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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 秋 七月七日 かささぎの橋・寄羽の橋、雲居の橋、天の小夜橋

2022年07月07日 | 日本古典文学-秋

あまのかはみたえもせなむかささきのはしもわたさてたたわたりせむ
(古今和歌六帖~日文研HPより)

あまのかはみきはこよなくまさるかないかにしつらむかささきのはし
(皇太后宮歌合_永延二年七月七日~日文研HPより)

ゆふたちにみつまさるらむあまのかははるかにわたせかささきのはし
(夫木和歌抄~日文研HPより)

けふはよもあめにさはらしかささきのはしよりかよふほしあひのそら
(草庵集~日文研HPより)

たなはたのあまのかはもりこころあらはかへさわたすなかささきのはし
(久安百首_花園左大臣家小大進~日文研HPより)

七夕のこゝろをよませ給ける 院御製
秋ことにとたえもあらし鵲のわたせる橋のなかき契は
(新後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

かささきのつはさにかくるはしなれはくちせむものかほしのちきりは
(沙玉集~日文研HPより)

こひわたるつきひをへてもけふにのみちきりをかくるかささきのはし
(元徳二年七夕御会~日文研HPより)

元徳二年七月七日、内裏にて三首歌講せられける時、七夕橋といふことをつかうまつりける 前中納言公脩 
逢せをやたとらすわたる夕月夜光さしそふかさゝきのはし 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

七月七日、人のもとに
七夕におとるものかは物をのみ思ひぞわたるかささぎの橋
(和泉式部集~岩波文庫)

かささきのよりはのはしをたなはたのいくあきかけてまちわたるらむ
(元徳二年七夕御会~日文研HPより)

かささきのよりはのはしのしろたへにひかりもまかふあきのよのつき
(元徳二年七夕御会~日文研HPより)

光明峰寺入道前摂政家秋三十首に 正三位知家
かさゝきの雲ゐの橋の遠けれはわたらぬ中に行月日哉
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

雲はるるあまのさよ橋たえばこそわたりもすらめ七夕つめは
  あまのさよ橋とは天河に七夕のわたし給ひし橋なり、夜るわたれば、さよ橋と云ふなり
(秘蔵抄~新編国歌大観5)

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古典の季節表現 秋 観月宴

2021年09月13日 | 日本古典文学-秋

 清涼殿の南のつまにみかは水なかれいてたりその前栽にさゝら河あり延喜十九年九月十三日に賀せしめ給ふ題に月にのりてさゝら水をもてあそふ詩歌心にまかす
もゝ敷の大宮なから八十島をみる心ちするあきのよのつき
(躬恒集~群書類従15)

後冷泉院御時、九月十三夜月宴侍りけるに、よみ侍りける 大宮右大臣 
すむ水にさやけき影のうつれはやこよひの月の名になかるらん
(千載集~日文研HPより)

花山院東宮と申ける時、閑院におはしまして秋月をもてあそひ給けるによみ侍ける 大弐高遠 
秋の夜の月見にいてゝよは更ぬ我もあり明のいらてあかさん 
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

月あかく侍けるよ、人++まうてきてあそひ侍けるに、月いりにけれは興つきて、をの++かへりなんとしけれはよめる 大中臣能宣朝臣 
月はいり人はいてなはとまりゐて独や我は空をなかめむ 
(詞花和歌集~国文学研究資料館HPより)

かくて、日ごろ経て、長月になりぬ。風涼しくなり、虫の声、御前の草木も整ひて、木の葉は色づき、草むらの花咲き、五葉の松はのどけき色をまし、色々の紅葉、薄き濃き、村濃に交じり、月おもしろき夕暮れに、御前の池に月影映りて、よろづおもしろき夕暮れに、八の君、今宮、姫宮、御簾巻き上げて出でおはしまして、例の御琴ども弾き合はせて遊びたまふを聞きて、男君たち、え籠りおはせで、式部卿の宮も、右のおとど率ておはして、「今宵の御琴どもの音どもにおどろきにけり」とておはしまして、式部卿の宮笙の御笛、右のおとどただの御笛、篳篥簗吹き合はせて、声々あまたのもの吹き合はせて、いとになく遊ばせたまふを聞かせたまひて、いづれの人か御心のどかにて籠りおはせむ、夜一夜、女君たち、いと清げにて、なほおはします端に出で居たまへり。(略)
(うつほ物語~新編日本古典文学全集)

十三日 辛巳。天晴レ、陰ル、酉ノ刻ニ、快晴。 明月、夜ノ御所ニテ、和歌ノ御会ナリ。一条ノ羽林、李部、已下ノ好士、七八輩、其ノ座ニ候セラル。(略)
(吾妻鏡【建保六年九月十三日】条~国文学研究資料館HPより)

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古典の季節表現 秋 菊の宴、菊合

2021年09月09日 | 日本古典文学-秋

弘安七年九月九日、三首歌講せられける時、菊花宴久と云ことを 亀山院御製 
千とせまてかはらぬ秋はめくりきてうつろはぬ世のきくの杯 
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

