monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「涙片敷く」用例

2015年09月29日 | 日本国語大辞典-な行

 「涙(なみだ)片敷(かたし)く」という用語は「涙を流しながら腕や肘(ひじ)を枕にして一人で寝る。」という語釈で、日本国語大辞典・第二版では、『玉葉和歌集』(1312年)からの例を早い例としてあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。

独ねのなみだかたしき床ふりて幾度袖をくたしかふらん
(民部卿家歌合、久恋、十四番、212)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、332ページ
※巻末解題によると、この歌合は建久6年(1195)に催されたとのことです。

千百五十四番 右 家長
かきくもりあめふるやどのあきかぜになみだかたしきこよひかもねむ
(千五百番歌合、2307)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、485ページ
※千五百番歌合は、1202-03年成立。

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「はしたかの〔枕詞〕」用例

2015年09月26日 | 日本国語大辞典-は行

 「鷂(はしたか)の」という用語の枕詞の語釈に「地名「とや野」にかかる。一説に鳥屋(とや)と同音で続くとも、また、これが元で「外山」にかかるように転じたともいう。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『新続古今和歌集』(1439年)からの例が添えられていますが、さらに、194年ほどさかのぼる用例があります。

野径月
たちかへり又もきてみんはし鷹のとやのをいづる秋のよの月
(132・壬二集、玉吟集、下、秋部、2433)
『新編国歌大観 第三巻私家集編1歌集』角川書店、1985年、776ページ

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「秋の影」用例

2015年09月25日 | 日本国語大辞典-あ行

 「秋の影」という用語の語釈には「(2)秋の月のひかりに照らし出された光景。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『衆妙集』(1671年)からの例が添えられていますが、300年以上さかのぼる用例があります。

夕より空なる月のしらま弓すゑまでみゆる秋のかげかな
(38・文保百首、藤原為実、秋二十首、2339)
『新編国歌大観 第四巻定数歌編 歌集』角川書店、1986年、528ページ

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「夜(よ)すが」用例

2015年09月24日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「夜(よ)すが」という単語は、「よすがら(夜―)」の変化した語で、日本国語大辞典・精選版では、1687年の咄本からの用例をあげていますが、300年以上さかのぼる用例があります。

きりぎりす啼きてよすがにあかずなりまののうら萩色変る比
(夫木抄、巻第十一、萩)
『校註国歌大系 第21巻』国民図書、1930年、299ページ

いほりさすかひのしらねの旅枕よすがに雪をはらひかねつゝ
(夫木抄、巻第三十、廬)
『校註国歌大系 第22巻』国民図書、1930年、415ページ

 一首目の和歌の出典は「千五百番歌合」のようですが、日文研HPの和歌データベースで確認したところ、「きりきりす-なきてよすから-あかすなり-まののうらはき-いろかはるころ」という語形でした。

 二首目の和歌も「秋篠月清集(日文研HPの和歌データベース)」では「いほりさす-かひのしらねの-たひまくら-よすからゆきを-はらひかねつつ」という語形。

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「竹の葉」用例

2015年09月23日 | 日本国語大辞典-た行

 「竹の葉」という用語の語釈①「竹についている葉。」は、日本国語大辞典・第二版では、『拾遺和歌集』(1005-07年頃か)からの例が早いのですが、もっとさかのぼる用例があります。

露(つゆ)もおけとなびくものから竹(たけ)の葉(は)の色(いろ)移(うつ)ろへる秋(あき)もみぬかな
(19・〔延喜五-八年〕秋 本院左大臣時平前栽合、十巻本、17)
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、155ページ

月よには花とぞ見つる竹の葉にふりしく雪をたれかはらはん
(4・古今和歌六帖、第一、ゆき、753)
『新編国歌大観 2』角川書店、1984年、204ページ

竹のはにふりかからなん梅のはな雪のうちのをほるとみるべく
(4・古今和歌六帖、第六、たかむな、4123)
『新編国歌大観 2』角川書店、1984年、250ページ

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