monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

文太郎、頂上へ

2011年09月29日 | 読書日記

 マンガ「孤高の人」(集英社の「ヤング・ジャンプ」にて連載中)は、原作を超えたと言ってよいのではないでしょうか。原作の新田次郎の抑制のきいた文章に対し、坂本眞一のコミックの方は、精緻な画力と翻案の妙で、心が揺さぶられる場面が随所にあります。

 今号は、「Amazing Grace」の歌詞(+日本語訳)が、頂上を、至高を目指す文太郎の気持ちを代弁しており、読んでいる途中で、背筋がビリビリして熱いものが込み上げてきました。孤高は文太郎を至上の幸福で包んでくれることでしょう。

 掲載が隔週から月イチになったりして、だいぶ間があきましたが、ついに次回が最終回とのことです(10月27日発売)。早く読みたいと思う反面、終わってほしくないというのが、本音です。急ぎ足で過ぎてしまったところがたくさんあって、もっとゆっくりたっぷりと読ませてほしかったです。
 完結したら、是非、表紙絵とか扉絵を集めたイラスト集(画集?)を出してほしいものです。


擣衣(ころもうつ/たうい)

2011年09月29日 | 日本古典文学-和歌-秋

まさき散る峰の嵐に月さえてとやまのさとにころもうつなり(雅有集)

あらし吹くとほ山がつの麻衣ころも夜さむの月に打つなり(新勅撰和歌集)

あまの原とわたる月の長き夜にをちかたびとや衣うつらむ(宗尊親王三百六十首)

秋の夜のながきねざめの月かげにとほき砧(きぬた)の音(おと)のさびしさ(光経集)

長月のながき夜聞けばころも打つ百声(ももごゑ)千声(ちごゑ)やむときもなし(東塔東谷歌合)

秋の夜のよかぜをさむみわぎもこが衣を打つに目をさましつつ(実方集)

待つ人のかへるほどにやなりぬらむ夜をかさねても打つころもかな(従二位親子歌合)

色かはる小野のあさぢの初霜に一夜もかれず打つころもかな(新千載和歌集)

衣うつなれもさこそは寒からしあかつきふかき霜におきゐて(伏見院御百首)

あはれまた誰(たれ)ゆゑ長き秋の夜を月にうらみてころも打つらむ(続後拾遺和歌集)

衣うつきぬたのおとに夢さめてことぞともなくぬるる袖かな(散木奇歌集)

おきあかす露さへさむき月かげになれていく夜かころもうつらむ(続拾遺和歌集)

秋萩のうつろふ野べの刈りいほにたれいねがてのころもうつらむ(続拾遺和歌集)

夕霧にやどはそことも見えわかで山もと遠く打つころもかな(雅有集)

(2009年11月11日の「擣衣(たうい)」の記事は削除しました。)