寛平御時の菊合(きくあはせ)の歌
 左方。占手(うらて)の菊は、殿上童こたてぎみを女につくりて花におもてかくさせて持たせたり。いま九本はすはまをつくりてうゑたり。そのすはまのさまはおもひやるべし。おもしろきところどころの名(な)をつけつゝ菊には短册(たざく)にて結(ゆ)ひつけたり。
占手 やまざきのみなせの菊
うちつけにみなせはにほひまされるはをりひとからかはなのつねかも
   嵯峨のおほさはのいけ これよりはすはま 友則
ひともとゝおもひしものをおほさはのいけのそこにもたれかうゑけむ
   紫野の菊
名にしおへば花さへにほふむらさきのひともと菊における初霜
   おほゐの戸無瀬の菊 しろがねをよりて滝におとしたり。いとたかくよりおつれどこゑもせず。
たきつせはただけふばかりおとなせそきくひとはなにおもひもぞます
   津の国の田蓑の島 すはまにうゑたる菊のしたに女そでを笠(かさ)に着て貝ひろふかたしたり。
田蓑(たみの)ともいまはもとめじたちかへり花のしづくにぬれむとおもへば
   奈良の佐保川の菊
ちどりゆゑ佐保の川べを求(と)め来(く)ればみなそこ霧(き)りてさける花かも
   和泉のふけひの浦
けふけふと霜おきまさるふゆたゝば花うつろふとうらみにゆかむ
   紀の国の吹上(ふきあげ)の浜の菊 菅丞相
あきかぜのふきあげにたけるしらぎくは花かあらぬか波のよするか
   伊勢の網代の浜
いそにさくあじろの小菊(をぎく)しほかひは玉(たま)とぞ求(と)めむ波のしたくさ
   逢坂の関の菊
この花に花つきぬらし関川(せきかは)のたえずも見よと折(を)れる菊の枝(え)
 右方。(略)
(内裏菊合~「平安朝歌合大成①」)

皇后宮の女房、菊合し侍りけるに、紫檀の長櫃に白き砂子を敷きて、色々に匂ひたる菊植ゑ渡し、隅々に立て石、洲浜などのさまして、鶴の形(かた)を作りて、黄なる薄様に葦手に書きて食はせける よみ人知らずうたた寝の宮
菊の露落つる水際(みぎは)に棲むたづはいとどよはひぞ久しかるべき
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

小松内大臣家に菊合し侍けるに、人にかはりて読侍ける 建礼門院右京大夫 
うつしうふる宿のあるしも此花もともに老せぬ秋そかさねん 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

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古典の季節表現 秋 月に寄せて

2020年10月03日 | 日本古典文学-秋

七月はかりにわかき女房月見にあそひありきけるに、蔵人公俊新少納言かつほねにいりにけりと人々いひあひつゝわらひけるを、九月つこもりかたにうへきこしめして御たゝうかみにかきつけさせ給ける 後三条院御製 
秋風にあふことのはや*ちりぬらんその夜の月のもりにけるかな(*イちりにけん )
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌たてまつりし時 摂政太政大臣 
月みはといひしはかりの人はこて槙の戸たゝく庭の松風 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

 しづかなるよの月のよ人々あまねくよむ いまひとつのだいなり
たづねくる人しなければ一人ゐてつきみるほどによさへふけぬる
(橘為仲朝臣集~「橘為仲朝臣集全釈(私家集全釈叢書21)」風間書房、H10)

いはんかたなき心ちにて、秋ふかくなりゆくけしきに、ましてたへてあるべき心ちにもせず、月のあかき夜、空のけしき、雲のたゝずまひ、風の音、ことにかなしきをながめつゝ、ゆくへもなき旅の空、いかなる心ちならんとのみ、かきくらさる。
いづくにていかなることを思ひつゝこよひの月に袖しぼるらむ
(建礼門院右京大夫集~岩波文庫)

題しらす  西行法師 
終夜月こそ袖にやとりけれむかしの秋をおもひいつれは 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

雑歌の中に 如願法師 
何となく昔恋しき我袖のぬれたるうへにやとる月影 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

(たいしらす) 平時元 
にこり江のあしまにやとる月みれはけにすみかたき世こそしらるれ 
(新後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

近衛院御時御物いみにこもりて侍ける夜、やり水に月のうつれるをみて思ひ出る事おほくて読侍ける 皇太后宮大夫俊成 
いにしへの雲ゐの月はそれなからやとりし水の影そかはれる 
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

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古典の季節表現 秋 秋の朝

2018年09月07日 | 日本古典文学-秋

秋御歌中に 伏見院御製
露ふかきまた朝あけの草かくれ夜のまの虫の声そ残れる
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

秋歌とて 従三位親子
村々の雲の空には雁なきて草葉露なる秋の朝あけ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

うへのをのことも三首歌つかうまつりしとき、朝草花 権中納言実任
色ことに咲にほふらし朝露の玉しく庭の秋萩のはな 
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

おきてみる草葉のうへも露しろみややはたさむし秋の朝あけ
(正安元年~嘉元二年_歌合~日文研HPより)

貞和百首歌に 前大納言公泰 
小倉山ふもとのおはな袖みえてたえたえ晴る秋の朝霧 
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

すみなるるわれたにさひしやまさとのきりたちこむるあきのあさあけ
(文保百首~日文研HPより)

秋うたとて 太上天皇 (後鳥羽院)
さひしさはみ山の秋の朝くもり霧にしほるゝまきの下露
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

九月十三夜、十首歌合に、朝草花 太上天皇 (後嵯峨院)
忘れすよ朝きよめする殿守の袖にうつりし秋はきの花 
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

関霧 為家 
鳥のねはいそく習の関のとにあくるをみせぬ秋の朝霧
(宝治百首~日文研HPより)

なにはよりふきこすかせになひくめりたかつのうらのあきのあさきり
(八幡若宮撰歌合~日文研HPより)

あけわたるあはちのせとのなみまよりしまたちかくすあきのあさきり
(為家五社百首~日文研HPより)

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