日本国語大辞典・第二版の「静心(しづごころ)」という単語の用例よりもさかのぼる用例があるので、以下に挙げます。
春の日をいまいくかとも思はねはしつ心して花をやはみる
(巻第二百六十一・躬恒集)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』塙保己一編、続群書類従完成会、1987年、272ページ
日本国語大辞典・第二版の「静心(しづごころ)」という単語の用例よりもさかのぼる用例があるので、以下に挙げます。
春の日をいまいくかとも思はねはしつ心して花をやはみる
(巻第二百六十一・躬恒集)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』塙保己一編、続群書類従完成会、1987年、272ページ
日本国語大辞典・第二版には「慕ひ侘ぶ」という単語が立項されていませんが、和歌に複数の用例があります。
語釈としては「思い嘆く。思い嘆き、心細く思う。」という意味かと思います。恋歌に用いることが多いようです。
したひわびなくはならひの別路になにとか鳥のねをもかこたん
(15・続千載和歌集、巻第十三・恋歌三、1346/1349)
『新編国歌大観 第一巻 勅撰集 歌集』角川書店、1983年、508ページ
したひわひおもかけうかふこころこそいつもくもらぬかかみなりけれ
(延文百首・1583)日文研HPより
ひとりねにあふと見えつる面影の覚る夢路をしたひ侘つゝ
(新千載和歌集・恋歌二・1158)国文学研究資料館HPより
したひわひあまたの春を送りても花に老ぬる身こそ惜けれ
(新拾遺和歌集・雑歌上・1547)国文学研究資料館HPより
したひわひわかれもやらぬきぬきぬにとりのやこゑをかさねてそきく
(新葉集・恋三・860)日文研HPより
あはてたに年へぬる身のいつの間に今朝の別をしたひ侘らん
(新続古今集・恋歌四・1336)国文学研究資料館HPより
日本国語大辞典・第二版には「染め残す」という単語は立項されていませんが、和歌に複数の用例があります。以下に古い順に挙げます。
けふぞ見るさぎさか山の白つヾじいかで佐保姫染残しけん
(頼政集、春、一八ページ)
『日本歌学全集 第八編』博文館、明治24年、100ページ
ゆふつくひそめのこしたるやまかけのこのははかりやしくれまつらむ
(道助法親王家五十首・648)日文研HPより
おのつからちらぬしたはやみむろやまいろそめのこすしくれなりせは
(為家千首・854)日文研HPより
そめのこすこすゑもみえすたつたひめいろのちしほのよものもみちは
(弘長百首・338 基家)日文研HPより
そめのこすまつはさなからみとりにてやまのこのはそなへていろつく
(延文百首・2853 時光)日文研HPより
二品法親王覚誉家五十首歌に 法印経賢
山姫や染残すらん紅葉ゝのかけより落る滝の白糸
(新続古今集・秋歌下・575)国文学研究資料館HPより
秋歌の中に 右大臣
染のこすかきりは松にあらはれて紅葉色こき秋の山の端
(新続古今集・雑歌上・1759)国文学研究資料館HPより
夕につゝしを見るといふ心をよめる 摂政左大臣家参川
入日さす夕紅の色はへて山したてらす岩つゝしかな
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
つつしさくならひのをかのまつかけにおなしゆふひのいろそうつろふ
(夫木抄~日文研HPより)
四季物語の中に つつじの木工頭
あかねさす入日の影に色映えて見るも輝く岩つつじかな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)
くれなゐのやしほにみゆるいはつつしはるさめにこそいろまさりけれ
(夫木抄~日文研HPより)
建仁元年影供歌合に、水辺躑躅 前中納言定家
竜田川岩根のつゝし影みえて猶水くゝる春のくれなゐ
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
百首歌よませ給うける中に 順徳院御製
水鳥の羽かひの山の春の色にひとりましらぬ岩棡哉
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
樵路躑躅といふ事を 前大僧正慈鎮
山人の爪木にさせるいはつゝし心ありてや手折くしつる
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)
山路のつゝじ
はひつたひ折らで躑躅を手にぞとるさかしき山のとり所には
(山家集~バージニア大学HPより)
題しらす 読人不知
思ひいつるときはの山のいはつつしいはねはこそあれこひしきものを
(古今集~日文研HPより)
あふことはとほつのはまのいはつつしいはてやくちむそむるこころは
(正治二年初度百首~日文研HPより)
建保三年内裏百首歌奉りける時 前中納言定家
岩つゝしいはてやそむる忍山心のおくの色をたつねて
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
題しらす 源重之
光なき谷にも春の岩つゝしいはて入日の色にさくらん
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
「花の姿」という用語には「花のように美しい容姿。艶姿。」という語釈があり、日本国語大辞典・第2版では、『広本拾玉集』(1346年)からの例を挙げていますが、さらに、230年さかのぼる用例があります。
繪にかくと筆も及はし乙女子か花のすかたを誰にみせまし
(巻第百六十八・永久四年百首、雑、妓女)
塙保己一編『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、197ページ