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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 秋 七月 広瀬祭・竜田祭

2018年07月04日 | 日本古典文学-秋

(延暦十八年六月)戊子(十五日) 天皇が次のように勅した。
 神を祀るに当たっては、恩徳と敬虔の気持ちがなければならない。心に慎み敬う気持ちがなければ、どうして神が祭祀を受けることがあろうか。広瀬・竜田祭は風の害を鎮め、穀物の豊かな稔りを祈願するものであるが、大和国司は何かにつけて怠り、慎むことをせず、雑任である史生(ししょう)を遣わして朝廷の代理にあて、祭祀に奉仕させている。祭礼を行なっても応報がないのは、すべてこれに起因している。今後は、守ないし介一人が斎戒したうえで奉仕せよ。もし、守・介に不都合があるときは判官を遣わしてもよい。
(日本後紀〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(長徳四年七月)四日。
広瀬・竜田祭であったので、内裏に参らなかった。
(権記〈現代語訳〉~講談社学術文庫)

 広瀬瀧田祭 七月四日 宗時朝臣
三日月は昨日の空のはつ秋にけふはふたつの神まつるなり
(年中行事歌合~群書類従6)


古典の季節表現 秋 七月 初秋の三日月

2018年07月03日 | 日本古典文学-秋

みそきしてけふみかつきのやまのはにあきとしもなきゆふくれのそら
(洞院摂政家百首~日文研HPより)

いまよりのあきとはかせにききそめつめにはさやかにみかつきのかけ
(延文百首~日文研HPより)

やとかるかまたひとへなるころもてにひかりもうすきあきのみかつき
(道助法親王家五十首~日文研HPより)

 初秋月
秋の色もあるかなきかの三か月の影吹きはらふ荻のうは風
(草根集~日文研HPより)

あきのきてつゆまたなれぬをきのはにやかてもやとるゆふつくよかな
(仙洞句題五十首~日文研HPより)

初秋露を 権大納言公蔭 
秋きてはけふそ雲間に三か月の光まちとる荻のうは露 
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

みかつきののはらのつゆにやとるこそあきのひかりのはしめなりけれ
(正治初度百首~日文研HPより)

 ときはのさとにて、初秋月と云ふ事を人人よみけるに
秋たつとおもふにそらもたたならてわれてひかりをわけん三か月
(山家集~日文研HPより)

(安貞元年七月)三日。天晴る。未の時許りに、陰らずして大雨。溜るに及ばず。暑熱焦すが如し。(略)初月糸より繊く、山を去ること纔に五尺許り。
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)