もう一つは、家族との人間関係を軸にした、すばるの精神的な葛藤とか成長。バレエの描き方にはゾクゾクさせられましたが、このもう一つのテーマには、結構泣かされました。弟の死を背負い苦しみ、母に愛されていないと思い込むすばるに、何度も涙しました。
好きなお話は、盲目のダンサー・ニコとの信頼関係を築くあたりの話。さらなる高みを目指すシーンが、すごく印象的です。こういう飽くなき探求心が、芸術を(芸術だけじゃないけれど)生み出すのだなあ、と思います。ただの“恋愛”だけじゃないパートナーって、すごくあこがれます。
絵は、線が粗いし、いわゆる「綺麗な絵」とは全然違う描き方で、最初は「何でこんなふうに描くんだろう」と思ってました。でもこれは、作者さんのコメントかインタビューをかなり前に読んだことがあるのですが、意図的にそういう描き方をしているのだということです。“アート”ではなく、表現したいものを伝えるためのツールとしての“絵”なんだ、とすごく納得したのを覚えています。