「玉苗」という単語は日本国語大辞典・第二版では1663年の俳句例を早い用例としてあげていますが、500年以上さかのぼる用例があります。
小山田に今ぞ玉苗植ゑて見る乙女が裳裾ぬれてかへりぬ
(夏十五首、早苗、406)
『和歌文学大系15 堀河院百首和歌』2002年、明治書院、78ページ
「玉苗」という単語は日本国語大辞典・第二版では1663年の俳句例を早い用例としてあげていますが、500年以上さかのぼる用例があります。
小山田に今ぞ玉苗植ゑて見る乙女が裳裾ぬれてかへりぬ
(夏十五首、早苗、406)
『和歌文学大系15 堀河院百首和歌』2002年、明治書院、78ページ
「沼田」という単語には「沼のように泥水の深い田。」という語釈があり、1638年の用例を早い例としてあげていますが、400年以上さかのぼる用例を含む、複数のさかのぼる用例があります。
さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
(聞書集)
佐佐木信綱校訂『新訂 山家集(岩波文庫)』岩波書店、1928年、250ページ
わか恋は深き沼田の心ちしてこゝともえこそ思ひかへさね
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原経家、恋)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、597ページ
すかのねは-むへなかからし-かたふちの-ぬまたをふかみ-たれかそへけむ
(新撰和歌六帖・02184)日文研HPの和歌データベースより
「板舟」という単語には「①薄い板で作った小舟。深い水田で早苗や刈稲を載せるのに使用される。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では1248年の「宝治百首」の和歌例を早い用例としてあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。
早苗取る深田に渡す板舟はおり立つ事のさもかたき哉
(夏十五首、早苗、402)
『和歌文学大系15 堀河院百首和歌』2002年、明治書院、78ページ
「潮馴衣(しおなれごろも)」という単語の早い用例として、日本国語大辞典・第二版は1364年の『新拾遺集』の和歌をあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。
五月雨をうらみて渡るすまのあまの塩なれ衣まとほにぞほす(34・洞院摂政家百首、五月雨五首、中納言経通、424)354ページ
和歌の浦やしほなれ衣袖の上にひろふもせばきいけるかひかな(34・洞院摂政家百首、述懐五首、家長朝臣、1855)370ページ
(『新編国歌大観 4私家集編2、定数歌編 歌集』1986年、角川書店
すすかかは-たかなをたてて-いせのあまの-しほなれころも-ふりすててけむ
(「夫木抄」~日文研の和歌データベースより)
「潮垂衣(しおたれごろも)」という単語の用例は日本国語大辞典・第二版では、『続後撰集』(1251年)からの例が早いのですが、さらに、200年以上さかのぼる用例を含めて、複数のさかのぼる用例があります。
なれゆけばうけめよるよるすまのあまのしほたれごろもまどほなるらん
(4・古今和歌六帖、第五、しほやきごろも、3288)
『新編国歌大観 第二巻 私撰集編 歌集』角川書店、1984年、238ページ
海士のきる鹽たれ衣ほさすして明石の浦そわひしかりける
(巻第二百五十二・藤原長能集)
塙保己一編『群書類従・第十四輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、698ページ
しかのあまの汐たれ衣なるれとも恋てふ物は忘れかねつも
(巻第二百三十四巻・柿本集)
塙保己一編『群書類従・第十四輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、154ページ
さみたれは-ふるともいてむ-すまのあまの-しほたれころも-われにかさなむ
(林葉集)日文研HPより