monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

水無月祓・六月祓(みなづきばらへ)/夏越祓・名越祓(なごしのはらへ)/夏祓(なつばらへ)

2010年06月30日 | 日本古典文学-和歌-夏

さばへなす荒ぶる神もをしなべて今日はなごしのはらへなりけり(拾遺和歌集)

夏引きの麻の大ぬさとりそへて百(もも)のつかさのみそぎすらしも(年中行事歌合)

底きよき河瀬の水の麻の葉にしらゆふかけてみそぎをぞする(続千載和歌集)

夏はつるゆふべになれば川波に麻のみそぎをせぬ人ぞなき(堀河百首)

もろ人のみそぎの数を川の瀬にながるる麻のほどにてぞ知る(久安百首)

麻の葉におもふことをばなでつけてみなづ きはつるみそぎをぞする(堀河百首)

ゆく水のうへに祈れる河やしろ川波たかくあそぶ声かな(古今和歌六帖)

ゆくほたる秋風ふくと告(つ)げねどもみそぎすずしき河やしろかな(土御門院御百首)

みそぎ川夏のゆく瀬の水はやきかげもとまらぬ六月(みなづ き)の空(紫禁和歌集)

みそぎする川瀬の風のすずしきはむかひの岸に秋や来(き)ぬらむ(断簡)

はやき瀬のかへらぬみづ にみそぎしてゆくとし波のなかばをぞ知る(新勅撰和歌集)


納涼(だふりやう/なふりやう)

2010年06月26日 | 日本古典文学-和歌-夏

杣川のいかだの床(とこ)の浮きまくら夏はすずしきふしどなりけり(金葉和歌集・三奏本)

夏山の岩がねきよく水おちてあたりの草の色もすずしき(玉葉和歌集)

水の音にあつさわするるまとゐかな梢(こずゑ)のせみの声もまぎれて(山家集)

山里のそともの竹を吹く風に夕日すずしきひぐらしの声(万代集)

緑なる木のした柴に露みえて夕べの雨の色ぞすずしき(伏見院御集)

夕暮れは沢べにしげる夏草の葉ずゑをわたる風ぞすずしき(藤葉和歌集)

ころもでも涼しくなりぬ深山木(みやまぎ)のすゑこす風の夏の夕かげ(万代集)

夕すずみ身にしむばかりなりにけり秋はけしきの森の下かぜ(続古今和歌集)

風さやぐ竹のこぐれのゆふすずみ露さへ我を秋とあざむく(林葉集)

目に見えぬ秋やかよひて夕暮れの松に涼しき軒のしたかぜ(新続古今和歌集)

もりかぬる月はすくなき木の下に夜深き水のおとぞすずしき(風雅和歌集)


扇(あふぎ)

2010年06月25日 | 日本古典文学-和歌-夏

手にならす扇の風はかよへども草もゆるがず照る日かげかな(新撰和歌六帖)

みなづきの照る日もいかで過ぐさましたのむ扇の風なかりせば(六百番歌合)

夕されば扇の風をてならして月まつほどもすずしかりけり(六百番歌合)

日くるれば軒にとびかふかはほりのあふぎの風も涼しかりけり(新撰和歌六帖)

おほかたの秋来るからに身に近くならす扇の風ぞすずしき(後拾遺和歌集)

夏はつる夜半ふく風のすずしきにねやの扇ぞまづ おかれぬる(新撰和歌六帖)

夏はつる扇と秋の白露といづ れかまづ は置かむとすらむ(和漢朗詠集)

手なれつる扇も今は夏すぎて露よりさきに置かれぬるかな(風葉和歌集)

つねよりも身にもしむかな夕されの君にあふぎの風のけしきは(永久百首)


夏の夜

2010年06月24日 | 日本古典文学-和歌-夏

暮るるかとみれば明けぬる夏の夜をあかずとや鳴く山ほととぎす(古今和歌集)

たちばなの玉ぬく月のみじか夜にあかでもすぐる時鳥かな(夫木抄)

小山田は夏の暮れこそうれしけれ稲葉のほたるしづ の蚊やり火(夫木抄)

月にゆく夜道すずしみ小車(をぐるま)のすだれを風は吹きとほすなり(広沢切)

もりかぬる月はすくなき木(こ)のもとに夜(よ)ぶかき水のおとぞすずしき(風雅和歌集)

ひびきくる河音(かはおと)すみて夏の夜の木蔭すずしき月の庭かな(伏見院御集)

夏の夜は月待つほどにむすびおく夕露すずし庭の草むら(法性寺為信集)

みじか夜はうたた寝ながらはや更(ふ)けて奥まで月のかげぞさし入る(延文百首)

夏の夜のわびしきことは夢をだに見るほどもなく明くるなりけり(風雅和歌集)

いかにせむみじかき夜半のうたた寝に逢ふもほどなき夢のちぎりは(藤葉和歌集)

よそながら思ひしよりも夏の夜の見はてぬ夢ぞはかなかりける(後撰和歌集)

夢よりもはかなきものは夏の夜のあかつきがたの別れなりけり(後撰和歌集)