「裾(すそ)」という単語には「山のふもと。」という語釈があり、日本国語大辞典では1476年の連歌に例を古用例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。
しかまつとはやまのすそにともししてなつのよなよなたちあかすかな
(東塔東谷歌合-永長二年)
『新編国歌大観 5 』角川書店、1987年、131ページ
照射するは山のすそに立鹿のめもみせぬ夜をなけきつる哉
(巻第百六十七・堀川院御時百首和歌・夏・照射)
『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、152ページ
鹿たゝぬは山のすそにともしゝて幾夜かひなき夜をあかす覧
(巻第三百六十七・金葉和歌集(初度本)・夏)
『続群書類従・第十四輯上(訂正三版)』続群書類従完成会、1982年、53ページ
時鳥は山のすそを尋ねつゝまた里なれぬはつねをそきく
(巻第二百五十四・散木奇歌集・第二・夏・四月)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、10ページ
よそにのみみ山か裾のさねかすらさねすて過んことそ苦しき
(巻第百六十九・久安六年御百首、実清、恋)
『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、219ページ
山居のはじめの秋といふ事を
秋たつと人はつげねど知られけりみ山のすその風のけしきに
小倉の麓にすみ侍りけるに鹿の鳴きけるを聞きて
を鹿なく小ぐらの山のすそちかみたゞひとりすむわが心かな
(山家集~バージニア大学HPより)
時雨する外(と)山が裾(すそ)の薄(うす)紅葉今いくしほか染(そ)めんとすらん
(藤原実房/静空、秋、1855)
『和歌文学大系49 正治二年院初度百首』明治書院、2016年、320ページ
00441 匡房 つまこふる-しかのたちとを-たつぬれは-さやまかすそに-あきかせそふく
(新古今和歌集~日文研HPより)
02302 為家 みねつつく-とやまのすその-ははそはら-あきにはあへす-うすもみちせり
(新撰和歌六帖~日文研HPより)
次に東山のすそに望みて二階堂を禮す。
(海道記~バージニア大学HPより)