monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「あらがね/あらかね③」用例

2024年01月03日 | 日本国語大辞典-あ行

 「粗金・荒金(あらがね)」という語には、「③ (「土」にかかる枕詞「あらかねの」の転用) 土。大地。」という語釈があり、日本国語大辞典では浄瑠璃・曾我五人兄弟(1699年頃)の用例を挙げていますが、もっと遡る用例が複数あります。

うごきなくさだめおきけるあらかねは万代までも久しかるべし
(白河殿七百首・696)
『新編国歌大観10 歌集』角川書店、1992年、441ページ

立春
今朝みれは世は久堅もあらかねも春ををさむる四方の色かな
けさみれは-よはひさかたも-あらかねも-はるををさむる-よものいろかな
(草根集・00011_正徹~日文研HPの和歌データベースより)


「上葺き②」用例

2021年11月03日 | 日本国語大辞典-あ行

 「上葺き」という語には「② かやの類で屋根を葺くこと。」という語釈がありますが、日本国語大辞典よりもさかのぼる用例が複数あります。また、屋根そのものの語釈がないので、追加すべきと思います。

寝殿の南面を女院の御見物のところとす。南のついがきにそへて。かたはや二宇をつくる。竹をもちてたるき柱とす。松をもてうはぶきとす。紫べりの畳をしく。
(承元御鞠記)
『群書類従19』、371p

洞院摂政家百首に、旅 藤原信実朝臣 
塩風に/笘のうはふき/ひまみえて/うきねの枕/あけぬ此夜は 
(続古今和歌集)~国文学研究資料館HPより


「犬の子①」用例

2020年12月30日 | 日本国語大辞典-あ行

 日本国語大辞典「犬の子①」の語釈は「子犬」ですが、かなりさかのぼる用例を見つけました。

かくて年月をすぐすに、家にある犬、十二月十五日に子をうみてき。その犬の子すこしおとなびて、此の妻女(めのをんな)を見るたびごとにほえしかば、(略)
『水鏡(岩波文庫)』和田英松校訂、1930年、49ページ


「畔伝い」用例

2017年08月24日 | 日本国語大辞典-あ行

 「畔(あぜ)伝い」という用語は、日本国語大辞典・第二版では拾遺愚草員外(1240年頃)の例を早い用例として載せていますが、100年ほどはさかのぼる用例があります。

 田家秋興
山田もるきその伏屋に風吹はあせ傳ひしてうつゝをとなふ
(巻第二百五十四巻・散木奇歌集)
『群書類従・第十五輯(訂正三版)』1987年、21ページ
※上記和歌は日文研HPの和歌データベースでは「~あせつたひして-うつらおとなふ」となっていました。

をやまたは-ゆきけのみつし-ふかけれは-あせつたひにそ-ねせりつみける
(久安百首・実清・704~日文研HPの和歌データベースより)